全中会長再任へ 国消国産運動 旗振りを

 JA全中の次期会長に中家徹氏の再任が内定した。新型コロナウイルス禍で、食料自給率の向上は国民的課題であるとの認識が浸透。同氏が提唱する“国消国産”を国民運動として展開する好機だ。JAグループのナショナルセンターの指導者として、旗を大きく振ってほしい。

 農水省の審議会の一員として中家氏は、食料・農業・農村基本計画の策定に関与。JAグループの提案が盛り込まれたことを評価し、具体化と実践が大切だと訴える。食料安全保障の確立には生産基盤の強化と中小・家族農家への支援が必要なことや地域政策の重視、国民理解の重要性などだ。会長選の所信説明では、コロナ禍は過度な国際化や自由化、一極集中を見直す契機と指摘。国民が消費する生活に必要なものは国内で生産する国消国産と、地方分散型社会への気運が高まったとして、国民運動につなげる方針を示した。

 基本計画は、国産農産物を消費者が積極的に選ぶ状況を創り出す国民運動を、官民協働で展開するとした。一方、食料輸入の不安定さやマスクなどの不足を経験し国民は、命と暮らしを支え、守るのに必要な「基礎的物資」の「国産回帰」の重要性を認識した。疫病の感染防止の観点からも「田園回帰」への関心が高まった。国産農産物の愛用運動が、経済社会の価値基準を市場原理から命と暮らしに転換させる“世直し運動”に発展する──。そうした可能性を、中家氏の所信に感じた。

 農産物の国消国産には三つの持続可能性の向上が不可欠だ。地域農業と、その土台である農村、両者を支えるJA経営である。いずれも厳しい。組合員との対話を通してJAは情報と認識を共有し、ニーズや思いをくみ上げ協働で対応する。それを連合会が一体で支援する。またJAグループを挙げて政策提言の策定と具体化に取り組む。ナショナルセンター・全中には、一層の機能発揮が求められる。

 国民運動には他の組織・団体との連携、特に「協同組合間の協同」が重要だ。協同組合の目的は「経済的・社会的・文化的に共通して必要とするものや強い願いを充たすこと」。国産・田園回帰はそれにかなう。国際協同組合デーで日本協同組合連携機構(JCA)は「アイデンティティー」をテーマの一つとした。協同組合らしい事業・活動でどう実現するか問われる。

 准組合員の利用規制の在り方が来春、検討時期を迎える。「組合員の判断」との考えを与党が公約に掲げるなど、JAグループは規制回避へ布石を打ってきた。協同組合の自主・自立性を無視した農協改革は終息させなければならない。協同組合の価値と役割について国民理解の拡大が大切だ。JCA会長でもある中家氏は、国際協同組合デーの集会で「アイデンティティーは日々の実践の積み重ねを通じてこそ受け継がれ、発展し、広がる」と訴えた。組合間協同の旗振り役にも期待したい。

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