九州豪雨 河川氾濫、土砂一面に 田畑も ハウスも・・・  

大雨で氾濫し、水田やハウスを土砂で埋めた赤谷川。右奥のイチゴハウスは全滅した(6日、福岡県朝倉市で=松本大輔写す)

おびただしい数の流木が突き刺さったハウス。6月中旬に天井を張り替えたばかりだった(6日、大分県日田市で=金子祥也写す)

 5日から6日にかけて九州北部を襲った集中豪雨は、各地で河川の氾濫(はんらん)や土砂崩れを起こし、死傷者や行方不明者が発生した。観測史上最高の雨量を記録した福岡県朝倉市や大分県日田市では、田畑に土砂が流入し、ハウスが倒壊するなど大きな被害が出た。地元JAなどが実態の把握を急ぐが、被害の全容は見通せない状況だ。
 

「経験ない被害」 福岡県朝倉市


 「風景が変わってしまった。復旧にどれだけかかるか考えもつかん」。6日午後2時ごろ。車や家屋の1階部分が埋まるほどの土砂の中、福岡県朝倉市杷木地区の柿農家、塚本悟さん(51)は、山手の自宅から命からがら避難した。

 付近の柿山で土砂崩れが起きたことは確認したが、自らの約3ヘクタールの畑の状況は確認できないまま。「5年前の九州北部豪雨の比ではない。避難できただけよかったと思うしかない」

 同地区のハウス約10アールでブドウを栽培する岩橋春喜さん(55)は「川ではない場所が川になってしまった」と、経験したことのない災害に驚く。直接の被害は免れたが、豪雨による根腐れや病気のまん延を心配する。

 JA筑前あさくら杷木支店や隣接する選果場にも、土砂や泥水が流れ込んだ。職員らは「どうにかしなければ営業できない」と、泥をかき出す作業などに追われた。選果場では機械が水に浸かり、稼働できなくなる恐れがある。この時期に作業をしていたのはスモモ。ブドウの選果も6日に始まるはずだった。
 

唇かみ「なぜ今」 大分県日田市


 水田に横たわる自動販売機、欄干に突き刺さった流木、畑に打ち上げられた川魚……。大分県日田市では河川の氾濫が相次ぎ、田畑へ土砂が流入した。濁流が農業用ハウスを押しつぶし、特産のチンゲンサイにも被害をもたらした。

 6日午後2時。流木や土砂などが堆積する県道沿いに、半壊したハウスがあった。3棟はいずれも中心部が大きくたわみ、天井が地面までつぶされてしまった。1棟は、おびただしい数の流木がビニールを突き破っていた。

 所有者の農家、井上浩三さん(52)は「家の周辺を水が取り囲んでいていつ流されてもおかしくなかった」と振り返る。両親を案じ、いつでも避難できるよう備えていたため30分しか寝れなかったという。

 ハウスは、5年前の北部豪雨でも浸水した。両親がアスパラガスを栽培していたが、土砂が流入して極端に収量が落ち込んで栽培を断念した。2年間の空白を経て、今年の6月に天井を張り替えて新たな農産物を作ろうと動き始めた矢先だった。

 井上さんは「ようやく北部豪雨を乗り越えようと奮起していたときだった。なぜ、今なのか」と唇をかみしめる。
 

激しい雨 さらに警戒 死者や不明も


 九州北部は6日までに、数十年に1度しかないような記録的な豪雨に見舞われた。気象庁によると、6日午前までの24時間降水量は福岡県朝倉市で545.5ミリ、大分県日田市で370ミリと、観測史上最高を更新した。

 前線が西日本に停滞し、暖かく湿った空気が流れ込みやすく、大気の状態が非常に不安定な状況が続く。九州北部では7日夕方にかけても、断続的に非常に激しい雨が降る見込み。

 人的被害も多発している。福岡県では1人が死亡し、6日午後3時現在で4人の行方や安否が分かっていない。東峰村では特別養護老人ホームに入居者ら160人が孤立し、自衛隊が救助を行っている。

 大分県では日田市で2人が土砂崩れなどにより死亡。7人が安否不明となっている。
 

自民が特別委


 自民党は6日夕から災害特別委員会を開催し、政府に対して被災地を激甚災害指定することを求める方針を固めた。

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