農業再生産確保を 情報不足に苦言 日欧EPA 自民

 自民党は15日、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉を巡り、農業団体の意見を聴取した。JA全中の奥野長衛会長は、農業の国際競争力の強化に取り組むために、関税など国境措置を守ることが必要だと訴えた。出席議員からは、再生産確保へ焦点の乳製品を含め環太平洋連携協定(TPP)を超える譲歩をしないようくぎを刺す意見が相次いだ。

 同日の党日EU等経済協定対策本部の下に設置した農業分野の作業部会で農業関連の9団体に聴取。党側の要請で「攻め」と「守り」の両面で意見を募った。奥野会長は「新しい強い農業につくり変える端緒についたところだ」とし、慎重な対応を求めた。

 出席議員からは「TPP合意の内容は、一線として絶対守らなければならない」(進藤金日子氏)、「TPP合意は岩盤だ。そこまで譲る必要はないとの気持ちで臨んでほしい」(藤木眞也氏)と、TPP合意を超えないよう求める声が相次いだ。

 国産と競合するソフト系チーズについては、TPPで関税を守ったが、EUは自由化を強く求めており、「将来不安を与えない配慮を」(簗和生氏)、「重要品目が守られたかと野党に追及されないように交渉に臨んでほしい」(中川郁子氏)など政府に注文が相次いだ。

 小泉進次郎農林部会長は政府に対し、「TPPに比べ関係者への情報提供の体制が薄い」と苦言を呈し、情報提供を促した。団体の意見を踏まえて、6月末に党としての対応方針をまとめる。
 

国境措置確保を 自民に全中など要請


 JA全中など農業関係9団体は15日、自民党の日EU等経済協定対策本部の作業部会で、大詰めを迎える欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)交渉について要請した。農業に打撃を与えないよう関税など必要な国境措置の確保を求めた。環太平洋連携協定(TPP)を上回る水準で譲歩しないよう訴える声も出た。

 全中の奥野長衛会長は、畜産経営基盤の立て直しの途上であり「国境措置をしっかり守っていただかないと(農家の)態勢が取れない」と指摘。乳製品や豚肉など重要品目の再生産が可能になるよう国境措置の確保を求めた。

 特に焦点の乳製品については、強い懸念が相次いだ。全中の飛田稔章酪農対策委員長は、乳製品が影響を受ければ北海道産生乳が飲用に回らざるを得ず、都府県酪農への影響が避けられないと懸念を訴えた。

 森永利幸畜産対策委員長は「農家が懸念することがない断固たる交渉をお願いしたい」と述べた。日本酪農政治連盟も、貿易自由化交渉への将来不安が経営意欲を削いでいるとして、TPPの合意内容を最低限堅持するように求めた。

 欧州産豚肉には低価格品もあり脅威になる。日本養豚協会は、関税引き下げがTPP水準であっても「EU産の豚肉が大量に入り国内価格が大きく押し下げられることを危惧している」とし、現在の差額関税制度が機能するよう求めた。全国肉牛事業協同組合も「TPPの合意内容がこれ以上譲れない一線」と強調した。

 EU向けには牛肉以外の日本産畜産物の輸出が認められていないことから各団体は、輸出解禁に向けた協議を加速するよう政府に要請した。

 この日の会合では全国農業会議所、日本食鳥協会、日本養鶏協会、日本乳業協会、日本園芸農協連合会も要請した。

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「日欧EPA大詰め 『合意ありき』許されぬ」 16日付「論説」

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