トキソプラズマ病  臓器に寄生して増殖

トキソプラズマ病の感染経路

トキソプラズマ病の原虫の卵

特 徴


 トキソプラズマ原虫によって起こる人獣共通感染症で、人を含む哺乳類と鳥類全般が感染する。豚、イノシシ、メン羊、ヤギでは届出伝染病に指定されている。

 口から入った原虫は、リンパ液や血液で全身に運ばれ、肺、肝臓、筋肉など、いろいろな臓器に寄生し増殖する。原虫に感染した臓器を食べると感染する。ネコ科動物だけが「オーシスト」と呼ばれる卵(直径は約100分の1ミリ)をふん便に排せつし、これを食べた動物が感染する。オーシストは、環境中で数カ月以上生存するため、感染源として重要だ。

 症状は、原虫が寄生した臓器によって異なる。主に発熱、下痢、呼吸困難を示すが、その程度は、動物種や年齢、免疫状態によりさまざまだ。幼獣では死亡する場合がある。妊娠動物が感染した場合、流死産や異常子の原因となる。

 家畜の感染はオーシストに汚染された水や飼料を食べることによって起こる。わが国では衛生対策の徹底により、1980年代から発生件数が減少している。妊婦が感染すると胎児に先天性トキソプラズマ症を起こすため、肉類の生食を避ける必要がある。
 

対 策

 

 ワクチンはない。治療薬は、急性期ではサルファ剤とピリメタミンが有効とされる。

 家畜への感染予防のためには、畜舎への猫の侵入や、ふん便汚染を防止することが大切だ。オーシストには消毒剤は効かないため、熱湯などで加熱消毒する。

(農研機構・動物衛生研究所細菌・寄生虫研究領域主任研究員・松林誠) 

・筆者の役職は当時の役職です。

・掲載日:2011/4/29



 

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