[営農+1] リンゴ園 ネズミ食害対策 フクロウ営巣今年も着々 青森県弘前市

巣の中で育つフクロウのひな(青森県弘前市で)

地元小学生と実施した下湯口ふくろうの会の観察会(青森県弘前市で)

 リンゴ樹を食害するハタネズミの対策に、天敵のフクロウを呼び込む取り組みが広まっている。青森県弘前市のリンゴ園では、今年もフクロウが戻ってきた。農家と連携して調査する弘前大学は、設置した巣箱7カ所で営巣とふ化したひな16羽を確認。昨年の調査では、フクロウが営巣した園地ではネズミが70%減り、食害が発生する根雪前まで密度を抑えることも分かった。青森市や長野県にも巣箱設置の活動が広がっている。
 

ふ化率100%


 日本に生息するフクロウ科は11種。リンゴ園でよく繁殖するのは、フクロウ目フクロウ科フクロウ属のフクロウ。北海道から九州まで生息する。同大学の東信行教授によると、繁殖中は、巣に運ぶ餌の70%以上がハタネズミで、成長期は1日3匹食べる。

 フクロウの高い捕食能力を生かすため、リンゴ園にフクロウを呼び戻し、ネズミの被害を減らそうと同大学の東教授らと活動するのが「下湯口ふくろうの会」。2014年から取り組み、今年は昨年より10個増やし、巣箱63個を設置。今春5個で営巣を確認し、4個の巣箱で11羽がふ化した。

 春先のネズミ生息数が少なかったためか、営巣数、産卵数ともに昨年を下回った。ただしふ化率は100%で、昨年の79%から大きく改善した。
 

密度半分に


 フクロウは2~4月産卵、5月ごろ巣立つ。同大学で研究する岩手大学大学院連合の大学院生ムラノ千恵さん(39)は、昨年営巣した7カ所の巣周辺100メートル以内の7園地でネズミ(成獣)生息数を調査。営巣後は、ネズミ生息数が50~92%、平均70%減少していた。

 ネズミの食害は、餌の草がなくなる根雪期に増える。冬は繁殖しないとされるため、成獣になると予想される幼獣を含めても生息密度は、4月のおよそ半分だった。

 フクロウは、ネズミが多い園地を選ぶことも分かった。どの巣箱もフクロウが試し座りした形跡があり、多くの巣箱を設置したことで、餌になるネズミが多い園地を選んだとみる。
 

活動の輪広がる


 活動の輪も広がる。下湯口ふくろうの会は、地元の市立青柳小学校5、6年生17人と観察会を開き交流、巣箱作りを呼び掛ける。7月下旬には、地元住民向けの巣箱製作の講習会を開く。

 同市では同会の他、15年秋から農家グループ「モホ組」が活動を開始。今年10個の巣箱を設置し、2個に営巣し5羽のひなが育った。

 巣箱設置は青森市にも広まった。「浪岡グリーンツーリズムクラブ」は、昨年10個の巣箱を設置。「樽沢里地里山を考える会」も今年度、「フクロウの棲(す)む果樹園環境整備事業」で、30個の巣箱を設置する。

 県外では、長野県高山村で「長野県果樹研究会高山支会ふくろうプロジェクト」が立ち上がり、巣箱32個を設置した。1個で営巣を確認したが、放棄されたという。

 巣箱設置を指導し、生育調査に取り組むムラノさんは「多くの巣を設置するのが良い。巣箱の手入れでふ化率が改善する。巣のウッドチップを秋に棒でかき混ぜ、柔らかくする」と助言する。

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