地域資源で飼料7割自給 山形大と県が養豚で実証 高騰下、安定確保へ
同県では庄内地方を中心に養豚が盛んだ。ただ、飼料工場から遠いことで配送費がかさみ、直近では飼料高騰も課題となっている。日本中央競馬会(JRA)の支援を受け、山形大が昨年から取り組みを始め、本年度から県養豚研究所が加わった。プロジェクトには地域の耕種・養豚農家も参加する。
山形大は農家の協力を得て、子実用トウモロコシの生産性向上に向けた栽培試験などを進める。本年度は約5ヘクタールで栽培する。地域で産出される飼料用米やふすま、規格外大豆などを組み合わせ、配合飼料を地域内で生産。供給体制の整備に向けた検証をする。輸入飼料を下回る価格を目標にする。
養豚研究所では実際に豚へ給餌し、飼料要求率や日増体重といった飼養成績や、肉質への影響を調べる。本年度は配合飼料を、研究所と協力農家を合わせ100頭程度に給餌する予定。
豚肉は地元食肉メーカーやスーパーに供給。豚ぷん肥料も耕種農家で活用するなど、地域で連携する体制を整える。
子実用トウモロコシを生産する耕種農家にとっては、新たな転作作物となり、土壌改良効果も見込める。畜産農家は飼料の安定確保や地域内でのブランド化が期待できる。
県養豚研究所の齋藤常幸所長は「飼料価格が高騰する中、できるだけ地域内の飼料を活用することで農業経営の安定につながってほしい」と話す。山形大の浦川修司教授は「地域で資源や経済を循環させることで、地域が発展するきっかけとなれば」と期待する。