梅雨いずこ? 西日本じわり水不足 田植え後の水田直撃 干上がり害虫が多発

水が干上がりひび割れた水田を見回る藤川さん。苗の先が変色している(16日、佐賀県武雄市で)

 梅雨入りした西日本で、雨が降らない状態が続いている。九州北部で水不足が深刻で、4月下旬~6月中旬の降水量が平年の半分に満たない佐賀県では、武雄市で田植え後の水田が干上がった。長崎県でハダニが大発生、四国でも取水制限が始まった。農家はまとまった雨を待ち望んでいる。
 

佐賀 稲「限界」に


 中山間地にある武雄市川内地区。雲一つない晴天の中、乾いてひび割れた水田を見ながら、稲作農家、藤川俊郎さん(69)は「こんなことは、一度もなかった」と悔しげだ。

 水田には1週間、水が張れていない。供給元である土岩ため池が深刻な水不足に陥り、9日から水が止まっているためだ。苗は、葉先が茶色に変色してしまっている。

 同地区は稲作が盛んだが、20ヘクタールの水田のうち11ヘクタールが田植え後に水が干上がった。田植えが終わっていない水田も2ヘクタール。住民の8割が稲作で生計を立てており、42戸の農家が水不足にあえぐ。

 JAさがみどり地区武雄支所では16日、職員と農家が現地を視察。営農経済課は「再び水を張れば苗は持ち直すが、あと1週間が限度。まとまった雨がなければ収量に大きな影響が出る」と懸念する。同市は、今後も雨が降らなかった場合、対策室の立ち上げを検討している。

 九州北部では乾燥で害虫が増えている。長崎県ではイチゴ育苗床に発生したハダニが急増。県病害虫防除所は寄生株率と発生圃場(ほじょう)率が過去10年で最多となり、15日に注意報を出した。同防除所は「雨がなく、発生に歯止めがかからない」と指摘する。

 佐賀県ではアザミウマの発生が増えつつある。佐賀県農業技術防除センターは「被害はないが、少雨が続くと広がる恐れがある」と警戒する。
 

四国 取水制限も


 四国では、ダムの貯水率が平年に比べ2、3割下回り、各地で取水制限が始まっている。大きな被害は聞こえてこないが、田んぼの水位が下がり雑草が生え始めるなどの影響も出始めている。

 四国4県や電力関係者らで組織する吉野川水系水利用連絡協議会は16日、高知県の早明浦ダムの第1次取水制限を貯水率60%程度になった時点で始めることを決めた。農業用水、生活用水などを含めた徳島県への水供給量を20%、香川県で20%を削減する。

 農業用水の取水制限を強めるダムもある。高知県の永瀬ダムでは19日から、30%の第2次取水制限、徳島県の長安口ダムでは17日から45%の第3次取水制限を実施する。
 

北日本・沖縄多雨


 梅雨入り前の東北地方や北海道では、6月に入り寒気を伴った低気圧が通ったことで雨が降りやすくなっている。各地で16日も雨となった。沖縄では梅雨前線が停滞し、14日に24時間雨量が300ミリの大雨が降り、16日も雨が続いた。
 

降雨 望み薄


 気象庁によると、東日本太平洋側と西日本で4月下旬から晴れる日が多く、雨が少ない状態が続く。関東甲信から九州南部にかけて既に梅雨入りしたとみられるが、まとまった雨は降っていない。

 偏西風が日本付近で南に蛇行して梅雨前線が日本の南海上に押し下げられており、東・西日本が高気圧に覆われやすくなった。

 6月15日までの30日間降水量は長崎県対馬市で平年比5%、佐賀県伊万里市で6%、山口県長門市や千葉県香取市で7%、和歌山県湯浅町で15%と大きく下回っている。

 今後は20日ごろまで東日本太平洋側と西日本でまとまった雨が降らない状態が続く見込み。7月16日までの1カ月は、北・東日本で降水量が平年並みか少ない見通しだ。 (金子祥也、丸草慶人)

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