アイデア農機 資材・・・もの作り拠点 3Dプリンターやレーザー加工機を駆使 ファブ施設続々

畜舎を改装した施設で除草ロボットを紹介する竹村さん。3D切削機などデジタル工作機械をそろえる(静岡県浜松市で)

ファブ施設で作った米袋の印刷に使う道具。「17年度も使う予定」と話す辻さん(津市で)

 もの作りを誰でも実践できるよう、関連の機械や工具をそろえたファブ施設での農業関連の利用が広がっている。1日数千円で、3Dプリンターやレーザー加工機など一般では使えない高価な機械を利用できる。市民の農業用ロボット開発や、農家の道具作りに貢献している。
 

利用者集い除草ロボ 開設者自ら  静岡県浜松市の竹村さん


 静岡県浜松市の水田地帯にあるファブ施設「ファブラボ浜松テイクスペース」では、利用者らが水田用の除草ロボットを開発中だ。挑戦するのは農家やロボット開発者でない、もの作りを趣味にする個人だ。本業ではないロボット開発の知識やアイデアを集結させ、実用化を目指す。

 施設は、農家の祖父を持つ竹村真人さん(34)が代表を務める。「誰もがアイデアを実現できる場をつくろう」と考え、実家で使っていなかった畜舎と納屋を改装し、機械を設置。2012年にオープン、14年に現在の名称にした。会員は6カ月の会費が1万8000円、非会員は1日1500円で使える。

 除草ロボット開発は施設の利用者らが、15年から取り組む。これまで20人以上が関わり、それぞれが得意分野を分担。設計は名古屋市の釘宮慎太郎さん(34)、プログラミングは同市の松岡貴志さん(44)が手掛ける。

 ロボットの機体は3Dプリンターで製作した。ロボット底部にスクリュー形をした円柱2本を搭載、水面下で動かし、雑草を土からかき出す。スマートフォンやリモコンで遠隔操作できるようにした。試作版のプログラムは、インターネットで公開している。

 釘宮さんは「ロボット製作を機に、関わりのなかった農業に親しむきっかけとなった。楽しみながら、現場で役立つものを作りたい」と話す。ロボットは改良中で、17年度内に完成を目指す。

 松岡さんは「一人では実現が難しいアイデアも、助言をもらいながら達成できる」と、ファブ施設のメリットを語る。
 

ロゴ印刷の木版 米袋自作 津市の辻さん


 津市の米農家、辻武史さん(40)は米袋にロゴを印刷する木版を、名古屋市のファブ施設「cre8 BASE KANAYAMA(クリエイトベース カナヤマ)」で作った。知人がデザインしてくれたイラストを、レーザー加工機で木の板に彫った。インクを付けて米袋に押し当てて印刷する。

 辻さんは16年に就農。4・5ヘクタールで米を作り、オリジナル袋で直販している。就農1年目に業者に印刷袋の製作を依頼したが、最低ロット数は4000枚。「必要なのは数十枚だけ。業者に頼むと経費が高い上、在庫を7年以上抱えることになる」と、自作に踏み切った。

 印刷用の木版を手彫りするには技術が必要で、時間もかかるため、ファブ施設の利用を思い立った。買うと100万円を超えるレーザー加工機が、同施設では1日2000円の利用料で使えた。ロゴデザインのデータを基に木板をレーザー加工機で加工し、10キロ袋用の木版を約2時間で完成させた。

 辻さんは「自分では買えない、さまざまな機械が使える。コストをかけずアイデアを即、形にできるのが魅力だ」と語る。(吉本理子)

<ことば> ファブ施設

 市民がもの作りを実践できるよう、工作機械を備えた施設。米国発祥で世界に広がり、国内ではここ数年で100カ所以上に広がった。レーザー加工機や3Dプリンターなどデジタル機器を中心にそろえ、1日数千円で利用できる施設も多い。こうした施設も後押しし、もの作りを趣味にする人は年々増加している。

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