乳幼児向けようかん発売 県産野菜ふんだんに 松山市の和菓子会社
2021年02月28日

新発売した乳幼児向け「おやおやようかん」(薄墨羊羹提供)
松山市の薄墨羊羹(ようかん)が県内産野菜をふんだんに使った乳幼児向けようかん「おやおやようかん」を発売した。「とまと」「かぼちゃ」「ほうれん草」「紫いも」「みかん」の5種類。もなか皮で作った食べられるスプーンや、かわいい動物を描いたパッケージも楽しいおやつの時間を演出する。県内直営店とオンラインで販売している。
江戸時代創業の同社がようかんの新市場開拓を目指し、県内異業種2社と連携で地域密着型ビジネス創出にチャレンジした。「安心安全、おいしい、おやつの時間が楽しくなる」をコンセプトに子どもが初めて食べる和菓子として開発した。
カップ入りの軟らかいようかんで、もち米で作った食べられる「もなかスプーン」で食べる。ようかんに使う白あんの主原料は、食物繊維やミネラルが豊富な北海道産の手亡豆。
野菜は県内契約農家が栽培する。うま味や栄養を凝縮し、舌触りが滑らかになるようパウダーやペースト状にして練り込んだ。砂糖は通常はようかんに使わない沖縄産のきび砂糖を使い、発達段階の子どもの舌にちょうど良い甘さに仕上げた。
直営店では1個(80グラム、スプーン付き)320円(税別)で販売。オンライン販売は6個セットが税別、2000円(野菜4種各1個、みかん2個、スプーン6個、送料別)。
江戸時代創業の同社がようかんの新市場開拓を目指し、県内異業種2社と連携で地域密着型ビジネス創出にチャレンジした。「安心安全、おいしい、おやつの時間が楽しくなる」をコンセプトに子どもが初めて食べる和菓子として開発した。
カップ入りの軟らかいようかんで、もち米で作った食べられる「もなかスプーン」で食べる。ようかんに使う白あんの主原料は、食物繊維やミネラルが豊富な北海道産の手亡豆。
野菜は県内契約農家が栽培する。うま味や栄養を凝縮し、舌触りが滑らかになるようパウダーやペースト状にして練り込んだ。砂糖は通常はようかんに使わない沖縄産のきび砂糖を使い、発達段階の子どもの舌にちょうど良い甘さに仕上げた。
直営店では1個(80グラム、スプーン付き)320円(税別)で販売。オンライン販売は6個セットが税別、2000円(野菜4種各1個、みかん2個、スプーン6個、送料別)。
おすすめ記事

土浦ツェッペリンカレーDeluxe 茨城県土浦市
全国有数のレンコン産地、茨城県土浦市のレンコンと、県の銘柄豚「ローズポーク」を使ったカレー。土浦商工会議所が企画・販売する。
1929年にドイツの飛行船「ツェッペリン伯号」が世界一周の途中で降り立ったのが同市近郊の霞ケ浦海軍航空隊だった。当時、乗組員たちにカレーを振る舞ったという話を基に同市が2004年にカレーのまちづくりを始め、同会議所女性会が当時をイメージしてカレーを作った。同商品は09年から販売している。
1パック(220グラム)540円。問い合わせは同会議所、(電)029(822)0391。
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2021年04月14日
酪農ヘルパーに外国人材 「特定技能」 派遣で実証 北海道
北海道は、在留資格「特定技能」を取得した外国人を酪農ヘルパー利用組合に派遣する全国初の実証試験を始める。日替わりで複数の酪農家を回るヘルパーが特定技能の仕事にふさわしいかを見極め、適正な受け入れを道農政部とJA北海道中央会が探る。労務管理や、外国人材の技術・知識の向上につなげながら、酪農ヘルパーの人手不足対策としたい考えだ。(尾原浩子)
道中央会によると、特定技能の外国人が酪農ヘルパーになるのは全国に例がない。……
2021年04月15日

桜花ゼリー 長野県松川町
長野県松川町内の農家13戸で運営する農産物加工施設「味の里まつかわ」が桜の花を加工し、飯田市の製菓店が製造するゼリー。
原料は、町内で栽培する八重桜の一種で加工用の「関山桜」の花びら。これを梅酢に1週間ほど漬け、製菓店がゼリーに仕上げる。
同町は「竜峡小梅」発祥の地。果肉の部分が多く、かりっとした食感が特徴だ。この梅を使った白梅酢で桜の花を漬け込む。
1袋約80グラム(2個入り)で300円。町内の農産物直売所「あい菜果」や、飯田市の「およりてふぁーむ」農産物直売所、農産物直売所「あざれあ」で販売する。問い合わせは「味の里まつかわ」、(電)0265(36)7122。
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2021年04月13日

東日本各地で凍霜害 雌しべ枯死広範 山形・サクランボ
先週末の関東から東北にかけての広い範囲で発生した冷え込みの影響で、果樹を中心に各地で凍霜害が出ている。特に国内生産量の7割を誇る山形県のサクランボでは広い範囲で雌しべが枯死し、作柄への影響が懸念されている。
山形県天童市の大町さくらんぼ園では「紅秀峰」を中心に被害を受けた。武田章代表は「近年ない規模での凍霜害。生育が前進し、花が咲きかけていた」と話す。防霜ファンを回したが、氷点下4度近くまで冷え込み、被害が避けられなかった。「昨年はコロナ、今年は凍霜害と生産者にとっては厳しい年が続く」と嘆く。
十分な対策も…サクランボ直撃 想定外の低温 肩落とす
全国随一のサクランボ産地である山形県では、低温による凍霜害で、生産者が悲鳴を上げる。白い花の中、緑色に伸びているはずの雌しべが茶色に染まり、枯死が相次いで確認された。産地は残る雌しべを守り、確実に受粉できるように対策を呼び掛ける。(高内杏奈)
残った雌しべ「受粉確実に」
出荷量が上位の東根、天童、寒河江の各市では、3月から気温が高く降水も少なかったため、サクランボの発芽は平年より5日程度早まっていた。10日から11日未明にかけて最低気温がマイナス4度近くに下がり、長時間の低温が影響。開花直前という最も霜に弱い時期に低温・降霜が重なり、被害が相次ぐ事態となった。
JAさがえ西村山の秋場尚弘さくらんぼ部会長は「ここまで気温が下がるとは思わなかった」と肩を落とす。秋場部会長は、約50キロの収穫を見込む木で雌しべの枯死を確認。「収量は半分あるかどうか心配。ここしばらく日中の気温も低い。例年は15度程度だが、10度を下回る日が続いている。今夜も心配で眠れそうにない」と打ち明ける。 県全体の雌しべの枯死率は主力「佐藤錦」が20~60%、大粒の晩生「紅秀峰」は40~80%に達する。特に「紅秀峰」は晩生ながらも他品種より発芽が早いため、降霜の打撃を大きく受けている。
凍霜害対策として、樹上からマイクロスプリンクラーなどで連続散水し、凍るときに放出する熱を利用する散水氷結法がある。東根市で1・2ヘクタール栽培する岡崎貴嗣さん(47)はこの方法で対策を立てていたが、それを上回る低温で雌しべの枯死が確認された。
同市は昨年、新型コロナでサクランボ狩りに来る観光客が激減した。だが、ふるさと納税などで着実にファンを獲得してきた。岡崎さんは「来年も買うと言ってくれた消費者を裏切らないよう、残った雌しべの受粉を確実にしたい」と人工授粉の徹底で着果率を高めることを誓った。
JAさがえ西村山は14日に緊急会議を開いて被害状況を把握。生産者に、ちらしなどで凍霜害対策と人工授粉の徹底を呼び掛けることを確認した。
福島県では梨や桃などの果樹とアスパラガスで被害が出た。長野県では、11日現在で10市3町2村の農作物被害が、2億4220万円に上った。松本地域ではリンゴや梨などの果樹やアスパラガスに被害が出た。
栃木県によると、13日現在、梨で約5億4938万円の被害が発生。芳賀町や高根沢町など3市3町で花への低温障害が生じた。群馬県でも14日現在各地で梨、リンゴ、柿、サクランボの花が枯死する影響が出た。
新潟県内では新潟市など9市町で果樹の凍霜害が発生。13日現在、梨を中心に西洋梨や柿、桃など約400ヘクタールで花芽の褐変が確認されている。
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2021年04月15日

栗山千明さん(女優) レンコン映画に悪戦苦闘
私が生まれ育った茨城県は、レンコンの生産日本一なんです。
でもそのことを知ったのは、大人になってから。私の住んでいたところに農地はなく、ちょっと遠出してレンコン畑があると、親から「落ちたらダメだよ」と言われたことを覚えています。
今回、加賀レンコンを題材にした映画『種まく旅人~華蓮のかがやき~』に出演させていただきました。レンコン農家の生き方を描く作品で、畑に入っての撮影シーンもありました。
覚悟はしていたんです。埋まってしまう、思うように動けない。事前に知っていましたので、これは大変だぞと思いながら入ったんですが、やっぱり。
このせりふを言う時にはこの動きを……と思って体を動かすんですが、いざやってもできないもどかしさが。
農家の苦労実感
畑の真ん中で、撮影のセッティングを待つこともありました。普通なら一回上がって待つのでしょうけど、端まで行くのが大変なんです。ですからスタッフの方に「私はここにいます」と言って残るんですが、どんどん足が埋まっていって動けなくなってしまうんです。それを防ぐため、たまにもじもじ動いてみたり。農家の方のご苦労に頭が下がりました。
私は初めて畑に入るという設定の役でしたから、慣れていなくても成立します。私のあたふたしている様子が、ナチュラルに映っていると思います。
金沢での撮影というと、夜はおいしい魚を食べたんだろうと思われるでしょうが、残念なことに違うんです。夜のシーンの撮影がたくさんありましたし、宿泊しているところから繁華街が遠い上、朝早くから撮影が始まりましたので、食べに行けませんでした。前に舞台で金沢に行った時は、いろいろ食べられたんですが。
地元野菜を堪能
その代わり今回は、地元の方々がレンコンをはじめ野菜を使った料理を振る舞ってくださいました。面白い上においしかったのは、レンコンをすりおろしてお好み焼きに入れたもの。他にも、言われないとレンコンだと分からない料理がいくつも出てきました。
子ども時代は、レンコンはきんぴらとか煮物とかでしか食べたことがなかったんです。おいしい食べ方がいろいろあるんだと、初めて知りました。
『種まく旅人』はシリーズ化され、今回が4作目。私が出演するのは2作目ですけど、おかげで食に対する探究心が強まりました。
もともと日本食派なんです。ご飯が大好き。おそば、うどんも好き。茨城生まれですから、納豆は常に冷蔵庫に入っています。あと、生ものが好きなんですよね。魚、貝、鶏のささ身。野菜もそのまま生で食べるのが好きです。セロリとかは、マヨネーズも何も付けずにバリバリと食べます。
生でいただくのが好きだから、料理が上達しないという欠点があるんですが。
仕事で海外に行くことはあっても、海外旅行には興味を持てません。観光は楽しめても、長くいられないんです。「あー和食を食べたい」という気持ちになるから。日本に帰ってきたら、真っ先に刺し身を食べたくなります。
以前、舞台の仕事で金沢に行った時は、おいしい刺し身に感動しました。今回は加賀野菜の素晴らしさを知ることができました。次に金沢に行くことがあったら。ゆっくりと魚と野菜をいただきたいと思っています。(聞き手=菊地武顕)
くりやま・ちあき 1984年茨城県生まれ。モデルを経て、99年に映画『死国』で女優デビュー。『バトル・ロワイヤル』(2000年)での演技がクエンティン・タランティーノ監督を魅了し、同監督の『キル・ビルVol.1』(03年)に出演した。『種まく旅人~華蓮のかがやき~』は3月26日石川県先行上映、4月2日公開。
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2021年03月06日
地域の新着記事

熊本地震5年 絆つなぐ手作り弁当 大学校舎移転“学生村の縁”今も 南阿蘇村住民グループ
熊本地震の本震から5年。南阿蘇村では今も、農業実習に訪れる学生に手作り弁当を届ける女性たちがいる。地震が起きる前は東海大学農学部生向けの下宿を営んでいた。今後、実習地は移転する予定で、学生との交流は先細りしかねない。だがメンバーはできるところまで「おばちゃんたちのご飯が食べたい」との思いに応えようとしている。(三宅映未)
地元の味で「恩返す」
東海大の旧キャンパス近くにある農業実習地には昼、大型バスが数台並ぶ。午後の授業に備え、熊本市内の校舎から学生が移動してくる。片道約1時間の道のりの後、待っているのが弁当の時間だ。
今月半ばの献立は人気メニューのとんかつや地元産ワケギを使った郷土料理。千葉県から進学した相田晴嵩さん(19)は「1人暮らしで食べ物が偏りがちだからありがたい」と頬張った。鹿児島県出身の米倉咲良さん(19)は「(実習地までの)移動は少し大変。でもおいしい弁当が活力になる」と話した。
弁当を作るのは同村黒川地区の住民グループ「すがるの里」。地震まで賄い付きの下宿を営んでいた女性16人がメンバーだ。学生の8割に当たる800人が住み、一帯は「学生村」と呼ばれていた。
だが、地震で農学部のキャンパスは建物や敷地に亀裂が走り、立ち入りできない状況に。同地区も下宿や建物が崩れ、学生3人の命が奪われた。校舎はは熊本市に移転し、学生の姿は消えた。
復旧が進む中、行政、学生と住民を交えた話し合いが持たれた。学生の「おばちゃんたちのご飯が食べたい」との声を受け、2019年にグループを設立。「地震の時、学生に命を救われた人もいる。恩返しの気持ちで始めた」と代表の垣ます子さん(72)は語る。
手作りの弁当を紹介する垣代表(同)
活動拠点は実習地近くの廃校。実習日に合わせ週に1、2回、朝から調理を始める。食材は地元産を多く使い、農家から提供を受けることもある。酢みそなどの調味料は手作り。価格は1個400円。
住民の知恵 貴重な学び
20年末、農学部校舎を益城町に建設する工事が始まった。畜舎など実習場も備え、23年4月に運用を開始する計画。今の実習地がどうなるかは不透明だ。
メンバーの一人、竹原伊都子さん(60)は「卒業生が関係を引き継ぎ、地震を知らない今の学生も訪ねに来る。『用がなくても(来て)いいとよ』とご飯を食べてもらう」と話す。地震前、学生たちは住民と酒を酌み交わし、いろいろな手伝いをして交流を深めた。「授業で学べないことを知ることができて、うれしい」との声も竹原さんは聞いた。
新校舎近くに「学生村」ができる話は、現時点でない。竹原さんは「南阿蘇で学生が地域から学ぶ機会は減るだろう。建設地を見るたび複雑な気持ちになる」と明かす。
住民は、当時の学生も参加する二つの団体と今も交流を続けている。同大学出身で同校に勤める中野祐志技術員は「キャンパスが離れても、つながりをどうにか持ち続けたい」と語る。
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2021年04月16日

熊本地震から5年 復旧の歩みに隔たり 営農本格化 工事「足踏み」 南阿蘇村、山都町
14日と16日に、2度の震度7を記録した熊本地震から5年がたつ。土砂崩れや地割れで被災した農地は多くが復旧し、営農再開を果たした。熊本県南阿蘇村では土砂に埋もれた棚田を大区画に整備。一方で山都町では復旧が遅れ、あぜなどの工事の3割が未完了だ。生産者の中には自ら補修し営農を続けている人もいる。(岩瀬繁信)
南阿蘇村乙ケ瀬地区の棚田は、2016年4月16日の地震で、大規模な土砂崩れが起きた。水稲を栽培する藤原三男さん(73)は、「50年、耕した水田が一瞬でなくなった」と振り返る。
おいしい米ができるよう土づくりに力を入れ、若い頃は堆肥を牛の背中に載せて運んだ。10年前には山の湧き水を導く水路も整備したが、地震で土砂と一緒に崩落した。
個人で建てたライスセンターは、乾燥機8台のうち3台が駄目になった。「残りもメーカーが直せるか分からないほどめちゃくちゃだった。廃棄すると思ったら涙が出た」と話す。
米作りを「やめようか」と思ったが、幸い建物は無事だった。被害を免れた水田で田植えもできた。稲刈り後に必要になる調製施設は、壊れた部品を交換し、毎日少しずつ復旧作業を続け、収穫に間に合わせた。
16年秋、藤原さんら地区の住民は棚田復旧の協議を始めた。以前から区画整理が必要と話しており、災害を機に大区画化を進めると決めた。県や国、村の支援で26ヘクタールの工事を開始。以前は1枚数アールの水田もあったが、20~30アールに広がった。
藤原さんは「大きな機械も格段に入りやすくなった」と喜ぶ。20年に一部で田植えが始まり、21年は全面を植える。来年のことは分からないが、「元気なうちはこの土地で米を作り続ける」と藤原さんは決意する。
熊本県は、農家の営農再開率を21年3月末で100%とする。一方で農道や水路などの復旧工事は完了率が86%。地域差が大きく、16年6月に豪雨の被害が重なった山都町は69%にとどまる。
棚田が広がる山都町白糸地区は、工事完了率が56%。水稲を2・7ヘクタール作る岩崎邦夫さん(78)は、崩れたあぜや水路11カ所で工事を申請したが、完了はまだ2カ所だけだ。「先祖が守った土地を荒らすわけにはいかない」と話し、早期の工事完了を訴えている。
工事が進まない中、地区では多くの生産者が農地を自身で補修して営農を続ける。
山下徹さん(50)は、崩れたあぜの内側に簡易のあぜを設置し、採種用の米を作る。山都町は県の主食用米種子の半分以上を生産していて「作り続ける責任がある」と、山下さんは力を込める。
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2021年04月14日

無花粉ヒノキ「丹沢 森のミライ」デビュー 神奈川県が苗出荷
神奈川県は無花粉のヒノキを「丹沢 森のミライ」の愛称で、初めて出荷していくことを明らかにした。現在、県内で出荷される杉やヒノキは、全て花粉の飛散量が少ない品種。「丹沢 森のミライ」はこれらの品種の20%以下の飛散量だった。第1陣は152本用意し、今後の植樹のイベントでのPRに使う予定だ。
2012年に県の自然環境保全センターがヒノキ4074本から花粉の飛ばない可能性がある雄で、繁殖しない不稔性のヒノキ1本を見つけた。その後2年間調査し、花粉が飛散しないことを確認。19年5月から県山林種苗協同組合がさし木で育苗を始めた。苗木の土の付いた根の部分が筒状のコンテナで2年育てた苗を出荷できるようになった。
県は林業関係者などからの愛称を募り、136点から「丹沢 森のミライ」と決めた。黒岩祐治県知事は記者会見で「花粉症のない快適な未来を予感させる名前」などと選定の理由を語った。
無花粉ヒノキの価格は、2年生のコンテナ苗で1本300円前後。同等程度の規格で少花粉のヒノキより100円ほど高い。同組合に連絡すれば購入できる。県は27年度までに毎年40~50ヘクタールに15万本程度植える杉やヒノキの1割ほどを無花粉の品種にしていく予定だ。
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2021年04月14日
3都府県「まん延防止」 コロナ禍出口どこに
政府は9日、新型コロナウイルス対策として緊急事態宣言に準じた対応が可能となる「まん延防止等重点措置」を東京、京都、沖縄の3都府県に適用することを決めた。対象区域の飲食店は、営業時間の午後8時までの短縮を求められる。影響を受ける外食産業や農家などの関係者からは、コロナの終息に向けた出口が全く見えない状況に「かなり厳しい」「これ以上は限界」といった声が相次いだ。
また時短、限界 消費しぼむ
外食
外食業界団体の日本フードサービス協会は「飲食店は『時短営業対応をいつまで繰り返すのか。いい加減にしてほしい』というのが本音だ」と明かす。感染防止対策でできることは既にやってきたが、これ以上は限界と受け止める。
時短の長期化で、銀行が追加融資を渋る事例が増えており、雇用調整助成金が当初予定の4月末で切れてしまえば、「飲食店が生き延びることはできない」と苦境を訴えた。
野菜仲卸
まん延防止等重点措置の東京都適用を受け、野菜の仲卸業者は「特に酒類を提供する飲食店からの注文は落ち込みが大きくなっている」と明かす。緊急事態宣言の解除後、注文は3割増と回復したが、「感染増加に伴い今週は再び落ち込んだ。大型連休の書き入れ時に重なるのは痛い」と漏らす。
卸売業者も「飲食店向けだった野菜が振り向け先に困り、葉物など足が早い商材は取引価格を大きく下げている」と話す。
酒造組合
度重なる飲食店への時短要請で、需要が大きく減る酒の業界は悲鳴を上げる。日本酒造組合中央会は「飲食店や旅行での消費が減り、酒造メーカーの経営はかなり厳しい。その状況が続く」と話す。高級日本酒を販売する東京都内の酒店は「昨年の春ごろは、自宅消費でインターネット販売が盛り上がったが、その勢いも収まった」と課題をみる。自宅向けの消費挽回に期待するものの、苦戦している状況だ。
作付けどうなる 策尽きた
生産者
東京都あきる野市の長屋太幹さん(39)は、約1ヘクタールでケールやリーキ、ビーツなどを生産し、都内のレストランに出荷している。時短営業の影響を受け、飲食店との昨年の取引額は例年の3分の1程度に落ち込んだという。
都がまん延防止等重点措置の対象となることを受けて「春から飲食店が復活することを期待して、頑張って作付けをしたが、なかなか厳しい」と声を落とす。
飲食店
買い物客がまばらな商店街(9日、那覇市で)
沖縄県では、今月1日から独自で飲食店への時短要請を実施している。JAおきなわの直売所で食材を毎日仕入れる糸満市の飲食店「味どころ田舎家」の高田見発店長は「要請が出た時点で店内での飲食自体を控える動きが増え、夜に加えて昼の客足も落ち込んでいる」と窮状を話す。昼は弁当販売に切り替えたが、1日20~30個ほどの売れ行きで、売り上げの減少をカバーできない。「できる限り経費を削減しているが、1年近く同じような状況が続き、もう手の打ちようがない」と語る。
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2021年04月10日

地域と移住者を橋渡し 各地で協力隊“卒業生”の組織設立
元・地域おこし協力隊員の組織化の動きが、各地で広がっている。地方への移住希望者と受け入れ側とのミスマッチ予防に活躍する。元隊員は、隊員の募集要項の見直しを助言し初の採用に貢献、また経験を生かして移住希望者の不安に寄り添うなどの活動を展開。政府が2024年度までに隊員数を8000人にする目標を掲げる中、“先輩移住者”として隊員の受け入れや定着を後押ししている。(丸草慶人)
「隊員」初採用導く 募集要項の見直しも
総務省によると元隊員らの組織数は、15年度の1団体から、20年度末までに19団体に増えている。隊員数が増える中、身近な相談窓口として同省は19年度、組織化を後押しする事業をスタート。都道府県単位の組織を設ける場合、150万円を上限に助成する。20年度までに10団体を採択。21年度も事業は継続する。
「自治体は隊員にあれもこれも多くを求めがち。隊員はスーパーマンではない」。佐賀県地域おこし協力隊ネットワーク代表の門脇恵さん(35)はこう指摘する。佐賀県で19年11月、元隊員らが同ネットワークを設立した。20年度、4市町の募集要項や活動内容の見直しを手伝った。
門脇さんの助言で神埼市は、活動項目を7から1に絞り込んだ。「イベントの開催と誘致」に限定し、仕事内容をイメージしやすくした。このことで、隊員の募集開始から4年目で初の採用につなげることができた。同市初の隊員となった福岡県出身の吉富友梨奈さん(31)は「移住希望者にとって、活動内容の分かりやすさは重要。サポートが充実していて安心できた」と話す。
悩みに共感心ケア 相談窓口を担当
元隊員は、移住希望者の不安にしっかり寄り添えることも強みだ。19年度の移住者が1909人と過去最高を記録した愛媛県。移住相談窓口を「えひめ暮らしネットワーク」が担う。
ここでは8人の元隊員が松山市の事務所に常駐。移住希望者が現地を視察する場合、ネットワークの元隊員が現地隊員の同行を手配している。
元隊員の組織化によって、隊員や自治体の情報が集まりやすくなった。このことを生かし移住希望者に適した地域や活動内容を助言し、ミスマッチの防止を目指す。不定期で訪れる移住相談にも臨機に対応でき、着実な移住につなげている。代表の板垣義男さん(46)は「希望者の悩みに共感して、視察先のありのままを答えることができる」と胸を張る。
持続可能な地域社会総合研究所・藤山浩所長の話
地方回帰を進める上で、地域おこし協力隊は重要な存在だ。地域実態に合った活性化の戦略を練り上げるには、隊員としての経験と知見が頼りになる。元隊員らが組織化することで、ノウハウを共有して学び合える。地域の意見と移住者のやりたいことを調整して導くことができ、受け皿となることにも期待できる。
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2021年04月09日

マスク越し、希望の香り [コロナが変えた日常]
新型コロナウイルス禍でも前を向こう──。群馬県藤岡市にある農業高校、県立藤岡北高校で8日、同校フローラルライフコースの生徒の手による、花で彩られた入学式が行われた。式は保護者の数を制限し、マスク姿で開いた。
新入生120人は、カーネーションやトルコギキョウなど100本の切り花でアレンジしたアーチをくぐって体育館に入場した。ステージにも、生徒が種から育てたキンギョソウとペチュニアのプランター70鉢が並び、マスク越しでも分かる花の香りが新入生を包み込んだ。
花の装飾は、コロナ禍で行事がほとんどできなかった3年生を明るく送り出そうと、3月の卒業式から在校生が始め、今回の入学式でも取り入れた。
新入生代表として宣誓した秋山美智さん(15)は、花であふれた農業高校らしいステージを見上げ「花が大好き。見ただけで花の名前が言えるようになりたい」と期待に胸を膨らませていた。(染谷臨太郎)
コロナ禍による最初の緊急事態宣言から1年。未曽有の感染症が変えた食や農、暮らしの日常を写真で紹介する。
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2021年04月09日

巧みに牛をさばく「技」絶やさず継承 マイスター制度設立 兵庫県食肉卸事業協同組合
和牛の流通を陰で支える「食肉処理技術」の継承に、兵庫県の業界団体が乗りだした。県食肉卸事業協同組合は、枝肉を各部位に切り分けるこの技術で特に優れた“職人”を認定する「兵庫県牛肉マイスター」制度を設立。高齢化などで人材不足が全国的な課題となる中“職人技”を次代につなぐ中核的人材を育てる。組合によると、食肉処理技術者の認定制度を都道府県単位で設けるのは全国で初めて。(北坂公紀)
中核人材の確保・育成へ
牛肉は、大きく分けて3段階で切り分けられる。まず、卸売市場で枝肉に加工。その後、食肉卸などに販売され、食肉処理技術者がヒレやモモなどの各部位に切り分ける。最終的には薄切り肉やブロック肉に加工され、スーパーや飲食店で提供される。
組合によると、県内の食肉処理技術者の数は長らく減少傾向にあり、高齢化も進んでいる。中尾徳弘理事長は「食肉処理技術の継承が危ぶまれた。いくら農家が高品質な牛を育てても、牛肉が食卓に並ばなくなる恐れがあった」と振り返る。
そこで組合は2018年度、県内の食肉処理技術者を対象に同制度を創設した。マイスターを若手の指導に当たる中核的人材に位置付け、業界の技術の底上げにつなげたい考えだ。
認定を受けるには、技術と知識が必要となる。食肉産業に携わる人材を育成する全国食肉学校の実技・筆記試験や県が実施する「神戸ビーフ」「但馬牛」に関する筆記試験に合格する必要がある。
この他、指導方法を学ぶため、同学校の講師を招いた3日間の講習を受ける必要がある。実技指導を交えて枝肉のさばき方をどう教えると分かりやすいのかを学ぶ。
20年度までの3年間で計9人が認定された。今年3月に認定された食肉卸・エスフーズ(西宮市)の高島和也さん(34)は「どう教えたらうまく伝わるのかを学べた。後輩の指導に生かしたい」と意欲的だ。
組合は、マイスターが持つ技術の継承に向けた取り組みも進める。マイスターを講師に招いたセミナーを定期的に開き、県内の食肉処理技術者が“職人技”を学べる機会を設けている。
中尾理事長は「食肉処理技術者は和牛流通を支える“縁の下の力持ち”だ。これからも技術を継承していきたい」と語る。
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2021年04月07日

業務需要低迷 コロナ克服へ品目転換 価格安定リスクを分散
新型コロナウイルス禍が2年目に突入した2021年、産地で生産品目を転換する動きが出てきた。飲食店向けから契約栽培の家庭向け品目に切り替えたり、販路が期待できる季節物野菜を取り入れたりと工夫。相場変動の少ない品目でリスクを分散し、コロナ禍を乗り越えようと奮闘している。(鈴木薫子)
高級野菜→加工キャベツ、花→新ショウガ
岡山市の山下和磨さん(37)は、首都圏で高級野菜として定着したエンダイブの栽培を減らし、JA全農おかやまと契約栽培する加工用キャベツの面積を拡大した。21年産のエンダイブは前年比15アール減の10アールとし、周年出荷をやめた。
家庭向けのカット野菜となる加工用キャベツは、前年比10アール増の35アール。引き合いが強まり高単価が見込める5月中・下旬の出荷を計画する。
サラダなどに使うエンダイブは、これまで出荷の9割が首都圏の飲食店向けだった。高級野菜として販売は安定していたが、コロナ禍で飲食店需要が激減。一時は出荷制限がかかり、山下さんは3600株を廃棄した。20年産の販売単価は例年の半値以下で、今も回復が鈍い。
全農おかやまによると、主にスーパーにカット野菜として並ぶキャベツは、コロナ下でも家庭消費が好調で、大きな影響は受けていないという。生鮮品の端境期である5月の出荷を計画する山下さんは「契約取引は、全量を買い取ってもらえ、単価が安定している。栽培計画を立てやすい」と期待する。
グロリオサで全国1位の出荷量を誇る高知市。西森茂人さん(35)は、20年産(19年9月~20年8月)のグロリオサをハウス約40アールで栽培したが、21年産はその3分の1を新ショウガに転換した。加温栽培は5月中旬、無加温栽培は7月末に出荷する計画だ。
西森さんら33戸が所属するJA高知市三里園芸部花卉(かき)部会はグロリオサを15ヘクタールで栽培。業務用で全国に周年出荷するが、昨春からイベントの中止が相次ぎ、同部会の20年産の売り上げは前年比で3割落ちた。
「花だけでは生活が苦しい」。前年から収入が4割近く減った西森さんは新ショウガ栽培を決めた。「旬の新ショウガは需要が旺盛で相場が変動しにくい」(JA担当者)ことが決め手だった。花きと同じ施設を使え、管理の手間も少ない。
JAは、新ショウガやピーマン栽培が盛んで、共選共販で販路が確立されている。同部会は、JAのサポートも受けやすいとして、西森さんを含む5戸がピーマンや新ショウガ栽培を新規で導入した。栽培指導するJA担当者は「安定単価の品目の導入でリスク分散を検討してほしい」と提案する。
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2021年04月05日
認定農業者が地域を守る 連携システム発足 新潟県佐渡市
新潟県の佐渡市認定農業者連絡協議会畑野支部は、農業者間で連携する「絆」システムの発足を総会で決めた。昨年の総会で予備提起をして、1年間検討を重ねてきた。農業経営者の死亡、病気、事故、災害など不測の事態の発生に対応し、農業者が互いに次年度以降の経営をサポートするのが目的だ。営農を継続することで地域農業を守る。
同支部には認定農業者が84人いる。……
2021年04月05日

熊本県ブランド和牛「くまもとあか牛」 子牛価格 前年3割高 赤身人気追い風も 頭数減少で不足感
熊本県のブランド和牛「くまもとあか牛」のもと牛となる褐毛和種の子牛価格が高騰している。直近3月の取引価格は前年比3割高の1頭約77万円と、高値が続く黒毛和種とほぼ同水準だ。健康志向や赤身人気で需要が高まり、子牛に不足感が出ている。「販売はまだ伸ばす余地がある」(食肉卸)との声もあり、増頭に向けた対応が求められている。(斯波希)
和牛の一種の褐毛和種は、国内で2万3300頭(2020年2月現在)が飼養され、その7割を熊本県が占める。特に「くまもとあか牛」は、赤身と適度なさしが特徴。消費者の健康志向の高まりとともに人気を伸ばし「新規の問い合わせも多く、需要期には数が足りない状況」(流通業者)という。
需要が高まる一方、生産者や飼養頭数は減少傾向で、子牛に不足感が出ている。19年の繁殖農家戸数は820戸で、この10年で4割減少。繁殖牛頭数は同1割減の1万1059頭となった。
JA全農によると、熊本県内で取引される子牛価格は16、17年にかけても70、80万円台の高値となったが、18年以降は60万円前後で推移。その後、新型コロナウイルス下でも比較的枝肉の販売が堅調で、20年12月以降は、再び80万円近い高値が続いている。
3月の平均価格は1頭約77万円と前年比32%、同月の過去5年平均比でも21%高い。19年度の平均価格は黒毛和種を2割下回っていたが、21年3月は黒毛和種の価格(同79万3362円)に迫る水準となっている。
肥育牛の産地関係者は「80万円で導入した子牛は120万円前後で販売するのが採算ライン」と指摘。「ただ最終的な肉の販売価格が高くなり過ぎると、黒毛とのすみ分けが難しくなってしまう」と懸念する。
「くまもとあか牛」を扱う九州の食肉卸は「今後も赤身人気のトレンドは続く。頭数が減少傾向にあることに販売側も危機感を持っている」と話す。県は「引き続き、優良雌牛の導入を後押しする事業などを通じ、生産基盤を強化していく」(畜産課)としている。
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2021年04月03日