A重油高じわり 「節油努力」追い付かぬ 施設園芸産地 かさむコスト

「このまま重油価格が上がれば品目転換を考える」と話す柳さん(福岡県うきは市で)

 施設園芸の暖房に欠かせない重油の価格が上がっている。3シーズン前からじわじわと上昇傾向が続いており、現在農業用A重油の国内価格は1リットル当たり80円台後半の高値で推移。中東情勢の悪化で、国際市場の原油価格は年明け一時的に急上昇した。施設園芸産地は、節油対策に懸命になる一方、先行きに不安を募らせる。暖冬で気温高だが、青果市況は不安定なだけに、経営への影響も懸念される。(石原邦子、岩下響、丸草慶人)
 

価格転嫁は無理 高知


 高知県南国市でハウスピーマン18アールを手掛ける野村光広さん(34)は「暖冬だが、加温は必須。先行きが見えなくて不安だらけだ」と話す。野村さんの経営では、農業用A重油のコストが全体の3割を占め、価格上昇は経営の圧迫要因だ。現在は収穫に向けて強い株を作る時期で、ハウス内の温度を平均20度から下げるわけにはいかない。

 1月上・中旬で、重油3キロリットルを使った。野村さんは昨年12月末、断熱性の高いサンシートをボイラーに被覆する節油対策で前年より2割節約しているが、「早く一段落してほしい」と願う。燃料コストが上昇しても、生産者は農作物価格に転嫁できない。JA高知県土長地区の南国営農経済センターの担当者は「きちんとしたエネルギー政策を政府にお願いしたい」と強調する。
 

品目転換も視野 福岡


 福岡県うきは市の柳壽幸さん(64)は、ハウス65アールでオリエンタル系ユリを栽培する。冬は重油ボイラーと、コスト低減が期待できるヒートポンプを組み合わせ、ハウス内温度を確保する。今年は重油と電気代の高騰でダブルパンチだ。

 柳さんは「暖冬で運転時間は少ないが、例年通りの気温になったら経営は厳しくなるだろう」と話す。今後、開花期になるとハウス内温度を15度前後で維持する必要がある。「A重油価格が90円台になれば品目転換を考えなければならない」と柳さんは顔をしかめる。

 JAにじ園芸直販部の担当者は「輸送費は5年間で1ケース(20本)当たり300円以上も上がった。原油高騰で一層の輸送費上昇も心配しなければならない」と不安顔だ。
 

中東情勢注視を


 農水省の「農業物価統計調査」によると、19年11月のA重油価格は1リットル88・2円。昨季は12月、1月と下がったが、直近の動きについて燃料供給の関係者は「今季は12月、1月と連続で3、4%の幅で上回った」と話す。地域別では九州が最も高いという。

 生活に欠かせないガソリンも高い。レギュラーガソリンの店頭小売価格は20日現在、1リットル151・6円で前年同期比6%高。11週連続で上昇した。

 近年のA重油の高値は14/15年シーズンで1リットル100円超。産油国の政情不安や投機資金の流入などで、原油が高騰したためだ。翌シーズンは落ち着いたが、16/17年シーズン以降、上昇傾向が続いている。国内の生産者は引き続き、中東情勢への注視と節油対策が欠かせない状況だ。
 

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