人の霊は遠くへ行かず、故郷の山々から子孫を見守り、お盆には「家」に帰ってくる

 人の霊は遠くへ行かず、故郷の山々から子孫を見守り、お盆には「家」に帰ってくる▼民俗学の柳田国男がたどり着いた祖霊観が、『先祖の話』にある。いつも、そんな思いを胸に故郷に向かうのだが、今年は様相が違う。新型コロナウイルスを持ち込まないかとの、不安が“同乗”する。検温、アルコール消毒、マスク着用で万全を期しても、万が一がある▼迎える方も複雑だろう。久しぶりに孫子の元気な顔を見るのは、何より楽しい。しかし、首都圏から里帰りした息子が感染源となったニュースが、頭に浮かぶ。「東京から客が来たというだけで、周りから白い目で見られる」と、自粛警察に身構える▼東京都で感染の再拡大が止まらない。昨日は400人を超えた。首都圏や関西、九州でも増加し、本格的な第2波を思わせる。政府は、「緊急事態宣言を再び出す状況にない」との認識だが、病床が減り始めた医療現場は強い危機感を抱く。東京に残って自粛生活をするのも楽ではない。旅行を奨励したり、自粛を求めたり。ちぐはぐな政府方針に、腹立たしさが募る▼そんなちぐはぐを、どう整理しただろうか。英文学者で『思考の整理学』の著者外山滋比古さんが亡くなった。享年96。コラム書きにはありがたい知恵袋だった。ご冥福を祈る。
 

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