准組合員制度 5年後見直し 今日的意義 再認識を 元農水省官房長 荒川隆氏

 農協改革の5年後見直しの期限が近づく中、最後の課題である准組合員制度に関する議論が再開された。どんな結論になるのか、農協法の改正を俎上(そじょう)に載せるのか、関係者は固唾(かたず)をのんで見守っている。

 2015年農協法改正付則で、准組合員の在り方について、5年後見直しの時期までに事業の利用状況や農協改革の実施状況の調査・検討を行い結論を得る、とされた時には、この制度の将来に暗雲が垂れ込めた。その後の政治情勢や農水省の姿勢の変化もあり、また、農協系統が努力を重ねてきた「自己改革」の進展もあり、状況は少しずつ好転しているようだ。一昨年の参院議員選挙での与党公約では、組合員の判断に基づく、とされ、昨夏の規制改革実施計画では、准組合員の意思を経営に反映させる方策について検討を行い必要に応じて措置を講ずる旨、閣議決定もされた。油断は禁物だが、ようやく准組合員制度の重要性が認識されてきたようだ。

 そもそも、農協法に他の職能組合制度にない准組合員制度が存在するのはなぜか。農業がその存立基盤である農地と密接不可分であり、職能組合として農業者の経営発展を支えるためにも、その農地が存在する地域との共存・協調が求められることが大きな理由だろう。現実に、農協の機能・サービスを正組合員だけに限定するよりも、地域住民と共有する方が、社会的便益も向上するし農協経営上も正組合員の暮らしや営農にとっても望ましい。

 農村の高齢化・過疎化が進展する中で、買い物やガソリンスタンド、金融・保険などの顧客サービスが営利企業だけでは維持できない事態が各地で散見される。これらの企業が農村から撤退する中で、自治体や第三セクターなどへの依存が高まれば、地域活性化の観点からも公的部門の肥大化の観点からも問題である。むしろ、地域住民を准組合員として組織内に取り込む農協が、行政と連携してこれらのサービスを提供するとともに行政代行的な地域政策をも一体的に提供することが、農村現場の実態にふさわしく時宜にかなったものである。

 農協に匹敵する組合員数を誇る土地改良区も長年正組合員だけで構成されてきたが、18年の法改正で准組合員制度が導入された。経済団体である農協の准組合員とは目的や対象者は異なるが、サークル内の農業者だけが結集し諸課題を解決することには限界がある中で、広く目を外の世界に転じて食料・農業・農村の価値を共有する多くの人々を組織に包摂し、安心・安定の食料生産確保と豊かで美しい農業・農村の実現を目指すという制度の趣旨は共通している。

 狭隘(きょうあい)な職能組合論にとらわれず、准組合員制度の今日的意義を再認識すべきだ。

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