新立民の農業政策 地域振興含め体系化を

 立憲民主、国民民主両党などが合流した新・立憲民主党が船出した。「安倍政権の継承」を掲げる菅義偉首相が規制改革を政策の柱に据える中で、どんな対抗軸を示すかが問われる。政権交代を目指すには、農政について、産業政策と地域政策の両面から総合的・体系的な施策を提示する必要がある。

 日本で「2大政党」の呼称を聞かなくなって久しい。2009年9月から3年3カ月の間、政権にあった民主党は、陥落して以降、政治理念や政策の違いなどから離合集散を繰り返し、党名も変え、安定とは程遠い印象を有権者に与えた。

 一方、前政権の経済政策を新自由主義的だとし、それに対抗する農政の在り方について野党内で接点を見いだしてきた。立民、国民などが共同会派を組んで「安倍農政」を検証し、共通の農政ビジョンを検討した。報告書は、官邸主導の改革路線が現場の思いと乖離(かいり)していると指摘。その上で政策決定の場を見直し、小規模、家族経営体の意見を政策に取り入れるよう提起した。規模を問わず農家の経営を下支えする戸別所得補償制度の重要性も訴える。

 民主党政権での戸別所得補償制度は、米の生産調整に参加する全ての販売農家を対象に、標準的な生産費と販売価格の差に相当する額と、10アール1万5000円を交付する仕組みだった。自民党に政権が戻ってからも現場の要望は強く、完全廃止まで数年を要した経過がある。

 今月結党した立憲民主党の枝野幸男代表は、新自由主義からの脱却を打ち出し、戸別所得補償制度の復活を表明。対象品目を拡充する考えを示した。

 しかし7年8カ月にわたる前政権の下で農業・農村の環境は大きく変わった。米の生産調整の見直しや農政改革、農産物貿易の自由化の進展などだ。また生産基盤の弱体化が進み、農家の高齢化や担い手・労働力不足も深刻化。新型コロナウイルス禍で、外国人材も確保しにくくなった。また日本の人口が減少する中でも東京一極集中は続き、農村では過疎化が進行、存続が危ぶまれる集落が増えた。

 こうした環境変化と課題を踏まえ立憲民主党には、戸別所得補償制度を柱とした農業振興から農村の維持・活性までを網羅する総合的な政策の体系を提示することが求められる。また戸別所得補償の具体的な制度設計も必要である。現行の個別政策の批判にとどまっては、農村の有権者の心を動かすことはできない。そのためには現場の声をつぶさに拾い、前政権の功罪を検証し、菅政権との対抗軸となる政策を具体的に示すべきだ。

 衆院議員任期満了までの1年余りの間に、解散・総選挙が行われる。「常在戦場」である。野党は候補者を一本化しなければ巨大与党に挑めない。一方で政策がばらばらでは政権担当能力は示せない。共通会派の経験を生かし、農業・農村分野の政策合意を目指す必要がある。
 

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