[新型コロナ] 業務用ブロッコリー国産拡大へ コロナ禍逆手に「スマート」導入 静岡市の農業生産法人

自動移植機による定植。雨で土の状態が悪いときは、機械の後から2人で補植する(静岡県菊川市で)

 静岡市の農業生産法人、鈴生は新型コロナウイルスの影響で外国人技能実習生が来日できないことを機にスマート農業を導入し、業務用ブロッコリーの面積拡大に乗り出した。手作業が中心だったブロッコリー栽培を機械化し、面積を3ヘクタールから10ヘクタールに拡大。輸入が大半を占める業務用ブロッコリーで、国産のシェア拡大を目指す。(岩瀬繁信)

 同社は県内各地で露地野菜を延べ160ヘクタール栽培する。業務用ブロッコリーは菊川市で、2019年に3ヘクタールから始めた。市内の栽培面積はレタス、エダマメと合わせて約27ヘクタール。社員5人と外国人実習生3人、パート従業員5人で栽培していた。

 同社常務の鈴木靖久さん(38)は「業務用ブロッコリーは輸入と冷凍がほとんど。国内で需要の取り合いをせず生産を増やせる」と力を入れる。

 ところが20年になり、新型コロナで突然の人手不足に襲われた。外国人実習生3人が帰国し、代わりに3人来日する予定が、3月の時点で来られないことが判明。パート従業員も学校の休校措置で勤務時間が減った。3月から始まるエダマメの種まきが遅れ、市場価格が高い6月前半の出荷を逃してしまった。

 ブロッコリーの作付けも危ぶまれたが、4月に農水省がコロナ禍の人手不足対策としてスマート農業を導入試験する事業を開始。同社はブロッコリーの苗の移植機と収穫機による機械化一貫体系に活路を見いだした。苗を8~10月に定植し、11~3月に収穫する。

 収穫機は、引き抜きから上葉と茎の切り落としまで自動化する先端機種だ。手作業では8、9人必要だった人手が3人に減ると見込む。一方、手作業では大きくなった花蕾(からい)だけを選び1枚の畑の収穫を数回に分けるが、機械は一斉収穫しかできない。10アール当たりの収量は手作業の800キロに比べ、機械は600キロほどに減る計算だ。

 サイズのばらつきは業務用のため、ある程度認められる。収量の減少は面積の拡大でカバー。移植機で定植も効率化し、10ヘクタールの栽培を計画する。全体の収穫量は24トンから60トンに増えるとする。

 実際に移植機を使い始めた従業員の長田利宏さん(42)は「株間や深さの微調整ができ、精度が高い。操作がシンプルでパートさんでも運転できる」と評価。10アール当たりの作業は、運転者と補助者の2人で1時間前後。苗の運搬も含めた延べ時間は手作業と比べ3割以下に減った。ただし雨天時など土の状態が悪いと精度が落ち、補植に2人必要で時間もかかる。

 同社では来日できずにいた外国人実習生も11月からの配属が決まった。来シーズン以降は、スマート農機と実習生の力を合わせ、一層の面積拡大を目指す。

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