市場法の廃止検討 受託拒否なら産地混乱 政府

 政府が、卸売市場の取引を規定する卸売市場法の廃止を検討していることが分かった。農業改革の重点である農産物の流通コストの低減へ、同法の規制を抜本的に自由化し、市場関係者の競争を促す考えだ。政府は今後、必要な規制を検討し、新法の制定も視野に入れるが、市場流通の要で、産地の出荷物を卸が必ず引き受ける「受託拒否の禁止」の規定が廃止され、市場流通の大転換につながる恐れがある。産地の影響を懸念する声も広がっている。

 同法は1971年に制定され、これまでも市場手数料を自由化するなど改正を重ねてきた。生産現場や市場関係者らには、「受託拒否の禁止」の規定をはじめ同法見直しへの慎重論が強いだけに、関係者の声を十分に把握するなど丁寧な検討が必要になる。

 同法では予期せぬ豊作時などにも農家の販路を保証するため、卸売業者に出荷物の引き受けを拒めない「受託拒否の禁止」を課している。「代金決済の確保」なども定める。政府はこうした各規制の在り方について検討を進め、新法での位置付けが必要と判断した場合は、臨時国会への新たな法案の提出も視野に入れる。

 焦点が、「受託拒否の禁止」の規定だ。政府内には「JAに市場への丸投げを許し、高値販売の努力を阻害している」と廃止を求める声がある。一方、「廃止すれば、誰にでも販路を提供する市場の公的な役割が失われる」(農業団体)との声や、農家が個々に市場に出荷する場合は出荷量も少なく、卸売業者の引き受けコストがかさむとして、「規定がなくなれば、JA出荷より個別の農家が取引を拒否されかねない」(市場関係者)との見方もある。

 5月成立した農業競争力強化支援法は、農産物流通に関わる規制改革を掲げ、これを踏まえて政府は卸売市場法の抜本見直しの検討に乗り出している。市場関係者の懸案だった築地市場の移転問題で、東京都の小池百合子知事が20日に豊洲移転の方針を決めたことで、今後見直し議論を加速させる方針とみられる。

 一方、農水省が各地で開いた農業競争力強化支援法の説明会でも「卸売市場は大量の荷をさばくことができ、産地との信頼関係もある。改革するにも混乱しないよう配慮してほしい」(自治体関係者)と、慎重な検討を求める声が上がる。

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