営農
12月農作業死傷事故8件 刈り払い機に注意を 農水省
農水省は12月の農作業死傷事故の発生状況をまとめた。都道府県や農機具販売店、製造事業者などから収集した情報から、8件の死傷事故を確認した。農業機械に関わるものが6件あり、このうち2件は動力刈り払い機が関係していた。同省では刈り払い機の正しい使い方を呼びかけるとともに、安全機構が付いた新機種への買い替えも勧めている。
農水省が把握した12月の動力刈り払い機による事故のうち、1件は除草作業中に刈り払い機のエンジンを止めずに点検をしたことが原因だった。点検作業中に急に刃が動き出して負傷した。
動力刈り払い機ではこれまでにも同様の事故が発生している。このため農水省は「点検の際はエンジンを止めて作業をすることが基本」と、正しい使い方を守るよう呼びかけている。
最近は、ハンドルから手を離すと、刈り刃が止まる機構が付いた機種も多く販売されている。こうした機構が付いていない古い機種を使っている場合は「できるだけ早く、買い替えましょう」と、農水省。安全な機種への切り替えを勧めている。
農水省は昨年、都道府県や販売業者に要請し、農作業の死傷事故の情報を集め、昨年6月の発生分から、発生月ごとに公表している。
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2021年01月28日

小さいトレー重ね 果実への衝撃吸収 リンゴ梱包法開発 農研機構
農研機構食品研究部門は、リンゴの輸送時の傷を軽減する包装方法を開発した。果実より一回り小さいトレーに入れ、果実を浮かせた状態にする。トレーを2枚重ねにすれば、落下による衝撃をさらに減らせる。土産や直売所などで販売する手提げの携行容器に向く。
市販のパルプ製のモールドトレーを使う。……
2021年01月28日

土壌水分に合わせ適正かん水自動化 広島県など装置開発
広島県立総合技術研究所農業技術センターと寿エンジニアリングは、土壌水分に応じた自動かん水ができる指令機(制御盤)を開発し、製品化した。土壌が乾燥状態になると、設定した水量のかん水を始める。乾燥を検知した系統だけをかん水する単独モードと、全ての系統を順番にかん水する連動モードを切り替えられるのが特徴。今春の発売を予定する。
土壌にセンサーを挿し、水分量を計測する。……
2021年01月27日

超高糖度晩かん「あすき」育成 3月以降露地で成熟 農研機構
農研機構は、超高糖度な晩生のかんきつ品種「あすき」を育成した。3月以降に成熟し糖度が16程度と高い。マルチなど特別な栽培管理をしなくても高糖果を生産できる。皮を手でむける「ミカンタイプ」で、風味が良い。果汁の流出が少ないため、消費が伸びているカットフルーツにも向く。
1、2月に成熟する中生かんきつは数多く育成されてきたが、3月以降に露地栽培で成熟する晩生品種は十分開発されていなかった。……
2021年01月27日

ドローン空から直まき 低コスト稲作へ 10アールわずか7分
水稲の直播(ちょくは)をドローン(小型無人飛行機)で行う動きが広がっている。育苗、田植えが不要で作業時間が短縮できる一方、収量の安定化には課題も残る。今年は、農水省が主食用米からの転換を支援する水田リノベーション事業で、低コスト生産を交付要件としており、取り組みの拡大も期待される。“空から直まき”の可能性と課題を追った。
ドローン直播の利点は圧倒的な手軽さだ。……
2021年01月26日

葉の成分 「フィトール」 新防除剤に有望視 ネコブセンチュウに効果 農研機構
農研機構は、葉から抽出できる成分の「フィトール」がネコブセンチュウ対策に使えることを発見した。トマトなどの根に付けたところ、抵抗性が高まって被害を抑えられた。新たな線虫防除剤の成分として有望視し、農薬メーカーなどと開発を進めたい考えだ。
「フィトール」は、葉緑体に含まれるクロロフィルを構成する天然物質。……
2021年01月26日

リンゴ枝折れ前にドローンで空から発見 優先度判断し雪害減 長野
長野県中野市で果樹を栽培する三井透さん(34)は、大雪が降った後の園地をドローン(小型無人飛行機)で上空から確認し、除雪する場所の優先順位を決めている。徒歩で片道30分かかっていた確認作業が5、6分に短縮できた。枝が折れそうな園地を優先して除雪し、被害の軽減に役立てている。
三井さんは就農6年目で、桃やリンゴ、プラムなどを約2ヘクタールで栽培する。規模を拡大する中、園地の見回りを効率化しようと、3年前からドローンの活用を始めた。冬は雪が積もると河川敷の園地に車で近づけず、かんじきなどを履いて歩く必要があった。
12月や2月など気温が高い時期に大雪が降ると、雪が水分を多く含み重くなる。果樹に積もった雪が解けて、既に積もっている地上の雪にくっつくと、枝が引っ張られて折れやすい。
2020年12月中旬の大雪では、10本の木で主枝が折れた。三井さんは「ほんの数十分でも対処が遅れたら、ばきばきと折れてしまう」と説明。折れてしまった枝は戻らないが、折れそうな木から優先的に除雪すれば、被害を減らせる。
ドローンは撮影用のものを使った。雪がやんだら上空から動画を撮り、枝折れの程度を確認する。木の生産性などを考慮し、作業する園地の優先順位を決めた。
三井さんは「助けられる木が増えた」と効果を実感する。確認にかかる労力も削減できた。改植が必要な木も把握でき、苗木の注文もスムーズになる。今後は大きなドローンを使い、枝に積もった雪を風圧で落とす方法も考えているという。
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2021年01月25日
鳴き声で牛個体特定 健康状態把握に応用 愛知県立大と県農試
愛知県立大学と愛知県農業総合試験場は、複数の牛の鳴き声のデータを分析し、どの牛が鳴いているか特定することに成功した。成牛と育成牛の鳴き声を混ぜた状態でも90%以上の精度で識別できたという。人の声を分析して感情や健康状態を読み取る技術の開発が進んでいるが、将来は牛の鳴き声のデータを基に健康状態の把握や、繁殖管理への応用も検討していきたい考えだ。
同試験場のホルスタイン種の成牛4頭と育成牛6頭の計10頭を鳴き声を収集した。成牛と育成牛の群に分けて録音し、識別に使った発声データ数は、成牛は251、育成牛は446。集めた音声データを編集して混ぜて、改めて分析をすると、声の違いを聞き分けて識別することができたという。
人が子どもから大人にかけて声が変わるのは牛も同じだ。識別の結果、声帯の筋肉の付き方が成牛と育成牛で違い、牛も人と同じく成長に伴って声道が伸びることを確認した。成牛は声の高さや低さを表す基本周波数の値が育成牛より大きいことも確かめた。
愛知県立大学情報科学部の入部百合絵准教授は「牛も発声方法や声質が一頭一頭違った。声そのものの分析だけでなく、発声するタイミングや頻度なども分析していきたい」と見据える。
同試験場は「牛がどういう欲求を表現しているか分かるようになれば、病気の兆候や発情の早期発見にも役立つだろう」と期待する。
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2021年01月23日

広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……
2021年01月22日

筋肉スーツ 続々販売 各社農業向け意識 腕上げる動作補助 都内でロボット展示会
京都江東区の東京ビッグサイトで22日まで開かれている産業ロボット関係の展示会「ロボデックス」で、梨の収穫など、腕を上げる作業を助けるアシストスーツの新製品を、各社が展示している。他産業に比べ安価にするなど、農業向けを意識した。今春の農作業シーズンに向けて販売を本格化させる。……
2021年01月22日
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ドローン空から直まき 低コスト稲作へ 10アールわずか7分
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2021年01月26日

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葉の成分 「フィトール」 新防除剤に有望視 ネコブセンチュウに効果 農研機構
農研機構は、葉から抽出できる成分の「フィトール」がネコブセンチュウ対策に使えることを発見した。トマトなどの根に付けたところ、抵抗性が高まって被害を抑えられた。新たな線虫防除剤の成分として有望視し、農薬メーカーなどと開発を進めたい考えだ。
「フィトール」は、葉緑体に含まれるクロロフィルを構成する天然物質。……
2021年01月26日

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雪害ネギ農家 仲間が救う SNSで販促 完売 富山
降り続いた大雪でビニールハウスが全半壊した入善町吉原の農業法人「(株)Stay gold てらだファーム」の力になろうと、知り合いの飲食店・酒店店主らが、被害を免れたネギの販売を支援した。インターネット交流サイト(SNS)で支援の輪を広げネギは完売。寺田晴美社長は「被害は大きかったが、新たな出会いもあった。前を向いて歩んでいきたい」と話す。
7日からの大雪は、県全域でハウスや畜舎など500棟超の被害を出した。……
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2021年01月20日

4
種子繁殖イチゴ 民間企業で初開発 育苗期間を半減 ミヨシグループ
種苗会社のミヨシグループは15日、日本の民間企業では初となるF1種子イチゴを開発したと発表した。国内向けに2品種を展開する。種子系品種はランナーで増殖する品種と比べて育苗期間が半減でき、省力化や病害虫リスクの軽減、コスト削減などが見込める。農家が果実の品質を見るための試作用苗を今秋に販売する。同日から予約受け付けを始めた。
輸送性も良好 今秋、試作苗販売
同社は高品質なイチゴの安定収穫や作業負荷の軽減を目指し、7年をかけて種子系品種の開発に取り組んだ。……
2021年01月16日

5
ベテランの技、JA出荷データ… クラウドへ集約し経営に“最適解” 高知で始動
高知県は20日、産官学で連携して構築を進めてきた「IoPクラウド(愛称=サワチ)」を始動させたと発表した。農家の栽培ハウスから得られる園芸作物データや環境データの他、JAからの出荷データなどを集約。人工知能(AI)を使って地域に最適な栽培モデルを示し、営農指導に役立てる。収穫量予測もでき、作物の販売にも活用する。
脱・経験依存、収穫予測も
IoPは、ナスやピーマン、キュウリなど園芸作物の生理・生育情報をAIで“見える化”するもの。2018年から構築を目指し、JAグループ高知や県内各大学、農研機構、東京大学大学院、九州大学、NTTドコモなどと連携している。
県は当面、①データ収集に協力する農家約30戸の作物の花数、実数、肥大日数などの作物データ②約200戸のハウスの温湿度、二酸化炭素濃度などの環境データ③園芸作物主要6品目の全農家約3000戸の過去3年の出荷データ──などを収集し活用する。
農家はスマホやパソコンから、クラウドに送られたハウスの環境データだけでなく、異常の監視と警報、ボイラーやかん水など機械類の稼働状況に加え、出荷状況などが確認できる。県やJAの指導員も、戸別の経営診断や産地全体の経営分析などに生かす。
22年からの本格運用を目指しており、最終的には、県内の園芸農家約6000戸のデータを連係させる。県は、「経験と勘の農業」からデータを活用した農業への転換を進めるとしている。
クラウドは県内の営農者、利活用を希望する企業などが利用できるが、まずはデータの収集に協力している約200戸の農家から利用を始める。3月末から、新規利用の申し込みができる予定だ。
農家がクラウドの機能を活用するのは無料。通信分野でシステム構築に協力したNTTドコモは希望者に対し、JAなどに出向いた「IoP教室」を開く。
JA高知県の竹吉功常務は「営農、販売でいかに活用できるかがポイント。技術の継承、出荷予測などにも使える。農家に還元できるよう、十分生かしていきたい」と強調する。
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2021年01月21日

6
施設キュウリで 葉面積指数を活用 収量予測めざす 愛知・JA西三河
施設キュウリを栽培する愛知県のJA西三河きゅうり部会は、40人の全部会員が圃場(ほじょう)に葉面積指数を計測するLAI計測センサーを設置した。施設キュウリの生産者が導入するのは全国でも珍しい。樹勢やかん水の目安に役立て、将来的には収量予測への活用を目指す。
LAI計測センサーは植物群落の上下に照度センサーを設置し、上下の散乱光を採光する装置。葉が繁茂する状態によって上下の散乱光の光量比が変わる原理を活用し、自動で継続的に葉面積指数を計測する。静岡県農林技術研究所のトマトでの研究成果を基に、キュウリの葉面積指数を計測できるようにした。
センサーは昨年12月、開発したIT工房ZやJAあいち経済連、JAの担当者が圃場を巡回して設置作業に当たった。
農水省2019年度スマート農業技術の開発・実証プロジェクトを通じて実用化した装置で、新型コロナウイルスの影響を克服するための「経営継続補助金」を活用して全部会員が導入。産地全体でスマート農業を加速化させる。
JA営農企画課の大島健一課長補佐は「産地全体の栽培技術の高度化を図ることができる。LAI計測データを使って収量を予測し、販売にもつなげていきたい。他品目への応用にも期待している」と話す。一部の部会員は、生育の最適化に向けて排液カウンターや流量センサーの取り付けも行った。
部会は15年から、他産地に先駆けて部会全体で農業用情報通信技術(ICT)ツールを積極的に活用。導入以後、10アール当たりの収量・販売金額は約15%向上した。技術力の高い農家による栽培環境・肥培管理のノウハウを共有し、産地のレベルアップを図っている。
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2021年01月15日

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筋肉スーツ 続々販売 各社農業向け意識 腕上げる動作補助 都内でロボット展示会
京都江東区の東京ビッグサイトで22日まで開かれている産業ロボット関係の展示会「ロボデックス」で、梨の収穫など、腕を上げる作業を助けるアシストスーツの新製品を、各社が展示している。他産業に比べ安価にするなど、農業向けを意識した。今春の農作業シーズンに向けて販売を本格化させる。……
2021年01月22日

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リンゴ枝折れ前にドローンで空から発見 優先度判断し雪害減 長野
長野県中野市で果樹を栽培する三井透さん(34)は、大雪が降った後の園地をドローン(小型無人飛行機)で上空から確認し、除雪する場所の優先順位を決めている。徒歩で片道30分かかっていた確認作業が5、6分に短縮できた。枝が折れそうな園地を優先して除雪し、被害の軽減に役立てている。
三井さんは就農6年目で、桃やリンゴ、プラムなどを約2ヘクタールで栽培する。規模を拡大する中、園地の見回りを効率化しようと、3年前からドローンの活用を始めた。冬は雪が積もると河川敷の園地に車で近づけず、かんじきなどを履いて歩く必要があった。
12月や2月など気温が高い時期に大雪が降ると、雪が水分を多く含み重くなる。果樹に積もった雪が解けて、既に積もっている地上の雪にくっつくと、枝が引っ張られて折れやすい。
2020年12月中旬の大雪では、10本の木で主枝が折れた。三井さんは「ほんの数十分でも対処が遅れたら、ばきばきと折れてしまう」と説明。折れてしまった枝は戻らないが、折れそうな木から優先的に除雪すれば、被害を減らせる。
ドローンは撮影用のものを使った。雪がやんだら上空から動画を撮り、枝折れの程度を確認する。木の生産性などを考慮し、作業する園地の優先順位を決めた。
三井さんは「助けられる木が増えた」と効果を実感する。確認にかかる労力も削減できた。改植が必要な木も把握でき、苗木の注文もスムーズになる。今後は大きなドローンを使い、枝に積もった雪を風圧で落とす方法も考えているという。
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2021年01月25日

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農福連携の米作り ドローン着目 直播で省力、障害者の作業に幅 群馬県沼田市
群馬県沼田市で農福連携を進める稲姫ファームと、障害者の就労支援や生活訓練などに取り組む多機能型事業所coco―kara(ココカラ)が、ドローン(小型無人飛行機)を使った米作りを試験的に始める。1ヘクタールほどの水田で「コシヒカリ」の鉄コーティング種子を直播(ちょくは)する他、除草剤の散布などに使う予定だ。……
2021年01月19日
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広島県基幹種雄牛 「花勝百合」を選抜 能力と希少血統 両立 BMS 県歴代トップ
広島県は黒毛和種種雄牛「花勝百合」を県基幹種雄牛に選抜した。同牛は、現場後代検定で枝肉成績の脂肪交雑基準(BMS)ナンバーが8・8と、県基幹種雄牛で歴代1位を記録。枝肉重量も県内トップ級でBMS、産肉能力を兼ね備えた牛として、県は活躍を期待。高い能力と、和牛のルーツといわれる広島血統の濃い牛としてアピールする。(鈴木薫子)
「花勝百合」は、2015年11月17日生まれ。……
2021年01月22日
