土壌水分に合わせ適正かん水自動化 広島県など装置開発
2021年01月27日

自動かん水制御盤の試作機(広島県立総合技術研究所農業技術センター提供)
広島県立総合技術研究所農業技術センターと寿エンジニアリングは、土壌水分に応じた自動かん水ができる指令機(制御盤)を開発し、製品化した。土壌が乾燥状態になると、設定した水量のかん水を始める。乾燥を検知した系統だけをかん水する単独モードと、全ての系統を順番にかん水する連動モードを切り替えられるのが特徴。今春の発売を予定する。
土壌にセンサーを挿し、水分量を計測する。……
土壌にセンサーを挿し、水分量を計測する。……
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広域捕獲 国が支援 鳥獣特措法改正で骨子案
自民党が議員立法に向けて検討している鳥獣被害防止特別措置法改正案の骨子案が4日、判明した。都道府県が市町村の枠を超えて広域的に捕獲を進める際に、国が財政支援を行うことを明記。猟銃所持許可を更新する際に必要な技能講習の免除特例の延長や、捕獲した鳥獣の有効利用の促進強化も盛り込んだ。
特措法は2007年に議員立法で成立し、今国会で4回目の改正を目指している。……
次ページに骨子案のポイントの表があります
2021年03月05日
生協宅配の新規加入者 「収束後も利用増」の意向 生協総研が調査
生協宅配の新規加入者のうち、新型コロナウイルス収束後も利用を増やすとした回答が約3割に上ったことが、生協総合研究所の調査で分かった。コロナ下で生協宅配の新規加入を決めたタイミングは、1回目の緊急事態宣言が発令された昨年4月が最も多かった。
調査は、昨年10~11月、世帯や回答者本人が生協宅配を主に利用している全国の25~64歳の女性を対象に実施し、4881人が回答した。……
2021年03月07日
みどり戦略 論語と算盤で 消費者 農への参画を 農業ジャーナリスト 小谷あゆみ氏
気候変動やさまざまなリスクに対応する新たな食料生産の柱として、農水省は5日、「みどりの食料システム戦略」の中間取りまとめを発表しました。積極的な環境対策は、国際的な立場においても欠かせないもので、新しい食料戦略は、東アジア地域の農業のこれからを示すことになります。
具体的には、農林水産業の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにすること。化学農薬を5割、化学肥料を3割、使用量を減らすこと。そして、有機農業を2050年までに全耕地面積の25%(100万ヘクタール)に拡大するなどが挙げられます。
目標25%の数値は欧州連合(EU)と同じですが、EUは現在7%の有機農地を30年に25%にしようというもの。これに対し日本は現在0・5%(2万3500ヘクタール)ですが、約30年かけて目標を達成しようというもので、実現に向けてスマート技術などによる新技術や新品種の開発を盛り込んでいます。世界のオーガニック市場は10年前の2倍の10兆円規模と拡大の一途であり、国の成長戦略としても欠かせません。
みどり戦略の掲げる「生産力と持続性の両立」で思い出すのは、渋沢栄一の「論語と算盤」です。幕末から明治大正期に日本資本主義の礎を築いた父の言葉ですが、そろばん勘定の裏には、論語に裏打ちされた商業道徳がないと豊かな社会は築けない、つまりどちらも重要だという考え方です。埼玉県深谷の農村出身の渋沢が家業の藍生産と養蚕のビジネスから学んだように、自己と他者(環境)の利益をうまく合わせて三方良しにする「和」の精神は、農村文化の繁栄につながります。
そこで大事な経済との両立として、筆者が提案したいのは、消費者をいかに農へ巻き込むかです。「理解」だけでは、手間のかかる有機農産物のコストは回収できません。消費者に「農への行動」を促し、草むしり、虫捕り、あぜや用水の清掃に参画してもらうのです。援農ではなく、自分の健康のためにです。
新型コロナウイルス禍で、農への関心が増えると同時にストレスも増しています。時にはスマホを捨てて畑へ出ようを国民運動に一億総農ライフを促せば、規模の大小や認証の有無にかかわらず、有機農人口は増やせます。
人と人の出会いこそ、最大のイノベーションです。生産を知れば、心が動き、行動も変わり、新たな展開も生まれます。こうした農と食を結び直す架け橋になってこその協同組合ではないでしょうか。
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2021年03月09日

トマトにLED補光 日照不足解消へ試験 新潟のベジ・アビオ
トマトを施設栽培するベジ・アビオは2月中旬から、発光ダイオード(LED)を使った補光の実証試験を始めた。日本海側で9月から翌年7月にかけて栽培する同社は、冬場の日照不足が課題だった。LEDで日射を補って光合成を促すことで、収量と品質の安定を狙う。……
2021年03月03日
コロナと田園回帰 共生できる環境整備を
新型コロナウイルス禍で田園回帰への関心が高まっている。政府や自治体などは農山村への人の流れを加速させようと懸命だ。しかし、人口を増やすことだけが目的だと一過性に終わりかねない。移住者と住民が互いに共生できる地域づくりが欠かせない。
都市は「3密」になりやすく、新型コロナの感染リスクが高い。このため人口密度の低い農山村の価値が見直され、東京一極集中に是正の兆しもみられる。人口移動に関する総務省の統計では、東京都から出て行く転出者は2020年が40万人を超え、前年より4・7%増えた。比較可能な14年以降で最多だ。一方、東京都への転入者は43万人で同7・3%減った。
この流れを「ビックウエーブ」と歓迎する声もあるが、疑問だ。北海道のある自治体の移住担当者は「都市からの一時避難として移住する人を増やしても、地域にとって意味がないのではないか」と冷静に捉える。
テレワークが普及し、都市に住んでいた時と同じ仕事をしながら住居だけを変える「引っ越し感覚」の移住では、地域とあまり関わらないままになる可能性がある。農的な暮らしがしたいなど、希望を持って移住してくる人の受け入れ態勢をどうつくるかが重要である。
参考になるのが、酪農ヘルパーの労働環境改善に向けた北海道での取り組みだ。酪農家の休暇や冠婚葬祭時などに欠かせず、道外からの移住者らが担い手になっている。多くの酪農家には従来、作業員や労働力としての捉え方が強かったという。
一方、インターンシップの受け入れができなかったことなどで酪農ヘルパーの希望者が減少。北海道酪農ヘルパー事業推進協議会(事務局=JA北海道中央会)は、道全域の組合で、就業規則の整備率100%を目指し運動を始めた。地域によっては、酪農ヘルパーをしながら他の仕事もする「半酪農ヘルパー半X」も活躍している。
道東の酪農家は「労働環境を改善し、酪農ヘルパーが生き生きと地域で暮らすことで、他の人もこの地域に関心を持ち、地域全体に良い影響をもたらす」と期待する。
北海道では、酪農ヘルパーだけでなく、新規就農者に加え、学生や地域おこし協力隊、他に仕事を持っている人、1日契約など週末だけ農業でアルバイトをする主婦ら、多様な人が農業への関心を高めている。農家や産地も専業農家の確保・育成だけでなく、そうした人たちを大切にし、受け入れようとの意識に変わってきている。
しかし農業の労働環境の整備・改善や、ライフスタイルや価値観が多様な人たちの受け皿づくりは一朝一夕にはできない。農家や産地、地域の取り組みが必要だ。一方で「引っ越し感覚」で移住して来た人に、地域社会の一員としての意識と関わりを持ってもらう取り組みも求められる。
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2021年03月03日
営農の新着記事
ドローン+スマートグラス 桃せん孔細菌病防除 山梨大
山梨大学は、ドローン(小型無人飛行機)とスマートグラス(カメラ付き眼鏡型端末)を組み合わせ、桃のせん孔細菌病の防除方法を研究している。桃園を上空から撮影し、木の生育や園地環境を盛り込んだ地理情報システム(GIS)を構築。被害箇所や発生しやすい場所を特定する。その情報を基に、地上からはスマートグラスで病斑を検出、枝の適切な切除場所を表示する。
初心者でも対策ができる技術として、2022年度の実用化を目指す。
桃のせん孔細菌病は、枝や葉、果実に感染し、樹勢や果実の商品価値の低下を引き起こす。降雨や風によって感染が拡大。薬剤だけで防ぐことが難しいため、被害枝・葉の切除や被害果の摘果が必要になる。
しかし、木の上部まで確認して作業するため、昇降機や脚立が必要で、高齢者の事故が多発している。一方、新規参入者には枝の切除場所などが分かりにくく、的確な防除が困難だった。
同大学工学部の小谷信司教授は、高解像度のビデオカメラを搭載したドローンで、園地を上空から撮影。園の被害状況が分かるGISを構築している。将来的には、自動的に被害を検出できる画像認識システムを目指している。
温湿度や風、降ひょうのデータに加え、木の被害状況を地図上に入力し発生しやすい条件を見つけ出す。小谷教授は「地域全体で防除することが重要だ。発生しやすい園地は、別の作物に転作するなどの対策がとれる」と指摘する。
スマートグラスは、付属のカメラ映像から病斑を検出し、切除する具体的な場所を示す。確認しながら作業でき、見落としや切り忘れを防げる。切除した枝や葉、果実は検査を実施。病斑の検出が正しかったか確認し、精度を高める。
21年度は、生産現場で実証を進める予定だ。小谷教授は「桃のせん孔細菌病で技術を確立すれば、他の果樹や病害にも応用できる」と期待する。
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2021年03月09日

サツマイモ基腐病 病原菌持ち込み防げ 対策手引を作成 農研機構など
農研機構などは九州などで被害が拡大しているサツマイモ基腐病の対策マニュアル「サツマイモ基腐病の発生生態と防除対策」をまとめた。対策の基本は圃場(ほじょう)に病原菌を持ち込まないこととし、種芋の更新や苗床消毒、苗、種芋の消毒などに注意を促す。
サツマイモ基腐病に感染したサツマイモは生育不良になり、植物全体が萎凋(いちょう)、枯死する。……
2021年03月09日
全国青年農業者会議 小崎さん(北海道)ら大臣賞
全国農業青年クラブ連絡協議会は4日、全国の若手農家が集まって活動成果を発表し合う「全国青年農業者会議2020」をオンラインで開いた。6個人・団体を農水大臣賞に選び、表彰。プロジェクト発表の園芸・特産作物部門では、北海道湧別町の小崎光さん(32)が受賞した。……
2021年03月05日
コロナ下の対応 鍵握る信頼関係 普及指導員に全国調査 日本農業普及学会
新型コロナウイルスの拡大で、普及指導員が活動に影響を「大いに感じた」「感じた」が9割に上ることが4日、日本農業普及学会の調査で明らかになった。同日の春季大会で報告した。同学会は「電話やメールなどでも一定の対応ができる。農業者と信頼関係を築き、普及活動を進めることが課題だ」と指摘した。……
2021年03月05日

イネもみ枯細菌病を抑制 4種の 「善玉菌」 発見 農研機構
農研機構は3日、稲の重要病害、イネもみ枯細菌病=<ことば>参照=の発症を抑える微生物を発見したと発表した。稲自身から見つかった4種類の細菌で、稲の体内の微生物のバランスを取り、病原菌を抑える「善玉菌」と考えられる。同病は決定的な防除方法がないため、微生物農薬など有効な防除資材の開発に役立つとみる。
善玉菌は、イネもみ枯細菌病に感染した稲の幼苗から見つかった。……
2021年03月04日

エゴマに高抗酸化力 そば粉、玄米、黒大豆も 富山県食品研34品目を調査
富山県農林水産総合技術センター食品研究所は「県内産農産物の抗酸化力評価」をまとめ、3日の研究発表会で説明した。調査した県産34品目の中で「生のエゴマの葉」が最も高い数値が出た。実際には調理して食べることを想定し、品目ごとに加熱や保存した場合の抗酸化力の変化も示しており、県産の販売促進や消費者の利用拡大に役立てる。
体を酸化させる活性酸素は、さまざまな病気の発症に関係しているとされる。「抗酸化力」が人体にもたらす効果は研究途上だが、活性酸素の害を防ぐ役割が期待されている。健康志向の高まりを受けて食品研究所は、2012~19年度にわたり、県内の農産物や加工品34品目の抗酸化力を、ORAC法と呼ばれる測定方法で分析した。
ORACは「活性酸素吸収能力」と訳される指標。ポリフェノールやビタミンCなど水溶性抗酸化物質が関係する数値と、ビタミンEなど脂溶性抗酸化物質が関係する数値をそれぞれ測定して合算し、抗酸化力を評価した。34品目のうち、生のエゴマの葉は119と格段に高い数値が測定された。エゴマはシソ科の一年草で、富山市が特産として力を入れている。えごま油も53と高い。
他に高い値が出たのは、そば粉(品種は「信濃1号」)の90、玄米(「富山赤78号」)81、乾燥した黒大豆(「丹波黒」)77、ユズ果皮70、バタバタ茶葉69、生のブルーベリー57など。米みそは4社で調べたところ45~51と比較的高かった。
詳細は食品研究所のホームページで公開し、加熱や保存による抗酸化力の変化も紹介している。発表会場でも関心は高く、「食べるときの分量を考慮するのも大事ではないか」などと質問や意見が相次いだ。
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2021年03月04日

アジサイ 色づき楽しんで 島根新品種「星あつめ」に
島根県は農業技術センターが育成したオリジナルアジサイ第5弾「FRCK―003―S―9」の名称を「星あつめ」に決めた。花が色づく様子が星々のきらめきを思わせるイメージで、公募で集まった415通から選んだ。「母の日」に向け、4月から試験出荷を予定する。
「星あつめ」は、花びら(がく)の先端がとがった八重咲き。手まり形のアジサイで小ぶりな花(花房)がたくさんつき、草丈が低くコンパクト。小花がそれぞれ別のタイミングで色づくのが最大の特徴で、若々しい緑としっかり色づいた青やピンクとのコントラストが楽しめる。終盤にはきれいな秋色(緑)になり変化も個性的だ。
2012年4月にデビューした「万華鏡」に続き、「美雲」「銀河」「茜雲」の4品種に魅力ある「星あつめ」が加わった県オリジナルアジサイの生産は、生産者で組織する県アジサイ研究会が担う。
研究会は17人が年間約10万鉢を生産。JA全中とNHKが主催する今年度の第50回日本農業賞の集団組織の部で、大賞に選ばれた。
育成した県農業技術センターは、都道府県の研究機関で初めて日本花普及センターなどが主催する「日本フラワービジネス大賞2017(育種・生産部門)」を受賞するなど、市場の注目度が高く、引き合いの強いアジサイの品種開発に高い評価を得ている。
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2021年03月04日

イアコーン収穫機開発 汎用機に取り付け 濃厚飼料 自給率向上へ 農研機構とタカキタ
農研機構と農機メーカーのタカキタは2日、汎用(はんよう)型飼料収穫機に装着してトウモロコシの雌穂(イアコーン)だけを収穫する刈り取り装置を開発したと発表した。汎用型飼料収穫機に装着する。トウモロコシが倒伏していなければ、1時間に40アールを収穫できる。都府県の比較的狭い圃場(ほじょう)でも使え、国産濃厚飼料の自給率向上につながる。4月からタカキタで受注販売を始める。
イアコーンは穀実の比率が高く栄養価が高い。……
2021年03月03日

トマトにLED補光 日照不足解消へ試験 新潟のベジ・アビオ
トマトを施設栽培するベジ・アビオは2月中旬から、発光ダイオード(LED)を使った補光の実証試験を始めた。日本海側で9月から翌年7月にかけて栽培する同社は、冬場の日照不足が課題だった。LEDで日射を補って光合成を促すことで、収量と品質の安定を狙う。……
2021年03月03日
水流妨げるカワヒバリガイ対策 貯水池の落水や駆除剤が効果的 水生外来生物セミナーで報告 農研機構 茨城県
農研機構と茨城県は、水に住む外来生物の現状や対策を話し合うセミナーをオンラインで開いた。焦点を当てたのは、近年分布を広げ、農業用水路などで水流を妨げるカワヒバリガイ。貯水池の落水や駆除剤など、成果を上げつつある新技術を報告した。分布をこれ以上広げないためにも、駆除の実践は重要とした。
カワヒバリガイは、アジア原産で淡水に住む大きさ数センチの貝。……
2021年03月02日