ジャガイモシストセンチュウ 燻蒸剤で減収を回避

センチュウに寄生されたジャガイモの根

特 徴


 ジャガイモシストセンチュウは、ジャガイモの根に寄生し、大幅な減収を引き起こす土壌線虫。まれにトマトにも寄生し被害が生じる。1970年代に南米から北海道に侵入して被害が拡大した。長崎、青森、三重、熊本でも発生報告がある。

 土壌中では数百個の卵を内包した直径約0.6ミリの褐色球形の「シスト」の状態で長期生存し、寄主植物の根が近づくと、ふ化して約0.4ミリの線形をした幼虫が根に侵入する。侵入後の幼虫は根に定着して養分を奪い肥大化し、30~40日で球状の雌成虫となる。

 雌成虫は根の表面に露出し、白色から黄色、やがて褐色へと変化する。株を抜き、根を観察することで寄生が確認できる。被害が著しい株では萎凋(いちょう)症状や下葉の脱落、早期の枯死などの病徴が認められる。
 

防 除


 植え付け前に、薫蒸剤(D―D剤)による土壌消毒か粒剤(有機リン系の殺線虫剤)の土壌混和処理を行うことで減収が回避できる。「キタアカリ」などの抵抗性品種の栽培は線虫の寄生を受けないばかりでなく、線虫密度を一作で90%程度下げる効果があり、最も有効である。

 種芋と土壌で伝染するため、未発生圃場では検査済みの正規の種芋を使用し、作業機や靴、生産物などに付着する汚染土壌を圃場に入れないことが重要である。

(農研機構・北海道農業研究センター生産環境研究領域上席研究員・奈良部孝)
 

注 意


・記事中の農薬は掲載日時点の登録薬剤です。
・筆者の役職は当時の役職です。
・掲載日:2011/12/14

おすすめ記事

病害虫図鑑の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは