人間が増え過ぎ、だましたり悪いたくらみを考えたりする者が増えた。たまりかねた神々の王ゼウスは地上に大洪水を起こす

 人間が増え過ぎ、だましたり悪いたくらみを考えたりする者が増えた。たまりかねた神々の王ゼウスは地上に大洪水を起こす▼ギリシャ神話「デウカリオーンの洪水」である。空に漂っている雨雲を集めてあらゆる水分をゼウスが絞ると、地上では大豪雨となり、山も野も人の集まっている町も全部が水没した。人々はどこにも逃げる所がなくなってしまう▼そして、堕落した人間の仲間ではない1組の夫婦が生き残った。父親から洪水が起こることを知らされて、方舟(はこぶね)を造って必要な品物や食料を積んでいた。押し寄せる濁流に流されながらも、水が引くまでの九日九夜耐え抜いた。その2人が新たな人間をつくっていく。串田孫一さんの『ギリシア神話』(ちくま文庫)を味わう▼神話をほうふつとさせる事態である。地球のあちこちで異常気象が襲う。南半球のオーストラリアでは山火事が猛威を振るい、北半球でも熱波、山火事、干ばつ、洪水などの異変が相次ぐ。日本でも台風が広範な地域に大きな被害をもたらした。温室効果ガスを出し続けて地球を痛めつける人間へのゼウスの怒りのようでもある▼紛争を繰り返し核兵器の開発も続ける人間は100億人に近づく。さてゼウスは、新しい時代をつくる“夫婦”を残してくれるのだろうか。
 

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