サツマイモ輸出 専用オーブンとセット “ヤキイモ”本場の味を 茨城・JAなめがたしおさい

日本から持ち込んだオーブンを使って焼き芋を販売したスーパーの売り場(カナダ・バンクーバーで=全農いばらき提供)

定温貯蔵庫で芋を運ぶ金田部長。約800トンの芋のコンテナが並ぶ(茨城県行方市で)

「砂糖なしで甘い」欧米で好評


 茨城県のJAなめがたしおさいは、サツマイモと焼き芋専用のオーブンをセットにして海外に輸出する戦略を展開している。目指すのは焼き芋の文化の世界発信。船便での長期間の運搬に耐えられるように通気性を高めた段ボール箱で品質の高い芋を届けるとともに、専用機械で作る“本物の味”で現地の消費者の心をつかむ。昨年、カナダのスーパーで販売を始め好評を得ている他、今年7月にはフランスでも試食販売を実施。今後は、欧州などで一層の販路開拓を目指す。(木村泰之)

 JAのサツマイモ輸出は、2017年にタイとマレーシア向けに開始。東南アジアへの輸出では、価格がコストに見合わなかったこともあり、北米への輸出を模索していた。

 JA全農いばらきや日本園芸農協連(日園連)などを通じて、カナダの商社と交渉。約12度に維持したコンテナでの管理の他、1カ月程度かかる船便での輸送でも、カビが生えないよう通気性を高めた段ボール箱を開発した。

 18年3月にはカナダのバンクーバー市内のスーパーで、焼き芋の販売にこぎ着けた。しかし、店頭で販売した時に焼き芋に最適なオーブンがなく、JAが出荷した芋の風味を引き出せていないことが課題になった。

 18年12月に同市で開いた2度目のフェアでは、日本からオーブンを持ち込み、焼き芋を販売した。オーブンとセットでの販売は、既に日本のスーパーで展開していた手法だ。JAが農水省の担当者らと綿密に調整し、検疫や、現地でのオーブンの製造物責任法への適応などの法規手続きをクリアした。店頭ではレシピも配って、試食販売も行った。来店客からは「砂糖を使っていないのに甘い」と好評だったという。

 JA営農経済部の金田富夫部長は「JAで作成したデータを農家に提供し、統一した品質の青果を輸出できている」と話す。7月2~6日には、フランス・パリでパティシエら向けに焼き芋のPRフェアを実施した。JAは今後、スーパーにオーブンをリースし、提供できる店を増やしていくという。

 サツマイモの輸出拡大に若手生産者も期待する。15ヘクタールで「紅優甘(べにゆうか)」など3品種を栽培する行方市の箕輪幸則さん(35)は「自分の作ったものが多く輸出されることで今後の経営の見通しが立つ。天皇杯受賞をゴールにせず、世界に届けることがやりがいにつながる」と喜ぶ。

 金田部長は「日本で食べているものと同じような焼き芋を、海外の人にも食べてほしい。積極的なPRを重ねて焼き芋文化を世界に広めたい」と意気込む。

 JAは、今年8月までに約50トンをカナダで販売する見込みで、来季(20年8月まで)には2倍の100トンを目標に据えている。 
 

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