新型コロナ感染拡大 直売・観光に打撃

丁寧な栽培で関東一円から客が訪れる磯山観光いちご園。磯山さんは「平日の客足が心配だ」と懸念する(20日、千葉県東庄町で)

 新型コロナウイルスの感染拡大で、食や農業への波紋が広がり、深刻化しつつある。インバウンド(訪日外国人)の減少に加え、国内ではイベントの開催中止が相次ぐなど日本人が外出を控える動きが続出している。直売所や観光農園、外食産業など多方面の経営に影響が及んでいる。
 

予約取りやめ 来客5割減も


 全国有数の売上高を誇る直売所、和歌山県紀の川市のJA紀の里めっけもん広場。直近の客数は昨年より3割程度少ないという。年間28億円近くを売り上げてきたが、今年度は大きく減る見通しだ。同県内で感染者が発覚したことの余波が大きく、大阪からの来客が減っていることが主因という。山田秀樹店長は「暖冬で野菜相場が厳しい中、コロナウイルスが追い打ちをかけた。非常に深刻だ」と嘆く。

 東京・銀座の和牛の焼肉店は「予約が入らない。仕入れ量は今後減らさざるを得ない」と見通す。観光農園や体験施設も直撃する。例年、タイや香港などからのインバウンドを受け入れる福岡県筑紫野市の、ある観光農園では2月前半の客数が昨年の半分になった。

 イチゴの里としてPRする千葉県東庄町。1・1ヘクタールで栽培する「磯山観光いちご園」では2月に入り、日本人の団体4組、約500人からコロナウイルスの感染予防としてキャンセルの申し出があった。同園は団体より個人客を重視しており、現時点で経営に影響はないが、代表の磯山康文さん(43)は、書き入れ時の3月の客足を心配する。昨年の台風渦を乗り越え、仕上がりは上々なだけに「これでお客さまが来なければ悲しい。春休みが怖い」と険しい表情を見せる。

 日本政府観光局によると、1月のインバウンド数は前年同月比1・1%減。中国政府は1月27日から海外への団体旅行と一部の個人旅行を禁じたため1月の数字に影響はないが、2月以降は激減が必至だ。中国以外の国でも海外旅行自粛の動きがあり、同局は今後のインバウンド数を「大きく減るだろう」と見通す。

 農水省が中国人宿泊者を受け入れた実績のある71地域に聞き取り調査したところ、宿泊では23地域で1900人がキャンセルし、被害総額は1800万円。同省は「食事や体験など宿泊以外への影響も少なくない」(都市農村交流課)とする。

 インバウンドの行動分析をする北海道科学大学の石田眞二教授は「冬場はスキー場など一部の地域に長期滞在する傾向があるが、夏に向けて移動距離や範囲が広がる」と指摘。今後も騒動が終息しなければ「経済的な影響を受ける地域が増える恐れがある」とみる。

 日本国内でも食の催しや農家らが集まるイベント・交流会の中止、外出控え、旅行自粛で農産物の販売促進活動など多方面に波紋が広がる。大分県宇佐市の安心院町グリーンツーリズム研究会は「学校からの問い合わせが多い。修学旅行生ら日本国内の外出控えの影響が心配」と不安を抱える。
 

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