米国抜き水準検討 低関税枠や牛肉SG TPP11日本政府

 離脱した米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)の協議で、日本政府が、バターと脱脂粉乳の低関税輸入枠や牛肉の緊急輸入制限措置(セーフガード=SG)の発動条件について各国と個別にサイドレター(補足文書)を交わして一定の調整を行うことを検討していることが、分かった。政府は、9月にもオーストラリアで開く首席交渉官会合で提案し、各国と具体的な調整に入りたい考えだ。

 7月に日本で開かれた首席交渉官会合で、11カ国は、協定内容の見直しは「最小限」とする方針を確認している。各国が協定内容の修正を主張し始めれば、収拾がつかなくなるからだ。一方で、TPPでの市場開放水準は、米国の参加を前提に合意した経緯があるため、米国の離脱で一定の調整は避けられない。

 そこで、協定内容そのものには極力、手を付けずに、必要な調整は各国と個別に協議してサイドレターで約束する。

 TPPで日本が、参加国全体を対象にして低関税輸入枠やSGを設けた品目が農林水産品だけで30以上ある。例えば、バターと脱脂粉乳は、生乳換算で計7万トンの輸入枠を約束したが、これは各国の生産力などに応じて数量を積み上げて設定した。

 だが、米国を除く11カ国での先行発効となれば、ニュージーランドやオーストラリアなどが輸出を増やして枠を満たしてしまう可能性がある。その場合、米国から2国間交渉などで追加の輸入枠を要求されかねない。

 そのため、TPP枠についてサイドレターであらかじめ米国の分を割り引く調整を行い、米国が復帰した場合に元に戻すことを検討している。

 一方、牛肉などのSGは主要輸出国である米国が抜ければ、発動しにくくなることから、米国の輸入量を差し引いた発動基準を設定し直す方向だ。

 11カ国は11月にベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに、早期発効の具体策の検討を完了することを目指す。

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