民進党代表選 民意 受け皿づくり急務

 民進党は蓮舫代表の辞任に伴う代表選挙を「8月21日告示―9月1日投開票」の日程で実施する。前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官の両氏が出馬に意欲を示し、第三の候補者擁立を模索する動きもある。同党の最重要課題は、高まる安倍政権批判の民意を受け止める政党への立て直しである。党の存亡を賭ける代表選となる。農政での対抗軸の打ち出しも重要だ。

 民意の受け皿があれば、政治が大きく動き得ることは東京都議選で明らかになった。森友、加計学園問題に見られる権力との癒着、“安倍1強”による強権的な政治姿勢やおごりが厳しく問われ、国民は怒りのはけ口を求めている。農政でも同様だ。安倍政権が進める急進改革路線への農業者の不満は大きい。本紙の4月の農政モニター調査結果では、安倍農政を評価しない割合が6割を超えた。

 問題は野党第1党、民進党の体たらくだ。各マスコミの世論調査で安倍内閣の支持率が低迷し、連動して自民党も下落する中、民進党も1桁に落ち込み、存在感は薄らぐばかりだ。農政への期待も本紙調査によれば、民進党は12%しかない。対して自民党は40%強。時の政権与党に対抗する野党勢力の弱体化は、民主主義にとっても、農政にとっても不幸である。

 民進党の支持率が回復しないのは、前身の民主党政権に対する根強い国民の批判や失望の現れといえる。華々しく打ち出した政権公約(マニフェスト)の実現が腰砕けに終わったこと、名ばかりの政治主導、繰り返される党内抗争・分裂など、政権政党時代のマイナスイメージがいまだに拭えていない。さらに農業関係者には、菅直人首相による環太平洋連携協定(TPP)への突然の参加表明が決定的な不信として残っている。

 今回の代表選では、共産党を含めた野党共闘の在り方が主要争点になる見込みだ。リベラル派の枝野氏が共闘路線に積極的なのに対し、保守系の前原氏は最近やや柔軟になったとはいえ基本的には慎重な立場である。党勢挽回の展望がなく解党出直し論がくすぶる中、路線闘争が先鋭化すれば党分裂の可能性をはらむ。

 東北甲信越の1人区で反自民候補が大勝した昨年の参院選結果が示すように、野党共闘の効力は大きい。都民ファーストなど第三の勢力による結集軸が不透明な中では、野党共闘以外に民意の受け皿は見当たらない。これがもたつくようだと、安倍晋三首相が解散総選挙に打って出る可能性も取り沙汰される。

 民進党は農政での対抗軸を打ち出すべきだ。各候補者はその土台となる政策を代表選で打ち出してほしい。同党は安倍政権が進める農政改革に対し、それなりの対論を示してきたものの、国民への浸透度は低い。農政が埋没しがちな代表選だが、この機会に大きく掲げ、地方を回る。農業者と語り合う運動も同党に問われる能力である。

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