〈敵は本能寺にあり〉

 〈敵は本能寺にあり〉。この名言は広く知られる。一方で史上最も謎多い武将の一人でもある▼異例の1月19日開始となったNHK新大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」。大河で初めて明智光秀が主人公に。題の麒麟とは王が仁のある政治を行う時に現れるという架空の獣。天下統一を目前にした主君・織田信長を倒したが、光秀の前に“麒麟”は来なかった。実像は文武に優れた人物で、智将と言っていい。坂本城に見られる先駆的な城郭技術を持ち、治水を徹底し領民にも慕われた▼連歌も好む。あの戦国最大のクーデター「本能寺の変」の数日前に歌会で〈ときは今、雨が下しる五月哉〉と詠む。〈とき〉は時と光秀出自の土岐(とき)一族を掛けた。〈雨〉は天と読み替え天下となる。天下を収める時は今だ、との解釈が成り立つ▼なぜ日本史最大の謀反を起こしたのか。怨恨(えんこん)説、野望説、黒幕説、四国政策転換説など。『光秀』(乃至(ないし)政彦、河出書房新社)は「信長の油断と光秀の武略が逆心を生んだ」とみる。だが権力奪取後の政権構想がない。軍師・黒田官兵衛の助言も得た羽柴秀吉の電光石火の反撃の前に「三日天下」に終わった▼徳川家康をはじめ顔ぶれがすごい。番組では戦国武将のオールキャストがそろう。歴史書を傍らに今後の展開を楽しむのもいい。
 

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