[2019参院選] きょう投開票 その一票が農の通信簿

 参院選で投票率の低下が懸念されている。衆院選のような政権選択の選挙ではない。だが、参院選の結果が首相の辞任につながったこともある。この国の民主主義や農業をどう守るのか。投票率を上げ、農村の通信簿として民意を示そう。

 衆参同日選となった1986年の参院選の投票率(選挙区)は71・36%。だが、それ以降は長期低落傾向にあり、95年には44・52%と過去最低を記録した。直近では2013年が52・61%、16年が54・70%と、60%を下回る状況が続いている。

 統一地方選と参院選が重なる12年に1度の「亥(い)年選挙」では投票率が前回を大幅に下回ったことが多く、投票率低下が心配されている理由の一つだ。

 憲法改正、年金や社会保障、消費税増税。この国の在り方を左右する大きな論点がめじろ押しとなっている。第2次安倍政権は官邸主導の政策決定を加速させ、農業分野でもトップダウンで方針を決めることが常態化した。霞が関の幹部人事を一元管理する内閣人事局の活用の仕方も含めて、官邸主導の政策決定の是非も課題となっている。それにもかかわらず与野党で議論がかみ合わず、争点がぼけていることも選挙戦が盛り上がりに欠く原因となっている。

 とはいえ、政治は暮らしに直結していく。投票率が下がるほど政治は本来の民意と懸け離れた方向にいきかねない。参院選は改選数1の1人区が勝敗の鍵を握る。1人区は農村地帯が中心であり、農村票が選挙の行方を決すると言っても過言ではない。

 第2次安倍政権は2013年6月に閣議決定した成長戦略で、農業・農村全体の所得の倍増や農林水産物・食品の輸出額1兆円、全農地の8割の担い手への集約などを目標に掲げ、米の生産調整見直しなどの農政改革を矢継ぎ早に進めた。だが、カロリーベースの食料自給率は16年度から38%に低下し、6年間で農業就業人口は3割減った。担い手不足も顕在化し、農地面積の減少に歯止めがかからない。

 日本は条件が不利な中山間地域が多く、大規模農家だけでは集落や地域を守れない。ロボットトラクターなどのスマート農業の普及や農福連携の推進、外国人労働者の受け入れ拡大に加えて、中小規模の家族農業も営農を続けられる制度を確立することが重要だ。持続可能な農業・農村に向けて、弱体化する生産基盤をどう立て直すかが農政の最大の焦点となる。

 農水省の食料・農業・農村政策審議会は秋にも、新たな食料・農業・農村基本計画を策定する審議を本格化させる見込みだ。向こう10年間の農政の羅針盤となるもので、新たな基本計画を来年3月にも策定する。

 参院選の一票は、農業者の意思を示し、新たな基本計画や農政に生産現場や農村の声を反映させる大きな手段となる。 
 

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