麦・大豆の大増産 産地ぐるみ強力支援を

 麦・大豆の生産拡大に向け、農水省が本腰を入れる。新たな食料・農業・農村基本計画では生産努力目標を大幅に引き上げる。水田農業の安定は転作の進展にかかっている。意欲的な増産目標を評価したい。実現には産地への強力な支援が必要だ。

 農水省の審議会が答申した新基本計画では、2030年度の生産努力目標を、小麦、大麦・裸麦は合わせて131万トン、大豆は34万トンとした。18年度実績と比べ、それぞれ4割増、6割増という大幅な増産になる。目標の実現へ麦・大豆増産プロジェクトを立ち上げる。

 増産方針を後押しするのは、国産への需要の高まりだ。小麦は優良品種の普及が進み、食パンや中華麺などでも国産原料を使った商品開発が広がっている。大豆も国産を表示する商品の売り上げが増える傾向にあり、同省が実需者に行ったアンケートでは、国産大豆の需要は17年から23年の間に12%の伸びが期待できるという。

 ただ、増産は簡単なことではない。13年の米政策改革論議では、転作の柱になる作物として飼料用米に光を当てた。背景にあったのは、麦・大豆は排水条件などの制約を受けるため、大幅増には限界感があるとの認識だった。当時、自民党農業基本政策検討プロジェクトチーム座長として党内論議をリードした宮腰光寛氏は日本農業新聞に「(主食用米と転作作物の面積が)逆転するのは長期的に見れば明らか」と述べ、非主食米による転作を加える必要性を強調した。

 実際に、主食用米の作付面積はこの10年間、需要減に対応して159万ヘクタールから138万ヘクタールに減少している。一方で大豆の作付面積は11万~12万ヘクタールで推移。麦も17万ヘクタールから増えていない。増えたのは、加工用米(19年4・7万ヘクタール)、飼料用米(同7・3万ヘクタール)など非主食用米だ。だが、期待された飼料用米の伸びは鈍化し、18、19年は減少した。

 飼料用米は今後も増産を目指し、野菜・果樹など高収益作物による転作も視野に入れる。そして麦・大豆を改めて強力に推進する──というのが基本計画が示す水田農業の展開方向だ。一度は“限界感”があるとした麦・大豆をどう増やすのか、課題は多い。実需の期待に応えるには、品質の安定も欠かせない。同省は麦・大豆増産プロジェクトで、基盤整備による水田の汎用(はんよう)化、排水対策の強化と併せて、作付けの連担化・団地化などを進めるとしている。

 これらの取り組みには地域での話し合いが欠かせない。いま一度、集落ごとに営農ビジョンを描く取り組みを全国で盛り上げていくことが重要になるだろう。「団地加算」をはじめ、話し合いの呼び水となり、地域ぐるみの取り組みを促す助成を国段階で仕組む。そういった踏み込んだ支援を求めたい。各地域の農業再生協議会をより活性化させることになり、米政策の安定運営にもつながるはずだ。
 

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