農村政策の再構築 農水省は司令塔役 担え

 農山村を支援する研究者や実務家らでつくるNPO法人中山間地域フォーラムが、新たな食料・農業・農村基本計画への提言を農水省に提出した。農村の振興には生産面、生活面などの政策を総合的に推進する必要があるとして、同省に政府全体の司令塔となるよう提起した。その本気度が問われている。

 提言は「総合的な農村政策の再構築を!」との名称だ。農村政策として農水省は、中山間地域直接支払いなどを実施。それらは、農業の多面的機能を発揮するために農地や水路、農道などを維持する資源管理政策になっていると分析した。しかし、中山間地域を中心に活動を担う農家や住民らが減少している。

 そこで提言は、農業経営が成り立ち地域社会が持続してこそ同機能は発揮されると指摘。農村、特に中山間地域の今後の姿として①地域特性ごとに、どんな農業経営や農業と他の仕事との組み合わせで経営体として生き残れるか②移住者や農家以外の人と共に、地域経済と持続可能なコミュニティーをどうやって維持できるか――ビジョンを示すよう農水省に求めた。その上で、生きがいを持って仕事を続け、必要な所得を得て、安心して住み続けられるようにする総合的な政策の構想と体系化、府省の連携促進を訴えている。

 農水省の「農村地域人口と農業集落の将来予測結果」によると、山間農業地域では2045年までの30年間に人口が半減し、過半が65歳以上の高齢者になる。また、約14万の農業集落のうち存続が危惧されるのが同年は約1万集落になり、9割近くを中山間地域が占める。

 各府省が農村政策に取り組むが、施策が「バラバラに行われている」(提言)。生活サービスや地域活動の場を小学校区などを単位にまとめ暮らしを支える小さな拠点や、住民を中心に地域の課題解決に取り組む地域運営組織、過疎地などに都会から移住して地域活性化に携わる地域おこし協力隊など他府省の施策も、農業・農村振興の観点での再編成が必要だろう。

 食料・農業・農村基本法は、「農村の総合的な振興」のために農業生産の基盤と生活環境の整備などを総合的に推進するよう国が必要な施策を講ずると定める。そして農水省設置法で総合的な政策の企画・立案・推進を同省の役割と規定。提言は、同省に「リーダーシップを発揮し、積極的な役割をはたすべき」とし、その姿勢を基本計画で明らかにするよう迫る。

 農水省は、まず農村の実態把握と分析で政府内でのリーダーシップを取ると表明している。しかし農村振興は待ったなし。府省横断での政策立案や、現場での使い勝手をよくする仕組み作りまで踏み込むよう求める。

 基本計画は閣議決定し政府全体の方針になる。今国会で農林水産物・食品輸出促進法が成立し、政府の司令塔組織を農水省に創設する。農村政策でもその役割を同計画に明記すべきだ。
 

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