小さいけれど・・・本当は怖い マダニ警戒 山や畑で 春から活発化

フタトゲチマダニ(国立感染症研究所提供)

かまれたらすぐ病院 重症化や死亡例も


 かまれると感染症を引き起こし、死に至る危険性もあるマダニの活動が春から活発になる。マダニは野生動物が出没する環境に多く、民家の裏山や畑、あぜ道などにも生息。農作業や狩猟時、山菜採りなどで被害に遭いやすい。マダニの感染症は、特に春から夏にかけて最も多く、マダニがいそうな場所に入る時には手首や足首などを露出しないなど、細心の注意が必要だ。

 昨年夏、北海道の男性がウイルスを持ったマダニにかまれ、ダニ媒介脳炎を発症し死亡するなど、マダニによる感染症は毎年発生。特に3月から増え始め、6月が最も多くなっている。西日本での感染症が多いが、全国的にマダニによる感染症が見つかっており注意が必要だ。

 マダニの活動が盛んになる季節に合わせ、福島県猟友会の福島・福島北両支部は2月、動物由来の感染症を学ぶ研修会を開き、マダニの危険性を参加者60人に訴えた。

 福島支部の佐久間貞二支部長は狩猟で山に出かけるとマダニに遭遇することが多く「イノシシの腹にびっしりと付いている」と話す。

 講師を務めた宇都宮大学の竹田努研究員は、「もしかまれたら、早く病院に行った人ほど助かり、放置すると重症化したり、死に至るケースもある」と警告。狩猟後は入浴して服を洗い、犬は狩猟した場所の近くで洗うよう呼び掛けた。

 こうした呼び掛けは各地で広がる。佐賀県では狩猟免許の更新時に、マダニによる被害や防止策に注意を促す。同県農業技術防除センターによると、田畑を囲むように獣害防止柵を立てるとイノシシが柵の外側を歩き、通り道にマダニが落ちている恐れもあるという。
 

ワクチンない感染症も


 国立感染症研究所によると、マダニが媒介する危険な感染症として、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や日本紅斑熱がある。特に危険なのが死亡率が高いSFTSだ。6日から2週間の潜伏期の後、発熱や嘔吐(おうと)、腹痛などの症状が出るが、有効な薬剤やワクチンがない。調査を始めた2013年以降、2月時点で累計229人の感染報告があり、2割の53人が死亡した。

 忘れた頃に発症することもあり、かまれたら3週間程度は体調の変化に注意する。16年には60人が感染した。

 日本紅斑熱は、潜伏期は2~8日で、頭痛や発熱、発疹などがみられる。抗菌薬で治療できるが、重症化したり死亡したりすることもある。

 16年の感染者数は275人とマダニによる感染が最も多い感染症で、年々増加傾向にある。この他ダニ媒介脳炎やライム病、野兎病などの感染症も媒介する。
 

肌の露出少ない服を


 静岡市清水区でマダニにかまれた男性(63)は、15年5月に山にタケノコ掘りに入って被害に遭った。入浴している時に、かまれたことに気付いたという。無理に引き抜こうとするとマダニの口が皮膚に残るため、病院で皮膚ごと取り除き2針縫った。

 高熱などの症状はなかったものの、病院に通う手間や費用がかかり「このような思いは二度としたくない」と話す。以降、長靴や厚手の手袋を着用し、服との隙間をガムテープでふさいで対策を取っている。

 国立感染症研究所は、野外では腕や足、首など、肌の露出を減らした服装にして、首にはタオルを巻くか、ハイネックのシャツを着用することを勧める。山林に入る場合はズボンの裾に靴下をかぶせ、シャツの袖口は手袋の中に入れることも大切だ。

 かまれた場合は無理に火であぶったり取り除いたりせず、「医療機関で適切な処置を受けることが重要」としている。(隅内曜子)

<メモ>  マダニ

 国立感染症研究所によると、マダニは世界中に800以上の種が知られており、日本にはフタトゲチマダニやヤマトマダニなど47種が生息している。マダニの多くは春から秋(3~11月)にかけて活動が活発になり、冬も活動する種類もいる。

おすすめ記事

地域の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは