日欧EPA 「大筋」ではなく「大枠」合意なぜこだわる 成果急ぐ政権 思惑見え隠れ

 日本と欧州連合(EU)が7月上旬に目指す経済連携協定(EPA)の「大枠合意」。日本政府は従来の通商交渉では「大筋合意」という言葉を使ってきたが、今回はあえて大枠合意を使う。どう違うのか、大枠合意にこだわる背景は――。

 政府は、環太平洋連携協定(TPP)や日豪EPAなど、これまでの通商交渉で各国と合意に至った段階を「大筋合意」と呼んできた。署名で最終的に協定文を確定するまでの間に、法的精査など技術的な作業が残っているため「大筋」と呼ぶものの、実態は「ほぼ100%合意した状態」(TPP交渉関係者)という。

 一方、今回の「大枠合意」は、大筋合意よりも完成度は低いとみられる。外務省幹部は「TPPの大筋合意ほど詰まりきれなくても合意と言える」と説明。仮に1、2分野が決着しなくても、互いに関心が強く、重要な関税分野などを決着させれば「主要部分は決着した」として合意を打ち出す考えだ。

 日本がEPA交渉で大枠合意という言葉を使うのは、初めてとみられる。日本は日EU交渉で当初は、大筋合意を目指すとしていたが、昨年末ごろから「大枠合意」という言葉を使うようになった。

 背景には、早く何らかの成果を打ち出したい安倍政権の思惑がある。交渉を推進するある省庁関係者は「大枠合意できれば、英国のEU離脱など保護主義が高まって以降、初めて結ばれた大規模な通商協定だろう」と指摘する。安倍政権にはこれを国内外にアピールし、急落した内閣支持率の上昇につなげたいとの思いがある。

 日本とEUの首脳が会談する7月の20カ国・地域(G20)首脳会議の機会を逃せば次の節目が設けづらく、合意への勢いがそがれるとの切迫感もあるとみられる。だが、合意を急ぐ政府の姿勢に対し、与党内には「相手に足元を見られ、無理な要求をのまされかねない」(自民党農林議員)との懸念が少なくない。

■この記事の「英字版」はこちらをクリックしてください。

おすすめ記事

農政の新着記事

検索

e農サーチ e農サーチとは