利用難しい部位を全国処理施設から集約 ジビエ 外食大手に大量販売 長野・信州富士見高原ファーム

全国から送られてきた骨付きの鹿肉を肉と骨に切り分ける戸井口さん(長野県富士見町で)

ロッテリアで販売された「ジビエ 鹿肉バーガー(ラグーソース)」(ロッテリア提供)

 野生鳥獣の肉(ジビエ)を身近なものにしようと、長野県富士見町の国産ジビエ認証取得施設「信州富士見高原ファーム」が新たな取り組みを始めた。全国の認証施設から、鹿のスネ肉や肩肉といった利用頻度が少ない部位を骨付きのまま買い取り、量をまとめて外食向けに出荷する。大手チェーンでの利用を広げることで、ジビエファンの拡大を狙う。(藤川千尋)
 

切る作業肩代わり


 大手外食チェーンからの要望に応えるには、数百キロ~数トン単位の量が必要になる。だが、ジビエになる鹿やイノシシはいつ、どのくらいの肉がどこで生産されるのかを把握するのは困難だ。単体の施設では量の確保が難しく、店舗数の多い外食店への供給には課題があった。

 ジビエの肉を集約し、ロットを確保して外食に売り込む取り組みは、7月からスタートした。国産ジビエ認証は、適切な肉処理をしていると認められ、安全・安心なジビエを供給する処理施設に対して“お墨付き”を与える制度だ。信州富士見高原ファームは、全国の認証施設から骨に肉が付いた状態で鹿肉を集める。

 集まるのは、スネや肩といった部位だ。これらは筋が多く、調理しにくいなどの理由で活用が難しかった。集まった骨付き肉は、肉と骨に切り分けた後、肉は真空パックで冷凍保存し、まとめて出荷する。

 これまでに、約1トンを出荷した。ロースやモモなどの部位に比べて安価なことも利点で、外食産業ではひき肉などに加工して商品にする。同ファームの戸井口裕貴さん(39)は「ジビエは自然の恵み。できる限り食用として活用したい」と話す。

 肉を送る施設にとっては、労力軽減などのメリットがある。鳥取県若桜町の獣肉解体処理施設「わかさ29(にく)工房」では、年間2500頭以上の鹿やイノシシを処理。持ち込まれる鳥獣の数は年々増加しているという。

 同工房の河戸建樹さん(46)は「多いときには1日に15頭近い数を処理する日もある。骨を外す作業が軽減され、他の作業に時間をかけられるのはありがたい」と話した。
 

身近な食材に変身


 外食は、量を集約することによるジビエの供給拡大に期待する。

 ハンバーガーチェーンのロッテリアは鹿肉の供給を受け、ハンバーガーのパティに使った。11月下旬から「ジビエ 鹿肉バーガー(ラグーソース)」を1個720円(税別)で、店舗限定の全国123店舗で販売。2カ月ほどの販売を見込んでいたが、約3週間でほぼ完売した。

 同社は「高級食材で高価格、硬い、臭いなどのイメージのハードルを下げ、身近な親しみのある食材に変えられる」と期待を寄せる。

 2011年から、長野県産鹿肉を使ったメニューを販売するなど、長くジビエメニューを提供してきたジェイアール東日本フードビジネスの佐野正人取締役は「消費者が普段使いする外食チェーンでジビエの利用が広がれば、ジビエが身近な食材になり、認知度もさらに上がる」と強調する。
 

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