[未来人材] 38歳。酪農・チーズの二本柱 近隣農家と食育も 自然の恵みから食を 北海道せたな町 村上健吾さん

放牧する牛の様子を確認する村上さん(北海道せたな町で)

 北海道せたな町の酪農家・村上健吾さん(38)は、チーズ作りに励む担い手だ。牧場で放牧し、自家牧草で育てる持続的な酪農経営を目指す。ブラウンスイス種やジャージー種の生乳を使ったチーズは、ファンをとりこにしている。近隣農家と行う食育など、多彩な活動は映画のモデルにもなった。

 実家も酪農家。大学進学を機に札幌市に出たが、都会は合わず酪農を継いだ。6次産業化などの道を探ろうと、道内観光牧場などで約5年学んだ。

 2006年に実家に戻り、観光牧場で学んだノウハウを生かしてチーズ工房の立ち上げを決めた。チーズ作りを学び、08年、日本海を望む高台にある牧場にチーズ工房を開店した。店名は、アイヌ語で「海風」を意味する「レプレラ」。若者の挑戦を応援しようと、地元住民が訪れた。

 モッツァレラチーズやハード系チーズの2種を柱に商品を広げ、地元の店舗や道内のアンテナショップ、個人配送で売り上げも増えた。現在は牧場全体の売り上げの4分の1~3分の1を占める。牛の体調で生乳の品質が変わるなど、完全に満足のいくチーズができたことはほとんどないといい、研さんの日々だ。

 村上さんは「酪農あってのチーズ工房」とし、両親や妻と共に搾乳など酪農の作業は続け、チーズ作りと両立させる。

 チーズ用の乳は、牧場で飼う約60頭の乳牛の3分の1を占めるブラウンスイス種やジャージー種から搾る。潮風に当たりミネラルを多く含んだ牧草を食べると、ミルクの風味が変わるという。

 村上さんは「都会になじめなかった私の役割は、自然の恵みで食べ物を作ること。あるがままで生産を持続できることが一番の喜び」と話す。

 09年に参加した、地元農家ら5人でつくる「やまの会」の活動も大切にする。小学生を農場などに案内して学んでもらう食育活動や、シェフを呼んで「一日レストラン」を企画したりする。取り組みが注目され、19年には、村上さんらをモデルにした映画「そらのレストラン」が公開された。

 村上さんは「10年間やってきて対外的な活動は成熟した。やり切った」と話す。今後は、チーズ生産の効率化や安定化、肉牛の生産にも力を入れる考えだ。
 

農のひととき


 せたな町は、海の幸と山の幸の両方に恵まれている。イカやエビなどがおいしく、知人の漁師が取れたものを持ってきてくれる。「やまの会」メンバーの作るトマトも生産者の顔が見え、旬が来るとうれしい。道南地方の温暖な気候も気に入っていて、「地元に戻ってきてよかった」と振り返る。両親や妻、子ども2人と暮らす。

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