[あんぐる] 美味の証明 防蛾灯輝く梨園(石川県加賀市)

防蛾灯が輝く奥谷梨生産組合の梨園。中央には共同選果場が建つ(石川県加賀市で)

 「加賀梨」の産地として知られる石川県加賀市奥谷町。夜更けに市の中心部から車で20分ほど走り林道を抜けると、黄色い光に包まれる。特産の梨を害虫から守る「防蛾(ぼうが)灯」の光だ。面積32ヘクタールの梨園には、約1500本の防蛾灯が等間隔に並び、地域では、“奥谷100万ドルの夜景”と呼ばれている。

 防蛾灯を設置するのはJA加賀の組合員25戸でつくる「奥谷梨生産組合」。県内最大の園地面積を誇る。

 防蛾灯は、ガが嫌う波長の光を放ち、梨に寄せ付けにくくする機器だ。碁盤の目のように整備された園内全体に設置し、夏場は、午後6時から午前6時までの12時間にわたって点灯する。

 

梨の生育具合を確かめるベテラン農家の上坂さん
 農家の上坂武志さん(79)は「防蛾灯があることで、重労働の袋掛けをせずに育てられる。無袋栽培なので太陽の光をしっかりと浴びて甘く仕上がる」と利点を話す。

 防蛾灯は出荷が始まる10日ほど前から、収穫が終わる10月上旬まで点灯する。今年は7月31日に早生の「愛甘水」から出荷がスタートした。8月上旬に「幸水」、9月上旬から「豊水」「あきづき」などに切り替わり、関西の市場を中心に出荷する。

 地域で梨栽培が本格的に始まったのは1977年。地元農家らが、松林を切り開き植樹を始めた。防蛾灯は、収量が安定してきた84年ごろから、広大な園地を少ない労力で管理するために導入した。

 農家の高齢化が進む現在、組合は就農希望者を積極的に受け入れ、後継者育成に取り組む。希望者には本格的な就農の前にベテラン農家の園地で研修を実施。栽培技術を身に付けやすい環境を整えたことなどで、直近5年間で計6人が就農した。

 組合長の岩山則生さん(60)は「後継者を育て、この景色をいつまでも守っていきたい」と話す。(富永健太郎)

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