業種超え事故ゼロ 農水省初の有識者会議 食品産業と対策共有

 農林水産業と食品産業での死傷事故を減らすため農水省は2020年度から、業種を超えた安全対策に乗り出す。各業種の事故例の収集・分析や、対策を共有する有識者会議を設置し、25日に初会合を同省で開いた。今後、同会議で個人経営での対策推進、スマート技術活用、メリットの見える化などを論点に20年度中に提言をまとめ、対策を強化していく。

 同省が業種を超えて作業安全対策で話し合う場を設けたのは初めて。安全を最優先に位置付ける現場の機運を高めることが狙い。農林水産業、食品産業の事故率は、一般的に事故が多いとされる建設業よりも高いという危機感が背景にある。

 どの業種も機械作業中の事故が多く、労働安全の専門家は「各業種で、主要な機種の労働災害の典型的な事例を整理して、現場に危険な点を伝えてはどうか」と提言した。

 農機の作業安全に詳しい農研機構の研究者は、死亡事故の統計はあるが、傷害事故の実数が把握できていない現状を問題として指摘した。

 会議には、各業種の生産者、研究者、業界団体の代表が集結し、実践している対策を紹介。鹿児島県の大吉農園の大吉枝美委員は、アジア版農業生産工程管理(ASIAGAP)の取得を機に「パート労働者が作業でけがをしないルール作りができた」と労災加入が必須のGAPの推進と併せた安全対策の普及を提案した。

 食品メーカーの味の素は、工場で使う機械での巻き込み事故の怖さを体感する教育を紹介。労災保険の加入義務のない個人経営の対策推進が課題で、同省からJAの対策に期待する意見もあった。

 同省は、分野横断の新たな運動を始めることを内外に表明するキックオフとして、3月17日に東京都内でシンポジウムを開き、安全対策の方向性を議論する。
 

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