慎重から一変 大胆手口 [家畜はどこへ 広域盗難を追う](中)

養豚場から盗まれた多くが生後50日程度の子豚だった(群馬県内で)

 家畜窃盗は8月上旬、長期にわたって少しずつ盗むことで発覚が遅れる「慎重な手口」から、一度に多くを盗む「大胆な手口」へと変わった。祝日の10日を挟んだ数日間に、群馬県内の三つの養豚農場から計160頭以上も盗まれたのだ。農場が無人になる夜間の犯行は同じだが、一度の大量盗難は朝になってすぐに発覚した。
 

トラックで?


 連休明けの8月11日午前7時すぎ、農場に出勤してきた従業員が、子豚舎の頭数が昨日より少ないことに気が付いた。「数えたら50頭も足りなかった。8月の初めに出荷前の豚数頭が血を抜かれ、盗まれる被害があったから、盗難だと分かった」と経営者は振り返る。

 両側に豚房が並ぶ通路には、豚の足跡はなく、従業員のものとは異なる人間の足跡が複数認められた。25センチの自分の足より小さめで、犯人のものと思われるサンダルが豚房に引っ掛かっていた。

 経営者は「買い手がいたから大量に盗んだとしか思えない」と推測し、「豚房から子豚を抱えて運び出したとしたら、豚の扱いに慣れている。50頭を運ぶには2トントラックが必要。犯人は用意周到で荒っぽい」と分析した後、感情をあらわにした。「地域ではホウレンソウなど露地野菜も被害に遭っている。農家は盗まれ損なのですか」

 同じ地域にある別の養豚農場も「今は被害に遭っていないが、犯人が捕まっていない以上、いつ盗まれてもおかしくない」と不安を抱えている。
 

SNSに投稿


 「今春以降、SNSに豚肉や果実を販売する複数の投稿が現れ、盗難事件が報道されると更新されなくなった」と被害農家の一人が言う。見つけた投稿は外国語で記され、女性が室内で豚を解体する写真や動画もアップロードされている。日本国内であれば、食品衛生法やと畜場法に違反している可能性が高いが、盗難との関連は不明だ。

 ただ、豚肉の発送先として群馬や栃木の自治体名が記されていたり、盗難があった自治体の指定ごみ袋が写り込んだりしており、「限りなく疑わしい」と被害農家は思う。豚は牛のような個体識別管理の仕組みがないため、「売られてしまえば犯罪の証拠がなくなってしまう」と焦りを募らせる。

 群馬県内10件の被害届を受理した県警も、これらの投稿を把握している。発信者の特定を急ぎ、広域窃盗との関連を調べているとみられる。

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