7月豪雨で県道寸断 再起へ農家奮闘 長野県喬木村大島地区

人手が不足する中、ブルーベリーの収穫に汗を流す小椋さん(長野県喬木村で)

 7月豪雨による土砂崩れで県道が寸断され、孤立していた長野県喬木村大島地区。迂回(うかい)路が完成したことで孤立状態は解消したものの、車両や通行時間などの制約が多い中で、地区の農家は懸命に日常を取り戻そうと汗を流す。人手の不足などに悩むブルーベリー農家と、夏イチゴの生産を始めたばかりの新規就農者の再起への思いに迫った。(藤川千尋)
 

ブルーベリー 通行制限で労力不足


 「経験したことがないほどの大雨だった。山からはごつごつ、がらがら……と、うなるような音が聞こえて怖かった」。土砂崩れが発生した11日夜を振り返るのは、約20アールでブルーベリーを栽培する小椋金次さん(89)だ。土砂崩れが発生した夜は、作業場でブルーベリーの選別をしていた小椋さん。夜が明けると村の中心部に行く県道が大量の土砂で埋もれ、通行ができなくなっていた。

 県は迂回路を整備し、16日から通行可能になった。JAみなみ信州は地区内の集荷場で、ブルーベリーやイチゴなど農産物の集荷を再開した。ただ、迂回路を通行できるのは、同区の住民や建設会社、行政の関係者らに限定。時間帯も復旧工事の関係で、原則平日の朝、昼、夕方の1日3回の各1、2時間に限られる。

 同地区は約10戸の農家がブルーベリーを栽培している。日持ちがしない上、手作業で摘み取るため、収穫には多くの人の手が必要だ。だが、迂回路の通行の制約で、収穫の手伝いに来る人が早めに帰ってしまうなど、労働力が大幅に減っている。収穫作業が思うように進まず、多くの果実が落ちてしまっている状況だ。

 小椋さんは「労力は例年の半分ほど。出荷量も半分ほどに落ち込むかもしれないが、自分にはブルーベリーしかない。今ある果実を頑張って取りたい」と手を動かす。

 例年は県内外からの観光客300人ほどがブルーベリーの摘み取りに訪れる同地区。今はその客も見込めない。大島ブルーベリー観光組合の代表を務める筒井正司さん(77)は「リピーターから、どうしても大島のブルーベリーが食べたいという声があり、送った。産地の励みになる」と感謝する。
 

イチゴ 苗心配…応援が励み


 「ハウスで栽培していたイチゴの苗は、4日ぶりに行ったらランナーが伸びるなどしてジャングル状態。唖然(あぜん)としたし、悲しかった」と話すのは柴藤洋希さん(29)。
 
「乗り越えて、夢をかなえるんだ」とイチゴを収穫する柴藤さん(長野県喬木村で)
 

 昨年5月に、周年でイチゴを作る夢をかなえるために同地区で就農した。村の中心部から車で通い、ハウス10アールで営農。6月には念願の夏イチゴを初出荷し、これから夢に向かって突き進もうとした矢先の災害だった。

 迂回路が開通し、ハウスに足を運んだ時は過熟の果実がそのままの状態。ダニも発生していた。すぐに片付けと防除作業に追われた。「ランナーが伸び切っていたので、花に栄養が行かない状況が続いていた。この先の収量が心配だ」と気をもむ。この他にも、JA以外の配送業者が地区に集荷に来ることができない。そのため、自ら配送業者の営業所までイチゴを運ぶ負担が生じているという。

 そんな中、柴藤さんを勇気づけているのがインターネットの直売サイトでの反響だ。「道路が寸断して栽培管理や出荷できない日々が続いたことを知って、応援の意味で買ってくれた人がいる。1日に20件ほどの注文があり、励みになる」と強調する。

 将来はイチゴを使ったどら焼き作りなども構想している柴藤さん。「神様が農業は甘くないぞ、もっと気合を入れて頑張れと激励してくれているんだと思う。乗り越えて、夢をかなえるんだ」と前を向く。

 

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