コアオハナムグリ 発生把握して殺虫剤
2013年08月07日

かんきつの花に飛来するコアオハナムグリの成虫(山口県農林総合技術センター農業技術部柑きつ振興センター・東浦祥光氏提供)
特 徴
コアオハナムグリは、体長10~15ミリの小型のハナムグリだ。背面の体色は緑色で白い斑点がある。全国各地に広く分布して、さまざまな植物の花を訪れる。かんきつでも開花に合わせて飛来し、花を訪れた成虫が花粉や蜜を食べる際に、頭部を花の内部に潜り込ませ、脚で子房(果実になる部分)を傷つける。この時の傷が果実肥大後の果皮に線状の傷害痕として残り、外観上の被害となる。
中晩かん類で被害が発生しやすい。4月中・下旬に越冬後の成虫が出現して交尾産卵し、晩春から夏にかけて幼虫は土壌中の腐植を食べて成長し蛹化(ようか)する。8~10月には新成虫が羽化し、短い活動期間の後に越冬する。5月と9月に成虫の発生ピークが見られるが、前者は越冬成虫、後者は新成虫による。
防 除
成虫は、かんきつ園周囲の樹林地等から飛来するため、園内外の白い花を定期的に観察して発生状況を把握する。
防除では殺虫剤を散布する。少発生の時は温州ミカンでは開花初期に1回、中晩かんでは開花盛期に1回散布する。多発生の時は開花初期と盛期に2回散布する。かんきつの開花期にはミツバチも活動しているため、付近の養蜂に注意してミツバチに悪影響が生じないように配慮する。
(農研機構・果樹研究所カンキツ研究領域上席研究員・望月雅俊)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/8/7
おすすめ記事

福島のブランド 「伊達鶏」おにぎり 香港フェア初出展
福島県のブランド鶏「伊達鶏」の製造販売を手掛ける伊達物産(伊達市)は、農林中央金庫福島支店などの支援を受け、県が県産品の販路拡大を目指す物産展「ふくしまプライド。フェアin香港」に参加し、「肉ゴロッとおにぎり」を海外初出展した。香港のスーパーで7日まで販売する。……
2021年03月05日

育休復職の不安軽く ウェブで職員研修 業務・環境の変更説明 専門家と育児相談も JA横浜
JA横浜は、育児休暇中の女性職員を対象に「育ママComebackセミナー」を開いている。休暇中に変更された事務手続きの内容などを周知し、職場復帰を支援することが目的。これまで子ども同伴での集合研修だったが、今年度は新型コロナウイルス禍を受けてオンライン形式に変更。このほど34人が参加して、復帰に向けて必要な知識を深めた。……
2021年03月01日

和田秀樹さん(精神科医) 一番おいしい方法を探求
私の好きな食べ物は、エビとカニ。新型コロナ禍のため、今はよく弁当を買うんですけど、エビフライとかカニクリームコロッケが入ったものを選んでしまいます。最近はエビカツが好きになりました。
格別だったエビ
エビ好きに関しては、母親の兄のおかげです。伯父は特攻隊に行くはずで死を覚悟しましたが、結局、行かなかったそうです。戦後、精神的に不安定な時期もありましたが立ち直り、魚の卸売市場の親方に気に入られて、私が子どもの頃は店を任されていました。
伯父はよく私の母親に「持ってけ」といって、氷付けになっているエビを1箱くれたんですよ。クルマエビくらいの大きさでした。
当時は流通や冷凍技術の関係で、どんな魚を食べても生臭かったんです。でも伯父からもらったエビは臭みがなくおいしかった。
エビが本当に高い時代でしたからね。友達がうらやましがるのを横目に食べたんです。豊かさの象徴のように感じられました。
カニについては、父が京都府の丹後出身で、冬場に父の実家に帰ると大量のカニを食べました。
カニというと福井と鳥取が有名ですが、今、東京で最も高額で取引されているのは、生きたまま空輸される間人(たいざ)のカニ。丹後半島で捕れるものです。私は知らずに、雌とはいえ最高のブランドカニを食べていたわけです。
30代のはじめ、米国のカンザスに留学していました。向こうでもエビやカニはスーパーにあるので不自由はなかったんですが、唯一困ったのがカニクリームコロッケ。ずっと飢えていました。
学会出席のため、ニューヨークに行った時。日本の商社や銀行、日本食レストランが並んでいる一角に、居酒屋を見つけたんです、入ってみたら、メニューの中にカニクリームコロッケがあって。すごくおいしくいただきました。
食べ物については、もう一つ思い出があります。やはり米国でのことです。私は基本的に日本食派ですが、世界三大珍味の一つ、白トリュフは大好きなんです。
これをパスタや肉の上に削りかけると値段がグンと上がるわけですが、それほどの価値があるのか疑問に感じていました。
白トリュフの謎
15年くらい前、白トリュフの謎が解けたんです。精神分析の師匠を訪ねて米国に行った時、サンタモニカの高級イタリアンレストランに入ったんですよ。そこは冬場に、世界一高い白トリュフを出すというんです。
白トリュフのカルパッチョがあり、ものすごく高い値段でしたが観光気分で頼んでみました。
これは生まれてこの方、食べた料理で、一番おいしかったです。
何が違うかというと、肉の上から掛けるんではなく、肉を白トリュフの漬けにしたんです。白トリュフを絡めたオイルに、生肉を漬けた料理だったんですね。
一口食べて発見しました。「これは世界一高いかつお節だ」と。かつお節も、上から掛けるよりも、だしにして食材に味を染み込ませる方がうまいじゃないですか。それと同じことを白トリュフでやっていたわけです。
それで感じたのが、食材には一番おいしい食べ方があるということ。カニクリームコロッケにしても白トリュフ漬けにしても、最高においしく食べるための工夫なんです。こうした工夫のおかげでよりおいしく食べられれば、食材を作った方への感謝の気持ちも一段と強くなると思っています。(聞き手=菊地武顕)
わだ・ひでき 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒後、同付属病院精神神経科、老人科、神経内科で研修。現在は国際医療福祉大学赤坂心理学科教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長などを務める。心理学や受験指導に関する書籍を多数執筆。近著は『感情的にならない心の整理術』(プレジデントムック)。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年02月27日

[米のミライ](6)加工用米 産地と地元実需 協力 活用の裾野広げる 新潟、熊本県
「パンやカップ麺のように、手軽に食べてもらえる商品にしたい」。JA熊本経済連は、県産の加工用米を使った冷凍米飯を売り込む。ご飯を炊く手間から国内の精米消費量が落ち込む中でも、電子レンジで調理できる商品ならば、消費者の簡便ニーズに応えられると商機をみる。
2009年から冷凍米飯事業に乗り出し、現在の「熊本県産こだわり炒飯」は、焼き豚やニンジンなど県産品の利用にこだわった5種類を展開。……
2021年03月04日
コロナと食料安保 感染症リスクに備えよ
国際的な穀物需給に異変が生じている。中国の「爆買い」などで価格が上昇。新型コロナウイルス禍で生産・供給体制が不安定化していることも食料争奪に拍車を掛ける。人口増、気候変動に加え、感染症リスクに備え、わが国の食料安全保障政策を抜本的に強化すべきだ。
コロナ禍は、医療体制だけでなく食や農の分野にも深刻な影を落とし始めている。
新型コロナワクチンの世界的な争奪が過熱。先進国中心の供給で国連主導の公平な分配が機能せず、世界保健機関(WHO)は「ワクチン・ナショナリズム」に警鐘を鳴らす。
貧富の差が「命の格差」につながるように、食料もまた同様の危機に直面している。国連食糧農業機関(FAO)は、世界的な食料供給システムが新型コロナの脅威にさらされていると危機感を強める。新型コロナの流行前でさえ約6億9000万人もいた飢餓人口が、コロナ禍によってさらに1億3000万人も増えかねないと警告する。
事実、コロナ禍の中、一部の国は輸出規制に走り、感染拡大で生産・物流が滞る事態も起きた。グローバルなフードサプライチェーン(供給網)のもろさを突きつけた。生産基盤が弱体化し、海外への食料依存度の高い日本も無縁ではない。
資源・食糧問題研究所の柴田明夫代表も医療危機の次に食料危機が訪れるのではと危惧する。日本農業新聞の「論点」(3月1日付)で同氏はコロナがあぶり出した日本の医療の脆弱(ぜいじゃく)性を指摘し、同じことが食と農の分野でも起こりかねないと警告。国際穀物価格は年明け以降、一段と騰勢を強める。供給・在庫は潤沢にあるにもかかわらず異例の高騰を続ける背景には、中国の「爆買い」があるという。その中国は、コロナ禍や米中貿易摩擦を念頭に食料安全保障の強化を今年の最重要課題に掲げる。
ただでさえ、気候変動や人口増、生産基盤の劣化などの危機に直面している時、コロナ禍と食料ナショナリズムが結び付けば、国際的な食料リスクは一段と高まるだろう。
食料安全保障の要諦は、国内農業生産の強化を第一に、輸入、備蓄を組み合わせ、不測の事態でも国民が必要とする食料を安定的に届けることに尽きる。
農水省は1月、緊急事態食料安全保障指針の一部を改正し、新型コロナなど感染症リスクへの対応強化を盛り込んだ。また政府は、こうした新たな事態を踏まえ、6月までに食料安全保障施策の強化策を策定することにしており、同省は有識者による議論を始めた。
そこで大事なのは、危うい食と農の現状を包み隠さず情報提供し、各界各層を巻き込んだ国民的な議論の場を設けることだ。食料安全保障への関心が高まっている今こそ、1人1人が「自分ごと」として、農業と食卓、日本と世界の関係の在り方を考える好機にしたい。
日本農業新聞の購読はこちら>>
2021年03月05日
病害虫図鑑の新着記事

ホウレンソウ萎凋病 連作避けて土壌消毒
特 徴
ホウレンソウ萎凋(いちょう)病は、フザリウム・オキシスポラム分化型スピナシアエという糸状菌によって引き起こされる土壌伝染性の病害だ。病原菌はホウレンソウに強い病原性を示し、根から感染する。
病害はホウレンソウの生育初期から収穫期まで生育期全般で発生するが、高温時に発生しやすいため、一般に夏から初秋に被害が多く、低温期には少ない。感染すると下葉から黄化してしおれ、生育不良となり最終的には枯死する。しおれた株の根の先端部分や側根の付け根部分は、黒褐色に変色する。
防 除
耐病性品種の作付けを基本とするが、土壌中の病原菌密度が高い土壌では、耐病性品種であっても発病するので注意する。
連作で被害が大きくなる。雨よけ栽培など連作が前提の場合は、クロルピクリン薫蒸剤、土壌還元消毒、太陽熱消毒等による土壌消毒を実施する。収穫後の残根は次作の伝染源になるので、持ち出して処分する。
シロザやアカザなどの雑草は、病原菌を保菌している場合があるので、圃場周辺の除草に努める。本病は酸性土壌で発生しやすいので、土壌の水素イオン指数(ph)をホウレンソウ栽培に最適な6.5~7.0程度に矯正する。
(岩手県農業研究センター環境部病理昆虫研究室主任専門研究員・岩舘康哉)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/10/30
一覧ペー ジへ戻る
2013年10月30日

チャノホコリダニ 除草に努め早期発見
特 徴
チャノホコリダニの成虫の体長は雄で0.2ミリ内外、雌で0.25ミリ内外、体色は淡黄緑色である。日本全国に分布し、ナスやピーマン類の他、多くの野菜類、花き類などで発生が見られる。
発育は非常に早く、25~30度では卵から成虫になるまでの所要日数は5~7日、1雌当たりの産卵数は50個程度だ。露地栽培では8、9月に多いが、施設栽培では周年発生し、被害発生も露地栽培に比べて多い。成虫は新芽の伸長とともに、生長点や若葉に移動し、葉では裏面に多く寄生する。
ナスでは、寄生を受けると、葉は奇形となり、葉縁が裏側に巻き込み、葉裏は淡褐色に変色し、生長点は心止まり症状となる。果実では加害部がさめ肌状を呈し、灰褐色に変色する。
ピーマン類では、発生初期には展開直後の葉の周辺部がやや裏側に湾曲する症状を呈し、密度が高まると生長点が縮れて新葉の展開が抑えられ、心止まり症状となる。また、幼果が寄生を受けると褐変コルク化し、生育は止まる。
防 除
野外ではスベリヒユ、クローバーなどの雑草が発生源の一つと考えられるので、圃場周辺の除草に努める。圃場内では、最初に一部の株で発生し、管理作業などで拡大していく場合が多い。被害が見られた株の周辺では、外見上健全であっても既に寄生されていると考えた方がよい。
多発後の対策では樹勢回復に時間がかかることから、早期発見に努め、少発生のうちに有効な薬剤で防除を徹底する。
(高知県農業技術センター生産環境課チーフ=昆虫担当・下元満喜)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/10/16
一覧ペー ジへ戻る
2013年10月16日

イネごま葉枯病 土づくり中心に軽減
特 徴
イネごま葉枯病は、苗や本田期の葉、穂に発生する糸状菌病害だ。全国で発生が見られるが、問題となる地域は限られている。
本田発病が主体で、葉では暗褐色楕円(だえん)形斑点ができる。穂では穂軸や枝梗(しこう)などが、あめ色に変色する穂枯れ症状となり、最大で20%程度減収する。伝染源は保菌種子や前年の被害稲わら。夏期の高温は病原菌の増殖や稲体の消耗による抵抗力低下を促進して発病を助長する。
窒素やカリ、鉄、マンガン、ケイ酸などの欠乏により発病が増える。特に砂質浅耕土などの「秋落ち水田」では、これらの土壌養分が流亡しやすく、鉄不足により硫化水素の害が軽減されないため、養分吸収が妨げられる。
防 除
土壌条件や栽培管理と発病が密接に関連するため、土づくりを中心とした耕種的防除が重要となる。客土、堆肥施用などで土壌の保肥力を高め、土壌診断に基づいて鉄などの欠乏養分を補給する。また、深耕を進め、適切な中干しや水管理で硫化水素の発生を抑え、根の活力を維持する。常発地では耕種的防除と薬剤防除により被害を抑制する。
(新潟県農林水産部経営普及課農業革新支援担当・堀武志)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/10/9
一覧ペー ジへ戻る
2013年10月09日

ハクサイダニ 連作避けて除草管理
特 徴
ハクサイダニは、露地ハクサイで被害が多く見られていたが、近年は福島県内ではビニールハウスのシュンギクに被害が見られている。本種はムギダニ同様、ミドリハシリダニ科のダニだ。
加害植物は小松菜、ハクサイ、水菜などのアブラナ科の他にシュンギク、ホウレンソウなどだ。加害された作物の葉は銀白色を呈する。幼苗期に多数の寄生があると枯死してしまうこともある。
発生回数は年1、2回といわれている。福島県での無加温ビニールハウスでの成虫発生は、1回目が11月中旬から12月、2回目は1月下旬以降だ。2回目の成虫が産んだ卵は休眠卵であり、休眠卵は土壌中で夏を越す、いわゆる夏休みをする。
防 除
防除時期は成虫が発生する12月以降と考えられる。これまでの試験結果では、合成ピレスロイド剤など数種の薬剤で効果が認められているが、適用のある登録農薬はない。
対策には、前年に多発した圃場で連作を避ける。周辺雑草にも寄生するため、これらが発生源とならないように除草管理を実施することが重要だ。
(福島県農業総合センター生産環境部専門研究員・荒川昭弘)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/10/2
→ 一覧ページへ戻る
2013年10月02日

トマト褐色根腐病 連作避け根残さ除去
特 徴
トマト褐色根腐病は、病原糸状菌ピレノケータ・リコペルシシによって引き起こされる難防除の土壌病害。トマトだけに発生し、全国で確認されている。
根が褐変し、細い根は腐敗消失して太い根だけとなる。太根の褐変部位は松の根状にコルク化して表面に多数の亀裂を生じる。地上部では着果負担が掛かり始める時期に、しおれや黄化を呈するようになるが、維管束褐変は認められない。本州では病勢が進むと激しい萎凋(いちょう)症状、中段果房の着果不良など大きな被害となる。北海道では枯死に至ることはまれだが、果実が小玉化するなど収量に影響し被害となる。
根部の発病は低温期に進行し、特に生育前半が低温で経過する作型で被害が大きい。
防 除
トマトの連作を回避する。病原菌は被害根残さなどと共に土壌中で生存するため、作付け終了後に根部残さを除去する。
薬剤による土壌消毒の他、土壌還元消毒や太陽熱消毒が有効だ。本病に耐病性を持つ台木品種を利用した接ぎ木栽培を実施する。
北海道では定植10日前までに、ふすまを10アール当たり500キロ、発生程度の低い圃場は250キロ施用することで、定植後2カ月間の発病軽減効果が認められている。ただし、栽培終了時までの発病抑制効果は期待できず、他病害虫への影響は不明。土壌還元消毒直後の栽培には不可だ。
(北海道立総合研究機構花・野菜技術センター生産環境グループ研究主査・西脇由恵)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/9/18
一覧ペー ジへ戻る
2013年09月18日

ダイコンアブラムシ 葉の脱色目印に防除
特 徴
アブラナ科の野菜を加害するカメムシ目アブラムシ科の害虫で、日本全国に分布する。ダイコンアブラムシという和名だが、ダイコンよりはむしろキャベツやナタネなどで多い。
春先に繁殖が著しくなり、4、5月ごろに密度が最も高まる。夏季は、キャベツの苗などにわずかに見られる程度で、発生は少ない。秋季にはダイコン、キャベツ、ハクサイなどに見られるようになる。
体は暗黄緑色~濃緑色で、体全体が白粉で覆われている。成虫(羽のない胎生雌)の体長は2.2~2.5ミリだ。キャベツでは葉裏に群生し、葉が黄変し、結球が遅れ、小さくなる。ナタネでは花穂に群生し、花柄や、さやを吸汁加害し、子実の収量が減少する。ダイコン、ハクサイでは葉が縮れる。
防 除
薬剤では、播種(はしゅ)時、定植時に施用する粒剤や、生育期の散布剤などがある。キャベツなどで本種のコロニーが大きくなると葉が端から大きく巻いてしまうため、散布薬剤が直接かからず、浸透移行性のない薬剤の場合、効果が出にくくなる。キャベツでは、コロニーの小さな時期から葉の脱色が生じるので、こうした株を見つけたら防除のタイミングだ。
一方、苗床などでの物理的防除法としては、0.6ミリ目合い以下の防虫ネットが有効だ。この目合いの防虫ネットは、本種の他にも、アブラナ科野菜に発生するニセダイコンアブラムシ、モモアカアブラムシ、コナガやキスジノミハムシなどの対策にもなる。
(農研機構・中央農業総合研究センター病害虫研究領域主任研究員・長坂幸吉)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/9/11
一覧ペー ジへ戻る
2013年09月11日

カキ炭そ病 病斑や徒長枝を除去
特 徴
カキ炭そ病はコレトトリカム・グロエオスポリオイデスと呼ばれるかびの一種によって引き起こされる病気だ。この病気は、枝、果実に黒色の病斑をつくる。特に果実に発生した場合は、外観が大きく損なわれるために商品価値が失われるとともに、早期落果を引き起こす。
病原菌は枝の病斑などで越冬し5月以降、胞子によって新梢(しんしょう)への感染が始まる。新梢には黒色の病斑ができ、病斑上に形成された胞子が再び分散し感染を広げる。新梢の病斑は枝が硬くなるに従って楕円(だえん)形、黒色でややくぼんだ、火であぶられたような外観になる。
果実に感染すると収穫期が近づくにつれ、黒色、大型でややへこんだ病斑ができる。胞子は雨とともに分散するので、梅雨や秋の長雨、台風によって発生が助長される。
防 除
新梢にできた病斑が当年の果実に対する伝染源となるため、枝の管理に注意する。すなわち、徒長枝に病斑を見つけた場合にはすぐに除去するとともに、余分な徒長枝は感染を防ぐ目的で随時切除する。剪定(せんてい)時にも注意深く観察し枝にできた病斑の除去に努める。
薬剤は、ジチアノン剤、マンゼブ剤、有機銅剤、ストロビルリン剤、DMI剤など多くの殺菌剤が登録されている。薬剤散布は新梢が伸び始める5月中旬から開始する。果実に対しては8月下旬~9月が重点防除時期となる。
(農研機構・果樹研究所ブドウ・カキ研究領域上席研究員・須崎浩一)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/9/4
→ 一覧ページへ戻る
2013年09月04日

マメハンミョウ 耕うん、寄主植物除く
特 徴
マメハンミョウはコウチュウ目ツチハンミョウ科で、本州以南、中国、台湾に分布する。
成虫は植食性で、大豆、クズなどのマメ科、ナス、トマト、イヌホオズキなどのナス科、その他多くの植物の葉や花を摂食する。幼虫は肉食性で、イナゴ、バッタ、ツチバチなどの卵を食し土中で越冬する。このため成虫は夏に水田畦畔(けいはん)や土手、道端のイヌホオズキや雑草に群がる。稲は加害しない。
成虫は年1回、7月後半から9月に出現。成虫は長さ11~19ミリ、幅3~5ミリ。体と脚は黒色、上翅(じょうし)には白い縦筋が入るが、不鮮明な個体もいる。頭部は赤色、複眼の内側と口器の周囲は黒色。触角は黒色で前脚の長さに匹敵し、雄はのこぎり歯状、雌は糸状。卵は楕円(だえん)形で大きさは長さ3ミリ、幅1ミリ、黄白で表面に光沢がある。5齢幼虫は擬蛹(ぎよう)状で6齢を経て蛹化し、さなぎは約15ミリ長、黄白色、複眼黒色。
成虫は日中活動し、午後盛んに活動する。羽化後4、5日で交尾し、土中に70~150卵粒の卵塊を産卵する。卵期は18~21日。成虫寿命は30~35日。暖冬少雨年に多発する。
防 除
防除幼虫が土中で越冬するので冬に数回耕うんし幼虫やさなぎを減らす。土手や畦畔、畑地などで寄主植物のイヌホオズキを見かけたら除去する。
成虫は大豆、小豆、エンドウマメ、インゲンマメ、サヤエンドウ、サヤインゲン、エダマメの葉を食害するので捕殺する。多発例は少ないが、多発時は登録剤のマラソン粉剤をスポット的に施用し防除する。
(東京農業大学客員教授・法政大学兼任講師・平井一男)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/8/28
一覧ペー ジへ戻る
2013年08月28日

キュウリ疫病 土跳ねの防止が有効
特 徴
キュウリ疫病は、それほど発生は多くないが、水はけの悪い圃場で地上部の茎、葉、果実に発生する。いずれの部位でも水浸状の病斑が形成、拡大され、乾燥すると病斑部がくぼむ。茎では地際部に発生しやすく、乾燥するとくびれて褐変し、上部が萎凋(いちょう)・黄化する。高湿度条件が保たれると、病斑上に霜状の白色の菌叢(きんそう)を生じる。
病原菌は土壌中の植物残さなどで生存し、水により媒介され、高温多湿時に発生しやすい。病原菌種は2種報告されており、一種は多犯性で多くの作物を加害するが、もう一種はウリ科植物のみに感染する。灰色疫病も同類の病原菌によるものであり、発生の特徴も似ている。
防 除
高畝など耕作土壌の排水を良くすることが有効である。また、かん水、降雨などによる土壌の跳ね上がりを防ぐマルチ、敷きわらなども有効である。
水中を積極的に泳ぐ遊走子により伝染し、大雨で圃場がたん水した場合などには圃場全体に急速に拡がるため、予防に努める。発生が激しい場合には、クロルピクリンを用いた土壌消毒により病原菌密度を下げ、次作での発生を防ぐ。茎葉には、ジチアノン・銅水和剤とマンゼブ水和剤が散布できる。
(農研機構・野菜茶業研究所野菜生産技術研究領域主任研究員・窪田昌春)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/8/14
一覧ペー ジへ戻る
2013年08月14日

コアオハナムグリ 発生把握して殺虫剤
特 徴
コアオハナムグリは、体長10~15ミリの小型のハナムグリだ。背面の体色は緑色で白い斑点がある。全国各地に広く分布して、さまざまな植物の花を訪れる。かんきつでも開花に合わせて飛来し、花を訪れた成虫が花粉や蜜を食べる際に、頭部を花の内部に潜り込ませ、脚で子房(果実になる部分)を傷つける。この時の傷が果実肥大後の果皮に線状の傷害痕として残り、外観上の被害となる。
中晩かん類で被害が発生しやすい。4月中・下旬に越冬後の成虫が出現して交尾産卵し、晩春から夏にかけて幼虫は土壌中の腐植を食べて成長し蛹化(ようか)する。8~10月には新成虫が羽化し、短い活動期間の後に越冬する。5月と9月に成虫の発生ピークが見られるが、前者は越冬成虫、後者は新成虫による。
防 除
成虫は、かんきつ園周囲の樹林地等から飛来するため、園内外の白い花を定期的に観察して発生状況を把握する。
防除では殺虫剤を散布する。少発生の時は温州ミカンでは開花初期に1回、中晩かんでは開花盛期に1回散布する。多発生の時は開花初期と盛期に2回散布する。かんきつの開花期にはミツバチも活動しているため、付近の養蜂に注意してミツバチに悪影響が生じないように配慮する。
(農研機構・果樹研究所カンキツ研究領域上席研究員・望月雅俊)
注 意
・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2013/8/7
→ 一覧ページへ戻る
2013年08月07日