和牛輸出増へ大型繁殖舎 担い手研修にも活用 宮城
新牛舎は1276平方メートルで100頭の飼養が可能。同牧場は2022年までに繁殖雌牛を100頭増やし、出荷頭数を現在の年間133頭から約200頭まで増やす。発情発見装置と分娩(ぶんべん)監視装置を導入。情報通信技術(ICT)機器を整備した。
国の「公共牧場活用和子牛等増産対策事業」を活用し、既存牛舎の改修も合わせ、約3億円かけて完成させた。同牧場の飼養頭数は7月時点で、繁殖牛433頭、肥育牛10頭、種雄牛2頭、預託牛84頭で、県内の畜産業界をけん引してきた。新牛舎の活用で、これまで11カ所に点在していた牛舎を集約し、作業効率の向上を目指す。
みやぎ農業公社の寺田守彦理事長は「さらに頭数を拡大させ、世界に通用する和牛の生産基盤を強化する。輸出力の向上を目指す」と意気込みを見せた。
新たな取り組みとして、同牧場はJA全農みやぎと連携し、22年度から研修生を受け入れる。毎年3人ずつ受け入れ、研修費用は無料。期間は2年間とし人工授精師などの資格取得を支援する。県内は大規模な繁殖牧場が少ないため、50頭以上の規模での研修は難しかった。
全農みやぎ畜産部の安齋彰洋部長は「畜産技術や大規模牧場の運営を学んでもらい、独立後は仙台牛など、良質な和牛の生産拡大をしてほしい」と期待する。
11日から順次、新牛舎に牛を入れる。餌となる200ヘクタールの牧草地は今後の増頭に合わせて草地更新を進める。稲発酵粗飼料(ホールクロップサイレージ=WCS)の活用などで耕畜連携にも取り組む。