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20年農畜産物トレンド 「物流」1位 対応急務 「東京五輪」も上昇
日本農業新聞がまとめた農畜産物トレンド調査で、2020年の販売キーワードを流通業者に聞いたところ、「物流」が1位となった。トラックドライバーの不足といった課題への対応が不可欠となる。オリンピック年を迎え、「東京五輪」は5位にランクイン。日本の食を広くアピールする機会と捉え、販売が盛り上がる。景気は悪化する見方が前年より減ったが、五輪後の冷え込みに警戒感がある。
20年の農畜産物マーケットのキーワード(複数回答)を業者に尋ねたところ、今回新たに加えた「物流」が49%で最多だった。ドライバー不足や物流費の上昇を受けて、「農畜産物を産地から消費地に供給する上で大きな課題」(大手スーパー)とした回答が目立つ。コストの上昇分を産地、実需でどう共有するかに関心が集まり、「業界の垣根を越えた対応が必要」(花き卸)との声が上がる。
2位は価格や数量の「安定」(47%)で今回も上位入り。「国内産地の生産量が減少し、自給率が低下している」(青果卸)など生産基盤を課題視する意見が目立った。農畜産物の供給に関わる「気象」も4位に入った。近年の気象災害の多発で、安定調達が難しくなっている背景がある。
3位は「安全・安心」。輸入品の増大を受けて「国産の区別化で必須条件」(食肉メーカー)と受け止める。
今夏開催の東京五輪・パラリンピックは5位と急上昇。「日本の食をアピールする絶好の機会」(大手米卸)と期待が大きい。農業生産工程管理(GAP)や危害分析重要管理点(HACCP)など食品のトレーサビリティー(生産・流通履歴を追跡する仕組み)確保を重視する。
「輸出・インバウンド(訪日外国人)」も9位とランクアップ。「外需の盛り上がりを、五輪後につなげられるかが焦点」(食肉メーカー)。
「簡便・時短」は前年と同じ6位。共働き・単身世帯の増加を踏まえ、変化する生活様式への対応が引き続き必要だ。
「値頃感(節約志向)」は10位で、前年のトップ10圏外から上昇。消費税増税による節約志向も重なり、原料に安さを求める傾向が強まる。
環太平洋連携協定(TPP)や日欧経済連携協定(EPA)、日米貿易協定が相次ぎ発効し、3割近い業者が輸入品を「増やす」と回答。牛・豚肉、乳製品、果実を扱う業者で調達意欲が高かった。
景気の見通しについては、「やや良くなる」が28%で前年から16ポイント増えた。しかし、最多は「やや悪くなる」(38%)。オリンピックに向けて消費が盛り上がるが、「大会後は反動で冷え込む」(大手食品メーカー)との見方が多い。
部門別のトレンドを見ると、野菜は調理が簡単で栄養価が高いブロッコリーの注目度が高い。伝統野菜や機能性で特色を持った品目の需要も高まる。果実の消費ニーズは高級路線と値頃感の二極化が進む。ブドウなど輸入果実の出回りが増え、国産との競合が激化しそうだ。
米は良食味の「ゆめぴりか」や「つや姫」の存在感が高い。簡便調理ニーズを受け、包装米飯に引き続き注目が集まる。食肉は、銘柄和牛がオリンピックで外食向けの消費が盛り上がる。牛乳・乳製品は鮮度や産地指定のこだわり原料に商機を見る。花きは普段遣いでの消費拡大に期待が高まる。
<ことば> 農畜産物トレンド調査
野菜、果実、米、食肉、牛乳・乳製品、花きの6部門で実施。スーパーや生協、専門小売店、外食、卸売業者などの販売担当者に対し、昨年11月中旬にアンケート用紙を配布。計169社から回答を得た。今年13回目。
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全農シンガポール事務所 CAコンテナで青果販売3倍へ
JA全農シンガポール事務所は、通常の冷蔵コンテナより鮮度保持効果が高いCAコンテナによる船便で、日本産青果物の輸出を拡大している。船便で10日前後のシンガポールはCAコンテナの効果が発揮でき、高価な航空便からの切り替えが有効。同事務所が扱う青果物は全てCAコンテナで運ぶ。2019年の青果物の販売額は前年の3倍である約3000万円を計画。輸送コスト減で価格を抑えることで、取引先を広げている。
CAコンテナは近年、国内で普及が始まったばかりで、全農の青果物輸出で占める割合はまだ少ない。……
[活写] うっとり “幻”風景
東京都品川区の大井競馬場に、棚田など田園風景を発光ダイオード(LED)の光で表現したイルミネーションが登場し、話題を呼んでいる。
同競馬場が2018年から催す「東京メガイルミ」の目玉として企画した。競走馬が走るコースの内側約2500平方メートルの敷地に、稲に見立てた約30センチのプラスチック製の棒を田植え機で植えたように等間隔で設置。LEDで照らし、四季を表現した。
「原風景」と題した展示は、日本の農村を訪日客らにアピールすることが目的。レースがない期間の競馬場の有効活用にもつなげる。運営事務局を担う東京都競馬株式会社の永野智之さん(29)は「農家が普段見ている実り豊かな風景をイルミネーションで再現した」と話す。3月末まで金、土、日曜日と祝日(2月2日を除く)に公開する。(釜江紗英)
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[にぎわい育む 農山村](1) 大分・「久住高原農高」が誕生 地域密着で再出発
大分県竹田市久住地区は、今年度に分校から単独校になって再スタートした「県立久住高原農業高校」を核に、地域づくりを進めている。農高には全国から生徒を募集。新規就農者や地元の農家も集う場と位置付け、地域や農業の未来に活気を呼び込む計画だ。
分校から単独校に
「地域にかっこいい大人がたくさんいる。先進的で地域密着の農業を学べる環境は他にない」。同校3年の花篭拓海さん(18)はそう話す。大分市出身だが、地域の祭りを手伝い、多くの農家らと接して竹田市が好きになった。東京の大学を卒業後、再び戻ってくるのが目標だ。
「地域と共にある農高として、全国から来る高校生には、竹田を好きになってほしい」。同校を応援するトマト農家の大石弥生さん(38)も笑顔で話す。
同校の前身の高校は1948年から70年以上も分校だった。しかも近年は、1学年20人にも満たない深刻な定員割れが続き、閉校の話が何度も浮上した。だが分校は単独校として新たに生まれ変わった。
「学校は地域の財産」と竹田市の首藤勝次市長は話す。分校を単独校にすることは住民たちの長年の悲願で、20年近く県に働き掛け、県教育委員会が決断した。市は合併特例債などを活用して寮を建設し、全国からの新入生の受け入れ体制を整えた。
首藤市長は「地方創生の掛け声の一方、生徒が減れば閉校する流れに疑問があった。高校を地域に開けば、学生が集まる。高校を魅力的にして農村再生に挑んでいく」と覚悟を決める。
同校は今年度から、生徒の全国募集を始めた。農高を地域に開き、地域と共に農高を育て、教育と地域づくりを両輪で展開する方針だ。
もともと市はトマトやカボス、畜産などで全国屈指の農業地帯。移住者を呼び込んできた実績もある。こうした環境が農高生の貴重な学びの場になっている。単独校になってカリキュラムを柔軟に組み、学校の特色をより打ち出すことができるようになったため、今後は地域と連携した授業を積極的に行う方針だ。
城戸博行教頭は「やりたいことに挑戦できる環境があり3年間で大きく成長できる。今年度からはプロ農家にもなれ、国立大学進学もできる体系を作った」と胸を張る。
4月には全国から新入生が集まる見通しだ。生徒は、農家が所有するドローン(小型無人飛行機)で機械の扱い方を学んだり、地域の祭りに参加するため太鼓や笛の練習したりできる。そんな環境が地域内外の学生を引きつける。
地区の農家、山坂勇さん(76)は「地域みんなで高校を守るという思いで閉校の危機を乗り越えてきた。単独校の誕生は言葉にできないくらいうれしい。地域の役割は大きいので農高を支えていく」と意気込む。
開かれた高校”が鍵
各地で学校が消えている。少子化のもと、ここ30年間で500校以上の高校が消滅した。特に過疎地域にある小規模な高校が統廃合の対象となりやすい。
一方で、同校のように統廃合をせず、高校を核にした地域づくりを展開し、にぎわいを取り戻す実践は島根県や長野県などの農山村に広がってきた。
一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」の試算では、高校統廃合をきっかけにして過疎地域の市町村の総人口の1%が転出超過になる。逆に、地域と連携した高校教育を展開すれば地域の消費や自治体の歳入の増加も見込める。
同法人の岩本悠共同代表は「地域と連携して高校を魅力化することが、教育力のアップにもつながる」と指摘。高校魅力化は2020年度からの地方創生施策の柱にも位置付けられている。創意工夫して高校を開くことが、地域の活性化をもたらすという。
◇
若者と高齢者の世代間の交流や、移住者や関係する多様な人たちが集まる場所・仕掛けを設けることで、農村再生に新たな展望を見いだす地域が出てきた。高校や関係人口、仕事などをキーワードに、にぎわいを育み新たな価値を創出する現場を紹介する。
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懐かしの酪農製品ぎゅうぎゅう 長年の“愛”高じて博物館 北海道新冠町 佐々木正昭さん
北海道新冠町の佐々木正昭さん(56)は牛乳や酪農関連機器の収集が趣味だ。全国各地の牛乳パック500種類以上や、牛乳瓶、集乳缶、ノベルティーなどを幅広く集めてきた。自転車店だった店舗を改装して「酪農博物館」として運営し、少しでも酪農のことを知ってほしいと話す。
幼い頃から牛乳が好きだった佐々木さん。集めだしたのは子ども時代までさかのぼる。牛乳好きが高じて隣町の静内農業高校へ進学し、畜産を学んだ。「牛乳のふたではなく、瓶が好きだった。高校卒業までには50~60本はあったと思う」と当時を振り返る。
卒業後は地元のJAにいかっぷに入組し、酪農や畜産を担当し2013年まで勤務した。退職後は本格的に全国各地を渡り歩き、牛乳瓶や牛乳パックなどを収集。訪れた人には自ら説明し案内する。道内酪農家らから譲ってもらったバターチャーンや輸送缶、牛の模型の他、牛の精液を保管する液体窒素タンク、集乳缶、バターあめの缶も展示する。
佐々木さんは「集めるからには中途半端にしたくなかった。酪農を理解する場として、観光で訪れる人が増えればと思う」と、地元の観光振興にも期待する。
18年の北海道地震で、同町は震度5強の揺れに見舞われ、棚に並べた牛乳瓶が崩れ、100本以上が割れてしまった。現在は牛乳瓶より牛乳パックを主体に飾り、展示品が落ちないよう棚に固定具を取り付けている。
見学は無料、事前連絡が必要。問い合わせは佐々木さん、(電)090(2057)2169。
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切り花販売 専門店抜き主流はスーパーへ 業者委託で棚充実
切り花の販売額でスーパーが専門店を上回った可能性が高いことが、総務省の調査で分かった。専門店数の減少に加え、季節感を演出しやすい商材として販売を強化するスーパーが増加。専門業者への委託が進み、専門店に引けを取らない品ぞろえや品質管理に取り組む。産地は、取引先のニーズに柔軟に応える体制構築が求められている。(橋本陽平)
店に入ると、迎春用の松飾りに真っ赤なポインセチアと、季節を演出する商材が真っ先に目に入る。首都圏で116店舗を展開するスーパー、サミットは、家庭で飾る洋風の花束、コチョウランや鉢植え、葉物などを幅広く取りそろえる。
店の売り上げに占める花の割合は1%程度だが、重要な役割を担う。同社のバイヤーは「季節感や物日を一番演出しやすい商材。青果など他の商品の購買意欲を増す効果がある」と重視する。
以前は自社で仕入れ販売していたが「花の専門知識がなく、色彩や旬を意識した仕入れ、品質管理など需要に応える販売が難しい」(同)と判断。2年前、ほぼ全面委託に切り替えた。仕入れから陳列、商品管理、売り場作りまでを業者に任せる。
人材に余裕がなく、花専門の販売担当を置けないスーパーのニーズをつかみ、花束などの加工事業者が急成長している。加工業者のメルシーフラワーは、サミットを含む首都圏のスーパー660店の委託を受け、年間で1500万もの花束を加工する。
「専門店並みのこだわった売り場と品質の高さが、評価を得ている」。大間岩夫社長は、急拡大の要因をこう話す。切り花は仕入れた日に加工する他、担当者が毎日店を回り、売れ行きを見ながら店舗間で商品を融通。ロス率を1割に抑える。物日に頼らない販売を重視し、旬の品目や産地などテーマ別の企画を毎週展開する。総務省が5年に1度まとめる全国消費実態調査によると、切り花の購買に占める一般小売店のシェアは、2014年が42%。20年前の71%から急降下した。一方、スーパーは30%と20年間で2倍以上に増えた。増減の推移から推測すると19年はシェアの逆転が見込まれる。
取引先の変遷に応じた産地の対応として生花卸の大田花きは、安定的でニーズに応じた供給体制の構築を挙げる。「一定の規格、品質を担保し、年間を通した計画的な取り引きが好まれる。3色ミックス束での出荷など要望に柔軟に応える販売提案もできれば、産地の評価は高まる」とみる。
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令和最初の青果初市 豊洲市場 活況な“船出”
全国の主要青果卸売市場で5日、令和初となる新年の「初市」が行われた。東京都中央卸売市場豊洲市場では、ニンジンやカリフラワーなど色とりどりの野菜や果実を詰め、船首に今年の干支(えと)のネズミの置物を飾った「宝船」から取引を開始。特大サイズは50万円の最高値が付き、初市を盛り上げた。
宝船は新年の五穀豊穣(ほうじょう)や商売繁盛を願い、毎年せりにかける。今年は前年より1隻多い25隻で、横浜市の生産者らが制作。最高値は仲卸のかねす鈴屋が落札した。
東京シティ青果の鈴木敏行社長はあいさつで、市場の立地をいかした五輪での食材供給に意欲を示した。6月に施行する改正卸売市場法にも触れ、「大きな変化が起こる1年。市場の特長を生かし独自性ある品ぞろえを強化したい」と強調した。
都中央卸売市場大田市場は同日、恒例の山形産サクランボ「佐藤錦」の初取引があり、1箱(きり箱入り・500グラム・特秀)80万円の値を付けた。前年初市の倍以上となり過去最高値となった。青果卸の東京青果は「天候不順など複数の要因からやや不作だった。2社の仲卸が競合する中、新年の験担ぎもあり高値が付いた」と話す。
同日、東京都中央卸売市場全体の青果物販売量は、前年の初市より7%少ない9846トン。大田市場は同8%減の3768トン、豊洲市場は4%減の1507トンだった。
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町村職員への期待 課題即した解き方を 福島大学教授 生源寺眞一
塾生の皆さん、最後まで頑張れ。そんなエールを届けたい。などと書き出してみたが、ほとんどの読者には何のことやら意味不明であろう。
塾生とは全国町村会が主宰する地域農政未来塾の第4期生のことであり、不肖私が塾長の立場にある。正月早々に頑張れというエールも奇妙に響いたかもしれない。実は、塾生には研究論文が課されていて、明日7日が提出の締め切りなのである。大半の塾生は、年末年始の休日返上で論文執筆の作業にまい進したに違いない。
農政塾に可能性
地域農政未来塾の対象は、全国の町村の農政担当者もしくは将来の担当者であり、毎期の塾生は若手・中堅の20人程度で構成される。月に1回、週の後半を東京都内に滞在し、講義とゼミの集中的なカリキュラムをこなす。ゼミごとの現地訪問学習も定着している。役場の人員に制約が強まる中での塾通いだけに、送り出す町村の側の期待も大きく、塾生の意欲も生半可なものではない。それでも最後の研究論文は、恐らく一生忘れられないチャレンジとなるに違いない。
塾生と講師の、あるいは塾生同士の密度の濃い交流の中から、認識が新たになることも少なくない。ほぼ全員に共通する再認識の一つが、自分の所属する町村が実に個性豊かな自治体だという点に他ならない。自然条件や産業の蓄積の特色、したがって強みや弱みの独自性に改めて気付くわけである。町や村の多くは中山間地域に属しているが、中山間の三文字でひとくくりにはできない。
町村職員の強み
個性を上手に生かした創造的な仕事。これこそが町村職員のミッションだとの思いを深くする塾生も多い。言い換えれば、国や県の行政の下請けが本務ではないのである。ここは国や県の側に心してもらいたい点でもある。
もう一つ、創造的な仕事に取り組む際に、町や村の職員ならではの強みがあることも見逃せない。それは、役場の建物の中には農政以外の部署も配置されており、その気になればいつでも相互に情報や意見の交換が可能だというところにある。縦割りが徹底した中央の官庁では考えられない環境だ。しかも、職員自身が別の領域の仕事を経験しているケースが普通なのである。
塾生による研究論文は、地域の個性を客観的に把握した上で、それを具体的な提案につなげる取り組みに他ならない。そんなチャレンジを支える塾の基本理念として、塾長である私は折に触れて「解答よりも解法」と申し上げてきた。定型的な答えを学ぶのではなく、実態に正面から向き合い、課題に即した解き方を身に付けてほしいという意味である。
冒頭に頑張れとのエールを送りたいと述べた。いまや塾生に対してだけではない。年初に当たり、農政の現場で汗を流す皆さんに向けて、心から応援のメッセージを送る。地域社会の持続性を支える創造的な仕事にエネルギーを注いでいただきたい。
しょうげんじ・しんいち 1951年愛知県生まれ。東京大学農学部教授などを経て17年から現職。日本農業経済学会会長、食料・農業・農村政策審議会会長などを歴任。近年の著書に『農業がわかると社会のしくみが見えてくる』『「いただきます」を考える』など。
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[あんぐる] いと“おかし” 金沢の正月菓子
石川県金沢市では、新年の食卓を個性豊かな正月菓子が彩る。愛らしい人形やおみくじが入った米菓や、加賀藩前田家の家紋である梅の花をかたどったもなかなど、200年以上受け継がれてきた縁起の良い菓子が新春に花を添える。
砂金袋や米俵、打ち出の小づちの形の皮を割ると、招き猫やだるまが顔を出す──。同市には「福徳せんべい」と呼ばれるこの菓子を、お年玉と一緒に子どもに渡す習わしがある。
皮の材料は県産のもち米。中には金花糖でできた人形や、粘土を焼いて作った小さな人形など30種類のいずれかが入っており、何が出るかは開けてのお楽しみだ。
江戸時代の1809年に、加賀藩12代藩主の前田斉広が、金沢城二の丸御殿の新造祝いに職人に作らせたのが由来という。現在は1849年創業の老舗「落雁 諸江屋」が受け継ぎ、毎年12月から1月にだけ販売する。太平洋戦争中には、金型を床下に隠して守り抜いた逸話も残る。
同店7代目の諸江隆さん(60)は「昔はもらった子どもが正月に人形をすごろくの駒にして遊んだ。帰省する孫に買い求める年配客が多い」と話す。
加賀藩前田家の梅の家紋をかたどった「福梅」作りで活気づく菓子店。1917年創業の柴舟小出では従業員が次々と皮にあんを詰めていた
同市には、他にも加賀藩前田家の家紋「剣梅鉢」をかたどったもなか「福梅」や、おみくじ入りの米菓「辻占(つじうら)」など、郷土愛あふれる楽しい菓子が多い。
こうした文化が根付いたのは、加賀藩の藩主が代々、茶道を奨励したことが背景にある。茶と合わせる菓子が庶民にも広まり、季節の行事などに欠かせぬ存在になった。
県内の菓子店約300店でつくる石川県菓子工業組合事務局の薮猶八さん(65)は「金沢では、正月に限らず菓子は欠かせない。四季を通して人々の生活に深く関わっています」と話す。(富永健太郎)
「あんぐる」の写真(全4枚)は日本農業新聞の紙面とデータベースでご覧になれます
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「田園回帰」着々と 本紙独自調査 28府県移住最多 若者が推進力
日本農業新聞が都道府県を対象に行った独自調査で、28府県の移住受け入れ数が過去最高を更新したことが分かった。主に2018年度の実績で、30代が移住者数の中心だ。移住者数を調査、公表する35府県のうち8割が過去最多を記録。本紙は昨年度から調査しており、2年連続で増えて記録を更新した府県が、大半を占めた。若者が農村を思考する田園回帰傾向が着実に進んでいる。……
[世界のSDGs] ドイツ 森林保護基金を創設
ドイツは、家族経営農家などの無秩序な森林伐採を食い止めるため、世界銀行と合同で環境保護を支援する基金「プログリーン」を立ち上げた。国連が掲げる2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の目標15(陸上生態系の保護)、目標13(気候変動への対策)などに合致し、注目を集める。
プログリーンは、3本柱で農家支援などを進める。一つは「森林と生物多様性の保護」で、環境保全型農業を推進する家族経営農家や農業企業、グリーン・ツーリズムの普及拡大を進める経営体を財政支援する。二つ目は「農業用地としての森林利用」で、野生動物の保護団体や関連活動などを支援する。最後は「自然保護を基本とした土地利用改善計画」で、環境への負荷が少なく、経済効果のある森林土地を利用する団体・企業などを支援する。
同国政府は、プログリーンの初期対応として2億ユーロ(約242億円)を計上した。25年までのプログラムで、最終的には10億米ドル(約1085億円)を予算として投じる見通しだ。
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ニュージーランド 検疫で病害虫防ぐ 検査厳格、高い罰金
今年は国際植物防疫年。ニュージーランドは空港や港湾の植物検疫が厳しい国だ。島国で、多くの病害虫の侵入を防いできた歴史を誇るが、厳格な罰金制度でも知られている。
観光などで同国を訪れた人は、事前に口を酸っぱくして言われたことがあるだろう。「着いた空港で荷物に入れた食品を申告しないと罰金を取られるよ」
入国検査で申告書に書かなかった食品や植物の種などが見つかると、簡易罰金が科される仕組みだ。「入れたのをうっかり忘れてしまった」「違う荷物を入れてしまった」「なぜだか分からない」という弁解は通用しない。発見された時点で、事務的に「請求書」が手渡され、その場で漏れなく400ニュージーランドドル(約3万円)を支払うはめになる。
これが意図的な持ち込みになると、罰金額は跳ね上がる。2018年、中国からニュージーランドのオークランド空港に到着した女性のケースでは、「植物類の持ち込みはない」と申告していたものの、三つのバッグからはタオルに包まれた大量の種子が発見され、着衣のポケットからは穂木も見つかった。結局、女性は3300ドル(同24万円)の支払いを命じられた。
検査は厳格に行われ、摘発件数は年間約1万件に及ぶ。18年11月、記者が同空港の検査場所で並んでいたところ、前の方から大声で怒鳴る声が聞こえ「バリバリ」と大きな音が続く。見ると、鍵を開けようとしない旅客の対応に、検査官が大きなはさみでバッグを切り裂いたようだ。周辺には緊張感が漂った。(特別編集委員・山田優)
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[未来人材] 29歳。アジア、全国巡り農業学ぶ 法人核に地域活性化 青木拓也さん 新潟県南魚沼市
新潟県南魚沼市で水稲やスイカなどを栽培する青木拓也さん(29)は、アジアや日本全国の農村を訪ねた経験を基に、農業を切り口とした地域活性化に情熱を燃やす。地域の農家らと立ち上げた「ひらくの里ファーム(株)」では、メンバーの中で最年少の青木さんが代表取締役を務める。高齢化が進む古里の未来を切り開こうと、「地域で人や仕事が回る環境づくり」を目指す。
東京農業大学に在学中、途上国の農業を研究していた青木さん。「飢餓や貧困に苦しむ人たちを救いたい」という思いを胸に、タイやバングラディシュの農村を訪れた。ところが、現地の農家から日本の農業について尋ねられても、何も答えられない自分の未熟さを痛感した。
帰国した青木さんは、日本の農業を知るために北海道から沖縄まで全国20カ所を巡り、農家に話を聞いて回った。中でも過疎化が深刻な静岡県島田市伊久身地区で、加工体験などで地域活性化に取り組む農事組合法人いくみの活動に感銘を受けた。
その体験から「仕事をつくり、人が住めるようにしていかなければ地域は生き残れない」と気付いた青木さん。古里に戻り農家になることを決意した。
卒業後、2014年に就農し、17年に法人化。構成員は18人で、多くが60代の兼業農家だ。現在、水稲22ヘクタール、スイカ60アール、カリフラワー30アールを栽培する他、水稲9ヘクタールで作業受託する。
地域の雇用の受け皿としての体制整備も進める。19年10月には日本版農業生産工程管理(JGAP)を取得。作業内容をルール化することで、農業経験がない若者でも作業内容が把握しやすくなる。
法人が経営する直売所では、スイカを中心に近隣農家の農産物を販売。収穫体験を受け入れ、地域のイメージアップにつなげるとともに、夏にスイカ祭りを催して地域住民らと交流する。
農業による地域の活性化に取り組む青木さんだが、途上国支援の夢を忘れたわけではない。「途上国の研修生を受け入れるなど、いずれ何らかの形で手助けができれば」と夢を語る。(雫石征太郎)
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農泊“旗振り役”に JA向け手引書 開業手続き代行も 全農
JA全農は、農泊の推進に向けてJAの支援に乗り出す。今年度から本格化する農泊事業の一環で、JAなどに向けた手引書を作成。手引書は組合員やJA自らが農泊を開業・運営する際のポイントなどをまとめた。今後、農協観光などと連携し、収支計画作りや開業手続き代行でJAの支援を検討する。全農が旗振り役として、収益性のあるビジネスモデルの確立を目指す。……
日本食レストラン3割増 魅力発信拠点に 中国、台湾インドネシア アジアで急伸
食材輸送強化が課題
海外にある日本食レストランの数は2019年時点で15万6000店と、前回調査(17年)から3割増えたことが農水省と外務省の調べで明らかになった。6年前と比べて3倍近くに拡大した。日本食人気の高まりを受け、アジアを中心に伸びが大きい。日本食や日本産農林水産物の魅力を発信する拠点として期待は高い。輸出拡大につなげるには、輸送体制の強化などが求められる。
海外の日本食レストラン数は、調査開始の06年には2万4000店だったが、年々増加。2年ごとの調査に変わった13年は5万5000店で、19年には3倍近くになった。
地域別に見ると、最も多いのはアジアの10万1000店で、前回から5割増と伸び幅も大きい。特に中国や台湾、インドネシアで伸びが大きく、全体的に増えている。北米が2万9400店で2割増、欧州が1万2200店で横ばい。店舗数は少ないが、アフリカ、オセアニアでは、それぞれ5割、4割増と急増した。
訪日客は18年には3000万人を超えるなど増加が続く。日本で体験した日本食や食材の魅力が世界に広がってきたことも、店舗数増加の背景にある。
店舗数の増加は、国産農林水産物の輸出拡大には追い風となる。農水省は、日本産食材を扱っている海外の飲食店や小売店を日本産食材サポーター店として認定する制度を設けており、認定店は19年9月末時点で4449店に上る。
認定団体は旬の食材情報を英語で発信するなど、日本産食材の活用を促す。認定店はロゴマークを使い、日本産食材を使っているとアピールし、他店と差別化できる。
だが、日本産食材の利用には課題も多い。海外に店舗を展開する外食や食品メーカーなどでつくる民間団体の日本食レストラン海外普及推進機構は「国内外の物流費上昇などで現地価格が高騰しているケースもある。鮮度を保ったまま店に届ける現地の輸送体制が課題だ」と指摘する。原発事故を受けた輸入規制の緩和も必要だと訴える。
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日本×台湾の大学 地域活性化へ連携 組織発足で合意 農漁村の課題解決
日本の4大学と台湾の6大学が、地域振興に向けた連携組織を作り、協力することになった。高齢化や過疎は双方が直面する社会の課題。お互いの研究や教育の経験を持ち寄り、地域の活性化に役立てる。少子化の中で大学そのものの存立が問われる中、異色の大学間協力が動きだす。
このほど、台湾南部の高雄で双方の副学長が会合を開き、連携に向けた準備会合の設置で合意。今年半ばに再び台湾で参加大学の学長が集まり正式に連携組織の発足を確認する運びだ。
日本からは高知、信州、千葉、龍谷大学、台湾からは成功大学などが準備組織に参加する。台湾側は今後10大学以上に増える見込みだ。社会貢献を掲げた日台大学間連携が動き出すのは初めて。
昨年11月末に高雄で開かれた第2回大学社会責任博覧会の巨大な展示会場は、2日間、お祭り騒ぎのようだった。100以上の大学が参加し、それぞれ特産作りや地域の伝統文化などのキーワードごとに成果を展示した。工業のイメージの強い台湾でも、地域のことになると農業関連の取り組みが目立つ。
展示の多くは、大学周辺の企業や農業団体と一緒に人材育成や製品開発をした成果が占めた。熱帯果実やコーヒー豆を使った新しい農産加工品を地元農家と開発した事例や、減農薬に向けた技術支援などを紹介した大学もあった。珍しい商品や学生たちのパフォーマンスを見ようと、会場は地元住民で終日ごった返した。
連携に加わる台湾海洋大学の荘季高副学長は「台湾の出生率は世界最低水準に落ち込んだ。日本よりも社会の高齢化が加速することは確実。農漁村の活性化に大学としてどう立ち向かうかが問われている」と説明する。
蔡英文政権は日本の取り組みを念頭に、台湾の「地方創生元年」を宣言。2018年から大学に予算を付け、教員や学生などの資源を投入して地元の社会貢献を本気で取り組むよう背中を押した。「台日は気候や農林水産業、社会の姿で共通するところが多い」(荘副学長)ことから、日本の大学に連携を呼び掛けたのが始まりだ。
日本でも文科省が、13年度から大学の社会貢献の一環として、地元が抱える課題を解決するための支援事業を続けてきた。この分野で先行している4大学が、台湾側からの提案を受け、地域振興のための組織づくりが動きだした。
社会貢献の知見を共有
日台の大学間では、教職員、学生の交流など実質的に連携の動きが始まっている。従来は研究教育が中心だったが、新たに社会貢献の分野でノウハウを共有する。
信州大学の中村宗一郎副学長は「これまで私たちが積み上げてきた地域貢献の知見は、アジアでも役立つだろう。学生を巻き込む華やかな台湾の進め方は日本でも見習う点がある。双方に利点がある形で日台の大学連携が動くことを期待している」と話している。(特別編集委員・山田優)
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[活写] すげ~かわいい“ね”
新潟県妙高市で、市内の主婦らでつくる「平丸スゲ細工保存会」のメンバーが地元産のスゲを使って今年の干支(えと)である子(ね)にちなんだ置物を作っている。
スゲは、メンバーが同市平丸地区で借りた5アールの農地で栽培したものを使う。夏から秋に収穫した細長い葉を天日で半日干し、たたいて繊維状に加工。これを針金で作った骨組みに巻き、はさみで切りそろえて毛並みを表現する。完成すると全長が16センチのネズミに仕上がる。
同地区のスゲ細工は冬場の農家の副業だったが、高齢化などで作り手が減少。市民の有志が2015年に「50年以上受け継がれてきた技を守ろう」と同会を結成し、保存活動に励んでいる。
注文に応えるため3月まで作り続ける。同会の柴野美佐代理事長は「丈夫で何十年と持つので家に飾って楽しんでほしい」と話す。値段は1体1万円。(富永健太郎)
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技と実り受け継ぐ 世襲超え未来へ
進む第三者継承
後継者や担い手の不足が全国で深刻化する中、世襲ではなく、第三者に経営を継承する事例が増えている。農地や農機、販路、技術など有形、無形の資産のバトンを次世代に渡す新たなスタイルとして期待される。生産基盤維持に向け中長期の農政の指針となる食料・農業・農村基本計画見直しでも、継承は大きな焦点の一つだ。当事者同士だけでなく、地域ぐるみで継承を支える環境づくりが鍵となる。……
就農への道 地域おこし協力隊 卒業後に定着
地域おこし協力隊から専業農家になる若者が全国に増えてきた。協力隊として農業も暮らしも教わりながら、地域に溶け込む。卒業後は、協力隊時代に培った経験や学び、ネットワークを生かし、農村や農業の担い手になるため奮闘する。協力隊が新規就農につながる新たなルートとして定着しつつある。
培った“人の縁”財産に
協力隊員は2018年度に5359人が活躍。同制度は09年度から始まり、都会から中山間地域など農山村に移住する大きなきっかけを創出している。農林水産業への従事や地場産品の開発・PR、住民の生活支援など活動の幅は広い。
総務省によると、卒業後に農家になる元隊員は、11年度の30人から17年度の152人へ増えた。農業を含めた多業で生計を立てる人、農家民宿などの起業、農業関係の就職もあることを考えると、これからの協力隊では農業に関する仕事も重要になってくる。現在、各自治体が地域おこし協力隊を用いて独自の就農制度を取っている。
「地域に支えられた」鳥取県大山町 國吉 美貴さん(29)
鳥取県西部にある、ブロッコリーやネギ、梨など農業が盛んな大山町。この町で多品目の野菜を5ヘクタールで作る農家の國吉美貴さん(29)は、白ネギの畑で笑顔を見せた。8ヘクタールで野菜を栽培する“師匠”の入江栄さん(53)に、品質に太鼓判を押されたからだ。
受け入れ感謝
國吉さんは、農家になる夢を同町の協力隊の制度を生かして実現した。現在は減農薬や無農薬で栽培し、飲食店など自ら販路を開拓。「農業ができるのは地域のおかげ」と地域に感謝する。「協力隊時代にお世話になった住民や行政担当者、JA鳥取西部の職員らがいたから就農できた」という。
岡山市の住宅街で育った國吉さん。協力隊に応募した発端は、妻の沙織さん(30)がたまたま見つけた同町での募集広告。当時は神戸市で働きながら就農候補地を探しており、25歳で移住した。
協力隊時代、師匠である町の農家らにお世話になった。多種多様な野菜栽培を手伝い、明きょや暗きょといった水路などの基礎を学んだ。何より、地域の懇親会や行事には欠かさず参加して地域の人とつながりができたことが、財産となった。
就農に当たり、農地のあっせんや空き家バンクなどの制度もあったが、農作業所が併設された“農家の家”をなかなか見つけることができなかった。協力隊時代に入江さんら仲良くなった農家に相談し続け、周囲が本気で探してくれたことから、現在の農作業所が隣にある家を見つけることができた。家が決まれば、農地を託す人も自然と増えてきた。
魅力ある仕事
人懐っこくて前向きな國吉さん。“よそ者”だからといって嫌な経験をしたことはないと言う。協力隊時代に、地域の助け合いの姿も学んだ。「農業は働き方も経営スタイルも自分たちで決められる魅力ある仕事」と話す。
沙織さんは「作るだけの農業ではなく、営業も含めて家族で頑張っているので楽しい」と笑顔だ。
入江さんは「Iターンでも協力隊で地域に溶け込み、有機農業に挑戦し新しい農業のスタイルを作りかけている。これからは、新たな風を地域が受け入れ育む時代。応援したい」と見守る。
同町では15年度から農業部門でも協力隊の募集を始め、現在、國吉さんを含め2人が実際に就農した。國吉さんは「大山農業は可能性がいっぱい。若い人をもっと増やしたい。JAや地域の人たちが築いてきた大山ブランドがあるから農業ができていることを忘れず、頑張りたい」と見据える。
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日米貿易協定が発効
日米貿易協定が1日、発効した。牛肉、豚肉などは発効と同時にTPPと同水準まで関税を削減。TPP、日欧EPAに続く大型協定の発効となる。3協定の参加国からの農産物輸入額は2018年で全体の6割を超え、日本農業はかつてない自由化時代に入る。
国内産地への影響が懸念される牛肉の関税率は、38・5%が26・6%に削減される。米国産の18年度の輸入量は、25万5000トン。TPPで既に削減しているオーストラリア産なども含め、輸入牛肉の99%超で、関税削減が進むことになる。日本の牛肉の需給動向に大きな影響を与えそうだ。
日本の輸入品の関税率などは今後、毎年4月に切り替わって次年度の水準になる。20年度は4月から2年目に入り、TPPと日欧EPAは3年目に入る。
牛肉セーフガード(緊急輸入制限措置=SG)の発動基準(24万2000トン)は、初年度は発効日から3月末までの日数で割るため6万トン強。20年度は税率25・8%、SG発動基準24万2000トンとなる。SGが発動した場合、10日以内に米国との発動基準の引き上げ協議に入ることが決まっている。
農水省は、米国抜きのTPP11の影響も合わせて農林水産物の生産額が最大2000億円減ると試算。国内対策で農業所得や生産量は維持されるとしている。19年度補正予算案には3250億円の国内対策費を計上。和牛・乳牛の増頭奨励金などを新設する。
一方、米国への牛肉輸出は、低関税枠が大幅に拡大。年間200トンから6万5005トンに増える。
豚肉は高価格帯にかかる関税が4・3%から1・9%に、低価格帯にかかる関税は1キロ当たり482円から125円に下がった。差額関税制度は維持した。乳製品はハード系チーズやホエー(乳清)で関税を削減する。米は除外した。
協定発効後も多くの課題を抱える。20年に焦点になるのが、米国との追加交渉に向けた予備協議で、関税やサービス貿易などから交渉範囲を決める見通し。
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