[2019参院選][論点を追う](下) 農協改革 総合事業あってこそ 挑戦に水差す議論は不要

冬春はイチゴ、夏はスモモ、ブドウのパック詰めを代行するパッケージセンター(福岡県みやま市で)

 福岡県みやま市。JAみなみ筑後は今年、2500万円以上をかけてパッケージセンターの機能を強化した。イチゴ、スモモ、ブドウなど多品目に対応できる。最も時間がかかっていたパック詰めをJAが代行すれば、農家は面積拡大や管理作業など、所得増に直結する作業に専念できる。利用者は高齢農家を中心に順調に増加。「センターのおかげで農業をやめずに済んだ」と評価する声がJAに集まる。

 施設を利用するスモモ農家の日巻重信さん(68)。出荷が約1カ月半と短い中、最盛期は1日800キロ以上を箱詰めする。箱詰め担当を4人雇い、それでも終わらない日は妻の房代さん(69)と深夜まで作業していた。「去年までは1日1600パック を自宅で詰めていたが、今年はゼロになった」と、負担解消を喜ぶ。

 利用料は売り上げの1%。箱やパック代などの資材費も含む。施設に投資する他、センターで働く人員も確保する。JA園芸課は「営農に投資することがJA自己改革だ」と強調する。

 施設の拡充にかけた費用をJAの乗富幸雄組合長は「農家の所得増大には、必要な出費だ」と受け止める。可能にしたのはJAの総合事業だ。営農指導事業で同JAは2018年度、マイナス幅を約1億7000万円に抑えた。一方で利益は、信用事業が1億8000万円、共済事業が約2億5000万円。地域に根差すJAとして正・准組合員の事業利用があったからこそ自己改革は進んでいる。

 乗富組合長は「鉄道会社も、本業の鉄道事業が赤字でも不動産など総合的に事業を回し、地域のインフラを守る。JAも一緒だ」と強調する。

 政府が決めた農協改革集中推進期間は5月に終了した。改革を要望してきた政府の規制改革推進会議は6月の答申で、JAの取り組みについて「一定の進捗(しんちょく)が見られた」と評価。ただ、政府は農業を名指ししないものの、今後も「不断の規制改革」を続ける姿勢を示す。改正農協法では、准組合員の事業利用規制の在り方は21年3月までの調査を経て決める予定で、検討事項となることに現場では不安の声も上がる。

 JA総合事業の見直しは、これまで政権与党がどこであれ、絶えず話題に上ってきた経緯がある。乗富組合長は息長く自己改革に取り組むためにも、「選挙後にJAの挑戦に水を差す議論はやめてほしい」と念押しする。

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