「どっこいしょ」で始まり、「よっこらしょ」で再起動する

 「どっこいしょ」で始まり、「よっこらしょ」で再起動する。“老い”は追い風の〈追い〉、そして美味(おい)しいの〈美味〉と読み替えたい▼思い返せば20年前、赤瀬川原平さんが『老人力』を書いたのは今の「人生100年時代」を先取りしたのかもしれぬ。物忘れ、足腰の衰え、同じことを何度も繰り返す。加齢に伴う自然現象を「おれも老人力がだいぶんついてきたな」と肯定的に捉え楽しむ。冒頭の掛け声は自分への励ましとも言えよう▼それにしても〈もうろく〉と読む〈耄碌〉の難解な字を見て、その偏見性に驚く。老いは役立たずになることを示す。同義語に〈焼きが回る〉。刀に火を入れ過ぎ切れ味が鈍ることを表す。切れ味がどうであろうと、刀は刀。何らかの役に立つではないかなどと老いを巡る妄想が頭の中を回る▼そんな時に“高齢賢人”の最新刊を手に取った。『知の旅は終わらない』立花隆、『叛逆老人は死なず』を著した鎌田慧の2人である。数々の権力追及ルポなどを手掛けたジャーナリストの大先輩で知的好奇心がいまだ健在なのが頼もしい。長い取材活動を通じ、共通の思いは自分らしく生きる▼きょう金子兜太(とうた)三回忌。享年98。生涯現役俳人で、〈老人力〉も武器にして「人生100年時代」を生き切った。
 

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