[新型コロナ] 二番茶諦め 苦渋の決断 相場低迷…コロナ追い打ち 静岡

今年の二番茶で紅茶向けの生葉を収穫した杉山さん(静岡市で)

 荒茶生産量が全国一の静岡県を中心に主産地で二番茶の生産をやめる生産者が出ている。長期的な茶相場の低迷に加え、今年はコロナ禍と新茶シーズンが重なり、茶産地は大きな打撃を受けた。生産量の減少が続く中、産地は生産基盤の維持に向け、紅茶生産や実需とのマッチングに取り組み、需要回復を模索している。(木村薫)

 今年、産地は苦渋の決断を迫られた。静岡市清水区の茂畑共同製茶組合は、1962年に設立して以来、初めて二番茶の生産をやめることを決めた。組合長を務める杉山一弥さん(44)は「年々相場は安くなり、出荷しても採算割れをする。加えて今年はコロナ禍で問屋からの引き合いも減り、仕方がなかった」と理由を説明する。最も取引量のある茶問屋でさえ、一番茶の時点で例年の半分以下に落ち込んだ。

 茶相場は低迷が続き、二番茶の価格についても前年割れを見込む。加えて今年はコロナ禍で新茶初取引のセレモニーや呈茶イベントが各地で中止となり、「盛り上がりに欠け、売り込む時期がほとんどなかった」(県内の茶商)。JA静岡経済連によると、需要の縮小を見越し一番茶の生産量は1万トンの大台を割る見通し。二番茶も前年の約7600トンから2割減と見込む。

 一番茶の情勢を受け、経済連は5月中旬時点で二番茶の生産について「販売先が決まっていない状態での生産は前年以上にリスクが高い」と例年以上に強く生産抑制を呼び掛けた。加えて来年産の一番茶の品質向上のため茶樹を切り込み樹勢を回復させる更新処理も促した。県茶業会議所も「個々の農家の判断で生産をやめたり、出荷しないことはあった」と話す。

 九州の主産地でも静岡県と同様の動きが目立つ。佐賀県嬉野市では二番茶の段階で10アール当たり1万円を補助し、生産調整を促した。鹿児島県の南九州市では三番茶で更新処理を呼び掛けた。
 

紅茶、「香り緑茶」に活路 産地は巻き返し模索


 産地では茶の生産基盤の維持へ、加工方法や需要開拓に向けた売れる茶生産へ試行錯誤をする。

 静岡県のJAしみずは紅茶生産に活路を見いだす。JAは2013年ごろから二番茶を使った紅茶の生産を本格的に始めた。現在では二番茶の1キロ平均単価が1000円を下回る相場が多くみられる中、JAではこれまで通り紅茶向けの荒茶を1キロ当たり1200~1300円で買い取り続けている。JA営農振興センターの森真一センター長は「10年以上前から茶の価格下落は予想されていた。国産紅茶で付加価値を付け、安定した価格の取引で茶産地の振興を目指した」と経緯を話す。当初はJAが販売する分だけで約4トンの生産量だったが、今年はコロナ禍の中でも9トンを見込む。

 静岡県牧之原市の勝間田開拓茶農協は県が開発した「香り緑茶」の生産に力を入れている。煎茶の製造では行わない「萎凋(いちょう)」の工程を加えることで、香りを引き出す。県は普通煎茶、深蒸し煎茶に次いで「第三の煎茶」と位置付ける。

 同農協は17年に二番茶で試験的に製造を始め、昨年は800キロ生産し、今年は850キロを予定する。広報担当の白松孝之さんは「まだ認知度が低く取引量は少ないが、香りで楽しむ煎茶として、お茶を飲む習慣がない層などの需要を開拓したい」と話す。取引がある茶商からの注文は昨年を上回る。
 

他業種と販路開拓 県が新事業


 静岡県は販路を新たな模索している。県は今年度、県単独の新規事業として「ChaOI(チャオイ)プロジェクト推進事業」を立ち上げ、1億7500万円を充てた。幅広い業者が連携し、静岡茶の新たな価値を創造する狙い。県お茶振興課の小林栄人課長は「生産支援に加え、販売方法など出口戦略の支援にも力を入れ、茶業振興を進めたい」と話す。同プロジェクトの推進組織には現時点で290個人・組織が登録。東京都や京都府などから参加し、さまざまな業種を巻き込んで茶消費を盛り上げる。
 

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