協同農業普及事業 国県一体で要員拡充を

 技術・経営の問題で農家が日常的に頼りにするのは、JAの営農指導員や都道府県の普及指導員だ。しかし普及員数と予算の縮小で協同農業普及事業は揺らいでいる。地域農業の再建は地域に根差した普及員が鍵を握る。生産基盤の強化へ、国と地方が一体で拡充するべきだ。

 農業普及活動高度化全国研究大会が昨年開かれた。全国から選ばれた普及員8人が地域農業の課題解決に向けた、創意工夫や成果が上がった活動の事例を発表。日本農業新聞は連載企画「挑む普及」でこれらの優れた取り組みを紹介した。

 目立ったのは、地域ぐるみでの生産基盤の弱体化への対応だ。最優秀の農水大臣賞を受賞した北海道釧路農業改良普及センター管内では、酪農経営に必須の牧草地の6割が裸地化・雑草化していた。同センターは、農家やJA職員らと一緒に牧草地を見回って危機感を共有。計画的な草地更新につなげた。

 他にも、佐賀県伊万里農林事務所西松浦農業改良普及センターは、集落ぐるみでの農地中間管理機構(農地集積バンク)活用で園地の流動化を推進。廃園予定だった梨園の引き継ぎも実現した。兵庫県南淡路農業改良普及センターは、酪農家の減少で崩れた耕畜連携を、若手グループへの支援で立て直した。

 普及事業は多くの成果を上げているが、足元はもろくなっている。国と地方の一体での取り組みとして発足した。しかし、農業改良助長法の改正で、農業改良普及センターの必置規制の撤廃、財源の移譲、実施方針の事前協議の廃止が実行された。国の役割が後退するとともに、都道府県でも事業縮小が目立つ。

 農水省の資料によると2018年度の協同農業普及事業費は501億円。近年は横ばい傾向にあるが、10年前より19%減少し、20年前と比べると44%も減った。事業費に占める国の割合は5%にとどまる。普及職員数も18年度は7292人で、20年前より3342人(31%)少ない。都道府県の取り組み格差も課題だ。普及職員を増やす都道府県がある一方、5年間で10%減らしたところもある。

 普及員に求められる知識と能力はマーケティングや鳥獣害対策、新規就農・事業継承など多岐にわたる。スマート農業や地球温暖化への対応で、ますます高度な普及が求められるだろう。農家から指導料を受け取って技術指導をする民間コンサルティング会社が進出しつつあるが、生産基盤の維持・強化には地域ぐるみでの対応が重要だ。

 普及指導員の業務負担は限界に近く、これ以上の人材と予算の削減は許されない。むしろ、国と都道府県は一体で、人員確保ための有効な対策に取り組むべきだ。活動を支える予算の確保も同様だといえる。

 普及指導員は、JAの農業指導員と共に地域農業再建の要だ。日々の成果に胸を張ろう。普及事業が関与した農業振興をもっとPRすべきである。
 

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