[新型コロナ] 緊急事態宣言で産地 ガイドライン励行 安定供給へ懸命

集荷場は人員抑えて継続 生産者は消毒、換気を徹底


 新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が発令される中、農畜産物の安定供給に向け、生産者やJAが対応を進めている。生産現場では施設換気や消毒液の使用など予防策を徹底する他、JAの集出荷施設では感染者が出た場合でも農畜産物を滞りなく出荷する体制を整えている。

 農水省は、新型コロナ発生時の生産者や食品事業者の対応をまとめたガイドラインを策定。現場の多くでガイドラインなどを参考に消毒用資材や作業員の確保、発生時に地域の関係者が連携する体制構築が進む。

 緊急事態宣言の対象となった福岡県。同県のJAみいは、園芸流通センターなど集荷出荷施設で防疫体制を強めている。13日からは集出荷施設の勤務体制を変え、安定供給体制を強化する。

 センターでは外注職員3人を含め12人が1班体制で勤務する。13日からは外注職員を除き限られた人員9人を2班に分け、1班が2日交代での出勤に変える。農家の協力を得て集荷時間も短縮、午前6時半から午後6時を午前8時半から午後5時半に見直す。人員を最小限に抑えて分散し感染リスクを防ぎ、感染者が出た場合でも円滑に集出荷作業ができるようにする。

 JAは職員の他、生産者や配送業者にも手の消毒など協力を求める。JA営農部は「職員と生産者が一体で感染者を出さない体制をつくり、出荷を続ける」と話す。

 キュウリや春ブロッコリーの出荷が今後増える埼玉県のJAふかや管内。JA営農販売課は「選果場の従業員の健康管理を徹底して、出荷が滞らないように安定供給に何とか努めていきたい」と話す。

 キュウリ選果場の従業員は約100人。検温や消毒、うがいなどをして安全を確保する。感染者が出た場合は、速やかに施設を閉鎖し消毒。農家が箱詰めして出荷する体制に変更して、安定供給につなげていく。
 
感染の予防策として、パーラー室の窓を開ける千葉さん(北海道鶴居村で)
 
 酪農地帯でも対応が進む。北海道のJAくしろ丹頂は組合員に感染者が出た場合、対策本部を設置する。JAとして次亜塩素酸水など消毒資材の備蓄も確認し、施設などの消毒はJA職員らでつくる自衛防疫組合などが行う。農家の代替要員は酪農ヘルパー組合を活用する方針だ。JA浜中町やJAしべちゃでも発生に備え対応している。

 感染を知らないと対応が難しいため、組合員に報告を求める通知を出したJAも多い。北海道は「話し合いをし支援体制の確立が進む」(農政部)と話す一方、進め方が分からない地域もあり先行事例を共有する。

 対策は進むが労働力不足は深刻だ。「ただでさえ人不足。発生時に人員を確保できるのか」(産地関係者)と不安の声はある。JAグループ北海道は感染発生時にヘルパー組合から人手確保する際の負担軽減策などを国に求めている。

 生産者の意識も高まっている。鶴居村で乳牛100頭を飼育する千葉康次郎さん(32)は、両親やパート従業員1人と経営する。フリーバーン牛舎のパーラー室で1日2回、計2時間ほど3人が搾乳する作業に気を配る。数頭を同時に搾乳し、密閉空間にならないようにしている。
 

東京市場 入荷は順調


 緊急事態宣言の発令後、初の青果物取引となった休市明けの9日、東京都中央卸売市場の取引に支障はなく、安定入荷した。全9市場の卸売数量は8540トンと同じく休市明けの2日と比べ7%増。卸売会社は、産地や消費者が安心できるよう安定供給の継続に万全を期す。

 全9市場の卸売数量は野菜が6990トン、果実が1550トン。それぞれ2日より10%、1%増えた。ニンジンやネギが大きく増えナスやトマトなど果菜類も安定入荷。卸売会社は「家庭消費の増加で相場を上げた品目もあるが、全般的に生育は順調で出回りは潤沢」と話す。

 卸売会社や全農県本部など市場関係者は、在宅勤務者を増やして対応。卸売会社は「早朝のせりで現場に出る人員は維持し、滞りのない取引に努める」と強調する。

 感染者が出た場合でも業務継続できるよう行動パターンを事業者同士で共有するなど市場機能を維持する。

 東京・大田市場は「安定供給に向け市場機能は止めない。産地は安心感を持ってほしい」(業務課)と話す。
 

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