[未来人材] 22歳。住宅地のブドウ園、観光イチゴ園に転換 地の利活用 交流の場 中村海さん 福岡市

観光農園の傍ら、一部残すブドウの園地で作業をする中村さん(福岡市で)

 福岡市の閑静な住宅街に、突如としてブドウ園地が現れる。中村海さん(22)はこの農園でブドウ「巨峰」などを育てる農家の3代目だ。家族でこだわりのブドウ作りを続けてきたが、一部は樹体や施設が老朽化してきた。そこで全4アールのうち約3アールのブドウ園を解体。来年からイチゴの観光農園を始める決断をした。新たな夢に向かって準備の真っ最中だ。

 小学生の頃から遊び場はブドウ園だった。祖父母と両親が作業する背中を見て育ち、高校生になると休日は学校の友人も連れて手伝った。高校卒業後は企業への就職も考えたが、「勤め人ではなく、自分のペースで自然と触れる仕事がしたい」と就農を決意。農業大学校へ進学し、果樹栽培を中心に基礎を学んだ。

 就農した20歳の時に、転機が訪れた。ブドウ園地で樹体やパイプハウスの劣化が目立つようになった。祖父母は高齢になり作業の手が回らない。ハウスを建て直すか、別の品目に転換するか。決断を迫られた。

 脳裏をよぎったのは子どもの頃の記憶だ。ブドウは主に自宅やJA直売所で販売するが、直売所がなかった時、豊作の年には園地を開放して一般客向けのブドウ狩りをしていた。「農業をしながら、人と関わる仕事がしたい」との思いが強くなった。収益性の高さや集客を考え、目を付けたのがイチゴだ。

 住宅地で夜間の電照ができないため、電照がなくても生育が安定し耐病性に優れた品種「かおり野」を導入する。5棟のハウスを構えて高設栽培し、来年1月には運用を始める計画だ。「周辺には競合園も少ない。都心に近い地の利を生かし、観光客を集められる」と意気込む。

 観光農園の傍らで、ブドウの園地も一部残し、「巨峰」の他、客からの要望が強い「シャインマスカット」も導入。次作での収穫を目指す。

 22日に結婚した。高校時代から農繁期の手伝いに来ていた妻は、3月から就農し、家族で農業を営むことになる。

 中村さんは「自分のペースで、メリハリをつけて仕事ができる。やった分だけ成果が出るのが面白い」と目を輝かせる。(三宅映未)
 

おすすめ記事

若者力の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは