洋花 婚礼需要戻り高値 コロナ・燃油高で出荷減
バラ類の日農平均価格(各地区大手7卸のデータを集計)は10月中旬から平年(過去5年平均)を超える展開となり、8日の1本当たり価格は平年比4割高の128円となった。ガーベラやカーネーション、ダリア、カラーなども同じ傾向で、平年を2~4割上回る。
10月の緊急事態宣言解除後、業務需要が全体的に底上げされたが、中でも婚礼件数の増加が大きい。週末の婚礼向けの仕入れがある水曜日取引は、昨年同時期は低調だったものの、今年11月以降は一転、好調だ。花き卸の世田谷花きによると、一時はゼロとなっていた婚礼向け取引量はコロナ流行前の8割まで回復しているという。
今月も大手中心に延期されていた式を年内に実施しようと、平日含めクリスマス近くまで予約が埋まる式場がある。婚礼向けの花の販売が多い仲卸のプランツパートナーは「婚礼は需要規模が大きく、動きだすと今の市場入荷量ではすぐに品薄になる」と話す。
産地ではコロナ禍の先行き不安から、経営リスクを分散するため、婚礼向け品種の作付けを抑える動きがあった。バラ農家ではその分、違う花木や野菜に転換した人もおり「婚礼向けの白のスタンダード品種や赤の中輪スプレイ品種の品薄感が強い」(世田谷花き)。
各地区大手7卸では、12月上旬の国産の市場入荷量はバラやダリアなどが平年より2割ほど少ない状況。コロナ禍による航空便輸送の制約で輸入品の供給も不安定だ。
高騰する燃油費節約のため、産地で加温を抑制する動きがあることも出荷減に拍車を掛ける。花き卸の大田花きは「燃油高騰は産地にとって死活問題。年末に向け入荷量が例年並みに回復する要素は乏しく、相場高がしばらく続く」と見通す。