のろのろ台風 自転車並み速度で列島縦断 長時間の風雨 広範囲に被害 河川氾濫 農地水浸し 滋賀

 発生から18日と観測史上3位の「長寿台風」となった5号は8日、ゆっくりした速度で日本列島を進んだ。各地で長時間の大雨と暴風をもたらし、九州、近畿、東海地方で農業被害が出ている。滋賀県長浜市では同日、河川が氾濫し水稲などが冠水した。9日午後には秋田県・男鹿半島付近を通過する見込みで、気象庁は河川の氾濫や土砂災害、暴風への警戒を呼び掛けている。

 姉川があふれた滋賀県長浜市では、周辺の農地が泥で埋まるなどの農業被害が出ている。

 「今回の水害はきつい。70年以上生きてるけれど、こんな被害は初めてだ」。同市の農家、米田庄一さん(76)は驚きを隠さない。農地が川沿いにあったため、出荷を控えていたゴボウやトウガラシ、サツマイモなどの野菜全てが水に漬かり、2ヘクタールが濁流で埋まった。数日前にソバを1・5ヘクタールで種まきしたがほぼ流され、水路には土砂が流れ込んでいる。「水稲と果樹以外は、ほぼ全滅や」と肩を落とした。

 「この畑を見たら、おばあちゃんはどう思うだろうか」と、同市の丹部弥生さん(90)の畑を、孫の藤野牧子さん(43)は無念そうに見つめた。手塩にかけたネギやトマトの畑には土砂やがれきが入り込み、無残な姿となった。

 県によると、8日午後3時現在で長浜市や米原市を中心に水稲、大豆などの倒伏や冠水などの被害が計75ヘクタールに上る。ビニールハウスなどの損壊は、県内6市町村で確認されている。

 この他、鹿児島県は同日午前10時現在でオクラやニガウリ、サトウキビ、果樹などに総額2億5428万円に上る被害が出たと発表。三重県では水稲やネギの倒伏、梨の落果など、岐阜県でも水稲が倒伏した。7日夕に竜巻が発生した愛知県豊橋市では、梨の落果やビニールハウスが破れるなどの被害が出ている。

 総務省消防庁のまとめ(8日午後6時現在)によると、鹿児島県では風による転倒や海への転落で2人が死亡。同県や和歌山県では骨折する人も出た。三重、鹿児島県などで住宅62棟が一部損壊した他、鹿児島、山梨、滋賀県などで床上・床下浸水が103棟で発生した。

 気象庁によると、8日午後4時30分までの24時間雨量は石川県加賀市で233.5ミリ、滋賀県長浜市で231ミリと、いずれも観測史上最高を記録するなど日本海側を中心に荒天となった。
 

発生18日、長寿3位


 台風5号は8日、日本列島をゆっくりと縦断し、各地で田畑の冠水や強風による農業被害をもたらした。時速20キロと、自転車並みの“のろのろ台風”だったため、通過した地域では長時間、大雨や強風が続いた。

 5号は7月21日朝に小笠原近海で発生してから8日で18日が経過し、観測史上3位の「長寿台風」となった。列島に高気圧が居座っており、進路を阻まれるなどして速度が遅くなったことも影響した。気象庁は、長寿台風は不規則な経路をたどる傾向があるという。

 5号は発生後、太平洋を西に進み、5日ごろ奄美地方を通過し長時間雨をもたらした。その後、動きが遅いまま九州と四国の南海上を進み、7日午後に和歌山県へ上陸した。

 同庁によると、発生から消滅までの「台風の寿命」は平均5.3日。統計がある1951年以来、最も寿命が長かったのは1986年の台風14号の19.25日だった。
 

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