<最新>肉用牛の危機突破へ団結 JAグループ長崎が大会 生産者ら300人気勢
JAグループ長崎と長崎県JA肉用牛部会長連絡協議会が、肉用牛経営危機突破長崎県生産者大会と題して開いた。県域のこうした大会は、牛海綿状脳症(BSE)発生時の2002年以来23年ぶりとなる。
肉用牛の生産費は、ロシアのウクライナ侵攻前に比べて1・5倍に膨らんでいる。一方、和牛子牛の1月の全国平均価格は、国の24年度の肉用子牛保証基準価格(56万4000円)を下回る55万4000円。長崎県の平均価格は51万6000円と、全国平均を4万円弱下回る。
JA県中央会・全農県本部運営委員会の真壁正二郎会長は「BSEを超える危機感がある」と表明。「生産者の努力が消費者に理解されることが適正な価格形成につながる」と適正な価格形成の実現を訴えた。
協議会の荒木大作会長は「BSEも知恵を出し合い乗り越えた。今も仲間がいる。生産者の思いを伝えながら、頑張る、乗り越えるという意識を共有する場をもちたい」と語った。
JA島原雲仙和牛繁殖連絡協議会の一員で、就農5年目の荒木健太郎さん(25)は「経営は苦しい。部会員も2割減った。なかなか将来を展望できない」と厳しい現状を説明。「消費者においしいと言ってもらえる安全安心な『長崎和牛』を届けられるよう、前を向いて進んでいこう」と呼び掛けた。
会場では「長崎和牛を守れ」という動画を放映。農家自ら現状の困難さを説明する一方、やりがいや喜びも伝え、消費者へ「長崎和牛」の価値を訴えた。
長崎県は肉用牛の飼養頭数が9万3500頭(2024年2月)と全国5位。生産額は250億円(23年)と県の品目別で1位となっている。