ブドウじゃないワイン続々 特産PRに生かす 甘口、飲みやすさ…女性に好評

ワイン売り場に並ぶイチジクワイン(奈良県大和郡山市のイオンモール大和郡山で)

 イチジクなど、ブドウ以外の果実を原料とした「フルーツワイン」の商品化に全国のJAが力を入れている。甘口で飲みやすく、透明感のある鮮やかな色合いが、女性や若者を中心に支持を集める。ワインに加工して“おしゃれ”を演出することで、地元農産物のブランドイメージの向上につなげたい考えもある。産地が醸す“ワインの潮流”を追った。(北坂公紀、丸草慶人) 
 

イチジク 香り程よく JAならけん


 奈良県のJAならけんが同県大和郡山市などと連携して商品化したのは、市特産のイチジクで造ったワインだ。今年2月の発売から1カ月ほどで在庫がほぼなくなるなど、想定を上回る売れ行きとなっている。

 発売初年となる今年は、同市産イチジクを約1トン使って、約1800本(1本720ミリリットル)のワインを製造。市内の大手量販店や東京都内の県アンテナショップ、JA直売所などで販売している。市は「現状、製造する醸造所の在庫がほぼ底を突き、想定を超える売れ行きだ」と話す。

 商品名は「無花果(いちじく)の一滴」(希望小売価格は1496円)。イチジクの香りが程よく感じられ、さっぱりとした甘味が特徴だ。JAと市、市商工会などでつくる協議会が、地元農産物の6次産業化を目指し、商品開発を企画した。

 奈良県は全国7位のイチジク産地で、同市は県内生産量の9割を占める。現在、市内の栽培面積は23ヘクタールで、年間約450トンを生産している。

 JAは「イチジクワインは見た目がおしゃれで、女性や若者から好評。特産のイチジクのPRにもつなげたい」と話す。

 
商品開発に6年かかったブラッドオレンジのワイン(JAえひめ南提供)
 
 

ブラッドオレンジ 発酵で工夫 JAえひめ南


 愛媛県のJAえひめ南は、管内が生産量日本一を誇るブラッドオレンジを使ったワインを販売している。JAによると、ブラッドオレンジを使ったワインの開発は世界初。特殊な製法で濃縮した果汁を100%使う。果実の特徴を生かした高級感ある香りと濃い赤色が特徴で、若者や女性から人気を集めている。

 商品はアルコール分5%と低めに設定し、1本300ミリリットル(2500円)と飲み切りサイズ。宇和島市の道の駅やインターネット、東京都内の県アンテナショップなどを通じて、昨年12月の発売から約1900本を販売した。

 ブラッドオレンジは、ワイン用ブドウに比べて糖度が低く、発酵が進みにくいのが特徴。濃縮果汁の開発や、かんきつに適した酵母を探し、商品化までに6年かかった。香りの良さを残すため、熱を加えない特殊な濃縮技術を持つ湘南香料(東京都中野区)が発酵ベースを開発。酵母は秋田県総合食品研究センターのオリジナル酵母を選んだ。

 JAは「ブラッドオレンジの知名度が広がって、販売の底上げにつながってほしい」と強調する。

 
JAののいちのキウイフルーツワイン(同JA提供)
 
 

キウイフルーツ 品ぞろえ増 石川・JAののいち


 キウイフルーツを使ったワインを販売するのは、石川県のJAののいちだ。管内産キウイフルーツの果汁100%で造った既存商品に加え、昨年3月には、キウイフルーツと国産ブドウを4対1の比率で混ぜた原料で造った新商品を発売。商品ラインアップを拡充し、販売を強化している。

 既存のキウイ100%の商品は「キウイキウイワイン」、新商品は「キウイグレープワイン」として販売する。希望小売価格はいずれも720ミリリットル入り1650円で、今年は720ミリリットル換算で各900本ほど販売する。

 キウイフルーツ由来の酸味ですっきりした味わいの既存商品に対し、新商品はブドウを原料に取り入れることで、甘味がより強くなったのが特徴だ。JAは「ワインに加工することで、年間を通じて地域の特産品をPRできる。品ぞろえを増やし、販売を強化したい」と意気込む。商品は管内のAコープや県内の大手量販店で販売する。

 
果実酒の国内生産量の推移
 
 

生産9.6万キロリットル 10年で4割増 国税庁調べ


 国税庁によると、フルーツワインを含む果実酒の生産量は近年、増加傾向にある。データがある直近の2018年度の国内生産量は9万6000キロリットルで、10年前から4割伸びている。同庁は「近年、ワインの醸造所数が増えており、多様なワインに挑戦する事業者が増えている」(酒税課)とする。
 

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