これを15歳の若者が書いたのか

 これを15歳の若者が書いたのか。『啓発録』。今も戒めの書として読み継がれる▼若者の名は、橋本左内。幕末の志士にして、開明派の思想家である。「安政の大獄」で刑死するまで、26年の短い生涯を駆け抜けた。『啓発録』は五つの戒めをしるす。「稚心{{ちしん}}を去る」「気を振るう」「志を立つ」「学に勉む」「交友をえらぶ」。15歳の左内が、成長するために自らを鼓舞し、律した言葉が並ぶ▼肝となるのは「稚心を去る」。親の庇護{{ひご}}の下で、幼心を抱え甘えていては、自立できないとの戒めである。13、14歳にもなって、幼心があるようでは何事も上達せず、天下の大豪傑になることなどかなわないと諭す。遊びほうけていたわが中高生時代とは天と地である▼この教えは、多くの人に影響を与えている。プロ野球日本ハムの栗山英樹監督は、自著『稚心を去る』で、選手育成法の核心に据える。スポーツジャーナリストの中西哲生さんも栗山さんを通じて、この言葉を知り、若手サッカー選手の指導に取り入れているという▼中西さんは言う。「稚心を去る」ことが、自分の成長、チームの成長につながると。「一流の選手とは、夢や感動を与えられる選手。1人の大人として人間力を持っている選手です。それはJAや農業の世界にも通じます」

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