イチジク 果実乾燥し整腸作用
2010年06月16日

実も葉も薬用作用があるイチジク
イチジクを紹介します。昔から果実を乾燥し、便秘や整腸の薬として用いてきました。葉も干して使えます。せんじて飲む以外に、入浴剤としても利用できます。神経痛や痔(じ)を改善する働きがあり、皮膚がつややかになります。生薬名は、果実を天日で乾燥したものを「無花果(ムカカ)」、葉を乾燥したものを「無花果葉(ムカカヨウ)」と言います。
採 取
完熟した果実を丸ごとざるなどに載せて、天日で干します。2週間ほど置くと、大きさは約3分の1になります。スーパーなどで売っているものは、粒が大きくやや固いので、半分に切ってから乾燥させるのがお薦めです。葉は真夏に収穫し、洗って2、3センチ幅に刻みます。重ならないようにむしろに広げ、天日で1週間ほど乾燥させます。
使用法
乾燥した果実約30グラム(5、6個分)を包丁で半分に切り、500~600ミリリットルの水でせんじます。沸騰したら弱火で半量まで煮詰めます。3回に分けて、食後に飲んでください。健胃整腸作用のほか、のどの炎症を和らげ、滋養強壮にもお薦めです。
葉は20グラム分(ひとつかみ)を水500ミリリットルでせんじ、煮詰めて半量にします。1日3回、食間に服用すると血圧降下作用があります。 乾燥葉を使ったイチジク湯も楽しんでみましょう。布袋にひとつかみ入れて、湯船に浮かべます。湯の色は淡い茶色になります。
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今季狩猟期前半 鹿、イノシシ捕獲14%増 集中キャンペーン奏功
今シーズンの狩猟期の前半に当たる2020年秋から20年末までに、鹿とイノシシの捕獲頭数の合計が前年より14%増えたことが農水省の調査で分かった。20年度から始めた、重点地域を設定して捕獲への取り組みを強化する「集中捕獲キャンペーン」に一定の効果があったとみられる。鹿の捕獲数は全国的に増えたが、イノシシには地域差もある。対策を一層強化し、捕獲頭数を底上げできるかが課題になる。
半減目標へ強化課題
同省が20年秋の狩猟期開始から20年末までの鹿、イノシシの捕獲数を都道府県から聞き取った。……
2021年02月25日

[活写] 丹精5色 敷き詰めて
福井市美山地区で、地元産の野菜を使ったカラフルな「かき餅」の乾燥作業が進んでいる。
かき餅は北陸地方で農家などが冬に作る保存食。薄く切った餅を寒風で乾燥させて作る。これを、地元産の野菜でアレンジしたのが、同地区の主婦7人でつくる加工グループ「美山そば工房木ごころ」だ。使う野菜は全て地元産で、5種の味を開発。赤色は地域の伝統野菜「河内赤かぶら」の粉末を練り込んだ。緑色はヨモギで黄色はカボチャ、ゴマ、トウガラシもある。
通常、ひもでつるして干すかき餅を、同グループは、乾燥時の割れや曲がりを防ぐため、乾燥台に並べて干す。
代表の田中康子さん(74)は「昨年はイベントの中止が相次ぎ販売に苦戦した。今年はコロナが落ち着いて多くの人に食べてほしい」と話している。
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2021年02月21日
基盤、感染症の対策を 食料安保で初会合 農水省有識者委
農水省は19日、食料安全保障の強化に向けた施策を策定するため、有識者でつくる「食料安全保障アドバイザリーボード」の初会合を開いた。国内外の食料需給の変化や新型コロナウイルスの影響などを受けて設置。6月までに取りまとめる。同日は、国内の生産基盤の強化や、人と家畜に共通する感染症への備えが必要との意見が出た。
政府は昨年末、農政改革の基本方針「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂。……
2021年02月20日

ニンジン葉切断機開発 1分で最大130本処理 千葉・八街洋らん園
千葉県八街市でニンジンなどを栽培する八街洋らん園は、ニンジンの葉の切断機「CHC─1」を開発した。ベルトコンベヤーにニンジンを載せるだけで自動で葉を切れる装置で、調製作業の省力化を見込む。同社の調べで、人手だけの作業に比べ約6倍速く調製できるという。霜や寒さに当たって葉が枯れたニンジンの調製作業を大幅に省力化できると期待する。
開発した切断機の大きさは、高さ1・1メートル、幅1・3メートル、奥行き60センチ。ベルトコンベヤーで運ばれたニンジンをローラーで押さえて、カッターで切る仕組みだ。
同社によると、1分間に最大130本を処理できるという。100ボルトの電源電圧で稼働する。
地域では、11月~翌年3月の5カ月間でニンジンを出荷する。葉を引っ張って地面から抜く専用のニンジン収穫機を使えば、葉が自動で切り取られるが、1月以降は霜に当たって葉が枯れ、機械が使えない。そのため手作業で枯れた葉を切る必要がある。
2020年に特許を取得した。葉だけでなく、ニンジンの先端から伸びた細い根も切れるよう改良を進める。ニンジン1ヘクタールを栽培する同社の井啓代表は「調製作業は時間がかかり、精神的に負担が大きい。省力化が強く求められている」と指摘する。
価格は38万円(税別)。問い合わせは八街洋らん園、(電)043(445)2214。
動画が正しい表示でご覧になれない場合は下記をクリックしてください。
https://www.youtube.com/watch?v=3x6lFYTYPto
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2021年02月23日

榎本牧場チーズ 山口県岩国市
山口県岩国市の榎本牧場のチーズ工房の自家製チーズ。新鮮な生乳と塩だけを原料に粘りと滑らかさにこだわり「モッツァレラ」、サクランボ大に成型して小分けした「チェリー」、裂けるチーズの「ストリング」の3種類がある。循環型酪農で飼養する牛の搾りたての牛乳から作るチーズは味わい深く、癖がないので食べやすい。お勧めの食べ方は、「モッツァレラ」にトマトを合わせてオリーブオイルを掛けたカプレーゼ。
100グラム入り540円(チェリーは572円)。JA山口県の直売所FAM’Sキッチンいわくにで販売する。問い合わせは榎本牧場、(電)0827(74)0955。
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2021年02月25日
薬草百科の新着記事

ウ ド 酒に漬けて強壮に
ウドは日本、朝鮮半島、中国に分布します。山野に普通に見られる多年生の草本です。
採 取
根茎および根を薬用とします。秋に根茎を掘り取り、水洗いしてから、乾燥しやすいように切片か薄い輪切りにして、最初3、4日間は天日干し、次いで風通しの良い場所で陰干しします。生薬名は九眼独活(きゅうがんどっかつ)と言い、土当帰(どとうき)を用いることもあります。
使用法
成分はリモネン、ピネンなど17種類の精油、数種のジテルペン酸などが含まれています。発汗、解熱、鎮痛薬として、風邪、頭痛、歯痛、リウマチ、神経痛に用います。
生薬は1日量10~15グラムに水600ミリリットルを加えて煎じ、約半量まで煮詰めて布でこして、1日3回に分けて食前か食後に服用します。体を温める作用があるので、冷えや、寒さのために起こる頭痛などにはよく効きます。
民間では茎と根の生汁を作り、精神不安、統合失調症の緩和および強壮薬に服用します。茎葉を数センチに刻み陰干しし、浴湯料に用います。
薬用酒は果実および根を用います。果実は10月ごろ、根は10、11月に採取します。果実は水洗いしてよく水を切ったもの、根は掘り起こしてよく水洗いし2、3センチに刻み同様に水を切り、やや半乾きのもの500グラムに砂糖100~200グラムを入れてホワイトリカーを1.8リットル加えて漬けます。3カ月は熟成させます。熟成後、布でこせば黄金色のウド酒が得られ、夕食後に杯1杯を飲みます。補精、強壮の効き目があります。
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2014年09月03日

ウキクサとコウキクサ ビタミン類が豊富
ウキクサとコウキクサは池や沼、水田などに普通に見られる浮遊性の水草です。従来はウキクサ科に分類されていましたが、最近の遺伝子情報からサトイモ科に編入されました。中国ではウキクサとコウキクサの葉状体を浮萍(ふひょう)と言います。両種ともに飼料(家畜、豚、魚の餌など)、汚水浄化、市水の緑化、薬用などに利用されています。
採 取
6~9月に網でウキクサ、コウキクサをすくい上げて、混ざり物を除き、よく水洗いし、ざるに入れて時々かき混ぜながら天日で乾燥させます。乾燥させた物は生薬で浮萍と呼びます。
使用法
浮萍には酢酸カリウムおよび塩化カリウムを多量に含み、ビタミン類およびフラボノイド類、たんぱく質なども豊富です。薬理作用は強心作用と解熱作用が報告されています。
薬効として発汗、利尿、解熱、解毒の効能があり、流行性熱病、じんましん(特に発疹の出きらぬ場合)、皮膚のかゆみ、皮膚病、やけど、水腫、毒ヘビのかみ傷などに用いています。
喉が真っ赤に腫れ、熱のある風邪やむくみがあり尿の出が悪いときの利尿剤としては、1回量を浮萍4~8グラム(新鮮なものは15~30グラム)に水600ミリリットルを加えて煎じ食間に服用します。やけど、皮膚病などには、この煎液を外用します。
また急性腎炎には浮萍60グラムと黒豆30グラムを水で煎じ服用するとの記載があります。。
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2014年08月20日

サルナシ 樹液、樹皮に利尿効果
サルナシは北海道から九州までの山地に生える落葉のつる性の木です。
採 取
薬用にはつる、葉、根、果実を用います。つるは必要時に採取します。樹皮は春から夏に採取し、そのまま陰干しして乾燥させます。葉は8、9月に採取し乾燥させます。根は冬に掘り取り水洗いして乾燥させます。果実は10、11月、淡緑黄色に熟したものを採取します。
使用法
利尿に樹液および樹皮の煎剤を用います。太いつるを地上部から30~50センチで切り、切り口に容器を当てて流出する樹液を受けます。1回に30~50ミリリットルを服用します。また陰干しで調製した樹皮を刻み、1日量10~15グラムに水600ミリリットルを加えて煎じ約半量に煮詰めてこし、1日3回食間に服用します。
果実にはビタミンCが多く含まれています。昔から強壮薬として解熱、糖尿病、喉の渇き、風邪気味に1日5、6個の熟した果実を生で食べるか、乾燥した果実ならば1日量約5グラムに水600ミリリットルを加えて煎じ、1日3回食間に服用します。葉も同様な効果があり、1日量5~10グラムを煎じ、服用します。
中国では乾燥した根を刻み、1日量15~60グラムを煎じ、黄疸(おうだん)、関節痛に、また他の生薬と共に食道がん、胃がんなどに用いています。
健康酒を作るには、完熟する前の果実を用います。果実を採取したらそのまま、1.8リットルの広口瓶などに半分まで入れます。次いで砂糖50グラムとホワイトリカーを口元まで入れて冷暗所で2、3カ月熟成させます。夕食後に20~30ミリリットルを飲みます。
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2014年08月06日

クララ 根を刻んで浴湯料に
クララは本州、四国、九州に広く分布します。山野、土手などで見られる多年草のマメ科植物です。
採 取
薬用には根を用います。花が終わって8、9月に根を掘り取り、主根だけを水洗いしながらナイフでひげ根を除き、外皮を剥いで日干しで乾燥させますが、根を刻んで乾燥した方が早く仕上がります。
根にはアルカロイドのマトリン、オキシマトリンなどを含み、とても苦味が強い。名のクララも根の苦味でクラクラと目がくらむので名付けられた。生薬で苦参(くじん)と呼びます。
使用法
苦味健胃、鎮痛、解熱薬として、苦参1日量を3グラムに500ミリリットルの水で煎じ、約半量まで煮詰めたものを1日3回に服用します。また漢方処方されて用いられます。手足が火照って眠れない時に用いる、三物黄ごん湯(さんもつおうごんとう)は苦参、黄ごん各3グラム、地黄(じおう)6グラムを1日量として水600ミリリットルを加えて煎じます。煮詰めて約半量にしてから布などでこして、ろ液を1日3回食後に服用します。苦参は毒性もあり、利用時は専門家の指導を受けるようにして下さい。
水虫、田虫、あせも、床ずれ、湿疹、陰部のかゆみなどに苦参10グラムに水500ミリリットルを加えて煎じます。冷えてから患部を洗浄します。また生の根の汁を搾って、患部に塗ります。刻んだ苦参50グラムを布袋に入れて浴湯料とすれば同様の効き目があります。このように苦参は優れた外用薬です。
また農業用殺虫剤としては乾燥し細切りした茎葉300グラムに5リットルの水を加えて40分加熱煎じた液を用います。
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2014年07月24日

ナワシログミ 果実は糖尿病に効果
ナワシログミは関東以西の本州と四国、九州に分布しています。常緑の低木で、とげがあり、葉や枝、果実の表面には星状毛が密生しています。この特性はグミの仲間の区別に利用します。秋に開花し、冬を越して翌春の5、6月に赤く結実し長楕円(だえん)形の果実を付けます。リコペンを含んでいます。
採 取
薬用には果実、葉、根を用います。初夏に赤く熟した果実を採り、水洗いして日干しで乾燥させます。乾燥したものは生薬で「胡頽子(こたいし)」と言います。葉は年中採取が可能で、新鮮なままか、乾燥させ用います。生薬名は「胡頽子葉(こたいしよう)」です。根は9、10月に掘り採り、水でよく洗って切り分けて日干しで乾燥させます。生薬名は「胡頽子根(こたいしこん)」と言います。
使用法
「胡頽子」は下痢、喉の渇き、せき、糖尿病に用います。1回量の5~10グラムに水300ミリリットルを加えて煎じます。煮詰めて半量として服用します。「胡頽子根」を用いるには刻んで、1日量6~10グラムに600ミリリットルの水を加えて煮詰めて半量とし、1日3回食間にせき止め、止血、リウマチによる関節痛、感冒による頭痛、黄疸(おうだん)などに服用します。
「胡頽子葉」は、肺結核の初期や肺浸潤に用い、せき止め、止血、でき物などに「胡頽子根」と同じように煎じて服用します。新鮮なものを用いる場合の量は、乾燥させた生薬の倍量を用います。また打撲傷などの外用には煎液を用います。
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2014年06月25日

カラスビシャク 吐き気、消化不良に
カラスビシャクは、高さ約50センチの多年生草本です。春に、地中深く埋もれていた丸い塊茎から長柄を持つ3枚の葉が出てきます。
採 取
夏以降に塊茎を掘り採り、水洗いします。水と砂を入れた容器に入れてかき混ぜ ながら、芋洗いの要領で黒褐色 の外皮とひげ根を取り除きます。皮が取れてきたら、水洗いします。このとき、洗った水が皮 膚に付くとかゆくなるので注意します。水洗いが終わったら、むしろの上に広げて天日で十分に乾燥させます。乾燥した塊茎は白くて葉跡がややへこみ、根の跡も点状に見られます。生薬名を「半夏(はんげ)」と言います。
使用法
「半夏」には吐き気を鎮める優れた作用があり、喉が腫れて痛むときや、腸がゴロゴロ鳴るときに用います。用い方は1回に1.5~5グラムを煎じて服用します。「半夏」独特のえぐ味があり飲みにくいので、ショウガを加えます。漢方処方の「小半夏湯(しょうはんげとう)」は「半夏」8グラムとショウガ5グラムを水500ミリリットルで煎じます。約半量まで煮詰めてから布でこし、1日数回に分けて少量ずつ冷やして服用します。
「小半夏湯」に「茯苓(ぶくりょう)」を加えた「小半夏茯苓湯」は、つわりや諸疾患に伴う吐き気に用いると効き目があります。特に胃腸が衰えて消化不良となり、胃部に水分の停滞感があって重苦しく、尿量が極度に減少して吐物のほとんどが水分で、めまい、動悸(どうき)などを伴うような症状に適しています。
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2014年06月11日

キ リ 痔疾、打撲、やけどに
キリは落葉高木で、高さは10~15メートルです。花は5月ごろに枝の先に大型の円すい花序をつけ、淡紫色の筒状鐘形の花冠を多数つけます。
採 取
薬用部分は樹皮および枝、葉を用います。樹皮と枝はそれぞれ必要なときに採取します。細かく刻み、日干しで乾燥させます。生薬名は「桐皮(とうひ)」です。葉は6~8月に採取して水でよく洗い、刻んで天日で乾燥させ、しおれて柔らかくなったら日陰で十分乾燥させます。生薬名は「桐葉(とうよう)」です。葉汁を利用する際は生の葉を用います。
使用法
痔疾(じしつ)、丹毒、打撲傷に「桐皮」や「桐葉」を用います。生薬を刻んだものを1日量15~30グラムとして、水500~700ミリリットルで煎じ、半分まで煮詰めて1日3回、食後に服用します。やけどなどに外用するときは、「桐皮」あるいは「桐葉」10グラムに水700ミリリットルを加えて煎じ、半量まで煮詰めた液で洗います。いぼには生の葉を採り、搾ってその葉汁を患部に塗ります。その他、花は風邪、せき止めに、果実は去痰(きょたん)とせき止め、種子は止血、木質部は足の腫れ、若い根と根皮などもリウマチによる足の痛み・腫れ物に利用されています。
養毛料として用いる場合は、乾燥葉か乾燥枝を刻んだもの5グラムに水500ミリリットルを加えて煎じた液で毛髪を洗います。キリの木質部を刻み、煎じて煮詰めておいて、その液を付けても効き目があります。
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2014年05月28日

ゲッケイジュ リウマチや神経痛に
ゲッケイジュは地中海沿岸地方の原産です。葉はローレル、ベイリーフなどと呼ばれスパイスとしての需要が多く、日本には1905年ごろに渡来しています。常緑の小高木で分枝が多く、葉は長楕円(だえん)形で、傷を付けると芳香を放ちます。花は春に葉の脇に散形花序を付けます。
採 取
薬用部分は葉、果実および精油です。葉は必要なときに採取して、水でよく洗い、日干しで乾燥させ、細かく刻んで保存します。生薬名は「月桂葉(げっけいよう)」です。果実は秋に黒紫色に熟したものを採取し乾燥させます。生薬名は「月桂実(げっけいじつ)」です。
使用法
葉の芳香性の精油は「月桂油(げっけいゆ)」と呼び、抗真菌作用があります。精油成分はリナロール、オイゲノール、ゲラニオールなどを主成分としています。リウマチや神経痛に、葉を乾燥させたものを刻み、1回量として3グラムを水300ミリリットルで煎じ約半量まで煮詰めて布でこして服用します。芳香性の苦味健胃薬として用いる場合は、乾燥葉を細かく刻み粉末とします。粉末3グラムを1日量として1日3回、食後に服用します。
「月桂実」にはシネオール、ピネン、脂肪油を含みます。健胃薬として、粉末にして1回量1、2グラムを服用します。「月桂油」はリウマチ、神経痛、腫れ物、疥癬(かいせん)に塗布します。「月桂葉」には痛みを緩和する作用があるので、煎じ液を座浴に用いると、子宮やぼうこうの痛みを和らげる効果があります。
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2014年05月14日

アマドコロ 滋養強壮、肌つやよく
アマドコロは、北海道から九州の山林原野に自生する多年生の草本です。根茎は横に長く伸び、節があります。約3センチの花梗(かこう)の先に、筒状の長さ2センチほどの花を付けます。
採 取
薬用部分は根茎で、地上部が黄変し始める10、11月に掘り取ります。水洗いして細かいひげ根を除き、乾燥しやすいように縦に二つ割りしてから、日干しで乾燥させます。生薬名は「萎いずい)」で、漢方では「玉竹(ぎょくちく)」とも呼びます。
使用法
「萎ずい」は滋養強壮の効果があり、中風による足の筋肉障害を治し、色が黒くつやのない肌も明るくつやのある肌になります。これは肌の老化を抑制する作用です。
また、長寿の効き目があるといわれます。滋養強壮、胃潰瘍、胃炎、鎮咳(ちんがい)、消炎、寝汗、疲労倦怠(けんたい)などには「萎ずい」を刻み、1日量として10グラムに水700ミリリットルを加えて煎じます。ほぼ半量までに煮詰めて布などでこし、1日3回、食後に飲みます。
アマドコロ酒は「萎ずい」100グラム、グラニュー糖100グラムにホワイトリカー800ミリリットルを加えて漬けます。半年ほど冷暗所で熟成させてから布でこし、就寝前に約20ミリリットルを飲みます。
ねんざや打撲傷には「萎ずい」を刻み、さらに粉末にして食酢でよく練って患部に厚めに塗ります。キハダの樹皮から作る「黄檗末(おうばくまつ)」を適量加えて用いると効き目が強くなります。
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2014年04月30日

トウゲシバ 止血、消炎、解毒にも
トウゲシバは山地の日陰に生える常緑の多年草で、シダ植物です。ヒカゲノカズラ科に属し、日本各地に分布します。背丈は10~20センチで、根元や茎の先端部分で分枝するので、株立ちのように見えます。葉は狭皮針形、長さ15~20ミリ、幅2、3ミリで、縁に鋸歯(きょし)があります。
葉は根元から先端までらせん状に生えます。トウゲシバは峠柴の意味で、中国名の蛇足石松(だそくせきしょう)は形態から名付けられました。
採 取
薬用には全草を使います。9、10月に採取し、水洗いしてから日干しで乾燥させます。生薬名は「千層塔(せんそうとう)」です。
使用法
止血、消炎、解毒作用があります。でき物、痔(じ)による出血、筋肉の疲労回復に用いられます。「千層塔」を刻み、1日量の10~20グラムに、水600~700ミリリットルを加えて煎じ、半量まで煮詰めて布などでこしてから、1日3回食後に服用します。ただし妊婦の服用は禁止です。外用の場合は煎液で患部を洗浄します。
トウゲシバにはアルカロイドが含まれていて、そのうちフペルジンAが加齢に伴う記憶・認識力の低下やアルツハイマー型認知症を改善する可能性があると期待されています。アルツハイマー型の認知症は、脳内の神経伝達物質アセチルコリンの低下により引き起こされるもので、フペルジンAがこの低下を抑制し、認知機能を回復させ、それを維持する作用があるとされているのです。
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2014年04月16日